平成17年12月 9日(金):初稿 |
○平成17年12月7日(火)仙台弁護士会臨時総会があり、本年度執行部の最大課題の一つ仙台弁護士会仲裁センター(ADR)設置が可決されました。私は午前中まで東京出張で臨時総会には間に合いませんでしたが、総会終了後の全員協議会には参加し、会名変更問題についての協議を聞きました。 ○私は、仙台弁護士会のADRには、弁護士需要喚起の観点からは基本的疑問を抱いており、臨時総会に参加し、色々質問する予定でしたが、私自身の都合でかないませんでした。ADRは、訴訟大国アメリカで盛んに行われており、種々のADRが競合しています。 ○アメリカのADRは正に紛争解決ビジネスという感じですが、日本のADRは、紛争解決のための廉価・迅速ないわば奉仕的なサービス機関の設置を目指しているようで、これが本当に弁護士需要喚起に繋がるのか根本的疑問を持っています。 ○日本の老舗的ADRとして財団法人交通事故紛争処理センターがあります。これは昭和49年に示談代行付き交通事故傷害保険が発売されたとき、弁護士法違反の疑いがある保険会社社員による示談代行を認めることと引換に交通事故紛争解決機関としてのおそらく当時としては画期的な日本では珍しいADRとして認められたものです。 ○私も平成2年頃から財団法人交通事故紛争処理センター仙台支部の嘱託弁護士に任命されて2期4年間嘱託弁護士として交通事故紛争処理センターに持ち込まれる交通事故紛争の示談斡旋に勤めました。 ○昭和49年示談代行付き交通事故傷害保険が発売に先立ち、日弁連は弁護士法72条違反として当初強硬に反対し、日弁連と保険会社、当時の運輸省(現在の国土交通省)と大論争があったそうですが、結局、日弁連側が折れて、示談代行付き交通事故傷害保険の発売を認めました。 ○その結果、交通事故事件が弁護士の手から離れて久しい状態となっていることはこの更新情報で繰り返し記載しているとおりですが、私は財団法人交通事故紛争処理センターの嘱託弁護士としては、このセンターの仕事が弁護士の仕事を奪うことにならないよう自分なりに努めたつもりです。 ○それは人身事故で後遺障害が残る事案についての相談者には大きい賠償額を取得できるように弁護士を代理人として活用した方がよいとアドバイスしたことです。ADRのメリットとして専門家を代理人としなくても専門家を代理人とした場合と同じような高額の賠償金が取れるとなったのでは専門家即ち弁護士の存在を否定することになります。この点仙台弁護士会ADRはいかなる基本方針なのか確認したいところでした。 以上:1,057文字
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