平成18年 9月 6日(水):初稿 |
○「司法制度改革と弁護士業務の拡大」と題する成田喜達氏論文紹介を続けます。成田氏は弁護士業務範囲の拡張や法律相談体制強化の他に弁護士をめぐる規制のいっそうの緩和も訴え、立法論等をも含めた検討として「弁護士による弁護士の有償紹介の禁止を大幅に緩和すること」ことの重要性を指摘されています。 ○そして「税理士、社会保険労務士、行政書士、弁理士、司法書士、公認会計士があなたのお悩みを解決します!」と言うふれこみでのインターネットの楽天ビジネスサービス専門家紹介に弁護士法72条の規制により弁護士が登録出来ない状況について「一般の国民からは、法曹界が無意識のうちに弁護士業務の拡大を妨げ、一般の国民の利益を損なう結果をもらたしていると映る可能性はないでしょうか」と危惧されています。 ○この問題については私も全く同感で「整理屋と提携弁護士が蔓延った理由」、「弁護士業務有償周旋禁止原則の一部解禁を」等で繰り返し、規制緩和の必要性を主張し、日弁連業務改革委員会、業務改革シンポ委員会等でせめて検討対象にすべきではと訴えてきたのですが、殆ど相手にされません。 ○成田氏は、私のHPでの主張を偶然の機会にご覧になったとのことで「仙台弁護士会の小松亀一弁護士が開いておられるホームページに示された弁護士に関する同弁護士の見解は、非常に有益で示唆に富んでいると思います。」と過分のお褒めのお言葉を頂き感激しました。 ○成田氏は、「日弁連業務改革委員会などの場で弁護士間で生産的な議論が重ねられれば、国民のためのこれからの民間法曹の姿が積極的に形成される」のではと期待を示されています。しかし誠に残念ながら日弁連では私のような見解は極々一部に過ぎず殆どの弁護士はこの問題には否定的見解でこれを議論しようとしても問題視すること自体問題と口をつぐまれる状況が続いています。 ○成田氏は弁護士業務の方法として、ネットを利用し案件に精通した弁護士グループが担当出来るようにする仮想大弁護士事務所創設、裁判所書記官退職者等専門知識を持った人々の補助者としての有効活用等様々な有益なご提言をされ、最後に「何より、法曹中最も多数で国民に最も身近に位置する弁護士界が、従来の特権のしがらみに負けることなく国民のためにさらにいっそうの努力をして頂けるかどうかが、国民のための司法という司法制度改革の目的の成否を決めるのではないでしょうか。」と結ばれています。 ○同じ法曹でも弁護士以外の方がどのように弁護士界を見ているか謙虚に振り返る必要性を感じた次第です。 以上:1,048文字
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