平成17年10月13日(木):初稿 |
○弁護士として大変有名な日比谷パーク法律事務所代表弁護士で大宮法科大学院大学教授の久保利英明氏が、NIKKEINETビジネス・司法がわかる連載<第20回>で「司法制度改革審議会意見書によれば司法試験合格者3000人の到来は2010年からのはずであったが、現行試験と新司法試験の移行期においては、現行の修習期間を1年半とし、新試験の修習期間を1年とする。2005年度の現行試験合格者(60期)を1500人、2006年度の新司法試験合格者を最大1100人と仮定し、2回試験不合格者がいなかったとすると、2007年中には少なくとも2600人の修習修了者が誕生することとなる。2004年の修習修了者が1200名に比べ倍増以上の大増員が前倒しで始まり、さらに2008年には2700人、2009年、10年に2900人、2011年は3100人の法曹が誕生することさえ想定される。2011年以後は毎年3000人ずつ誕生することとなる。」と述べています。 ○同氏はこれをもって「団塊世代の退職による『2007年問題』や、オフィスビルの賃料の値崩れという『2007年問題』とは別に、司法も重大な『2007年問題』を抱える」ことになり、「2007年が弁護士と弁護士会の終わりの始まりになるか、力強く輝かしい活動を展開するスタートとなるか全ては2006年にかかり、弁護士の『2007年問題』も他の2007年問題同様、決して予断を許さない大問題なのである。」としています。 ○不勉強な私は、2007年問題なんて言葉があることは初めて知りましたが、司法試験合格者3000人時代到来は予定されていたことであり、当初2010年と言われていたのが実は3年早まり2007年から始まるだけのことです。それほど大騒ぎする問題とは思えません。 ○昨日平成17年10月12日更新情報で記載した弁護士白書による弁護士収入実態について、金持ちと評価すべきかどうかは意見の分かれるところと記載しましたが、私自身は普通のサラリーマンの方から見たら、一人の弁護士の平均の収入(経費控除前の総売上)は3500~4000万円前後、所得は1500~2000万円程度と言う数字は、恵まれていると見られるのではないかと思っております。 ○上記数字は2003年のものです。2003年はおそらく全弁護士数が2万人を少し上回った程度のところ、2005年は2万2000人程度ですから、まださほど変化はないと思います。2005年と2006年で弁護士が2000人程度増加し、2006年には2万4000人程度になったところ、2007年以降は、毎年弁護士数が2500人程度ずつ増えるとすれば、2010年の段階で全弁護士数は3万人を軽く超えるものと思われます。 ○この弁護士数3万人を超えた時点で収入状況を調査すればおそらく平均売上も所得も相当下がると思われます。弁護士2万人時代の2003年の弁護士全売上は2万人×4000万円として8000億円の市場を3万人で分けることになりますから、単純計算では売上平均は2666万円に下がります。 ○おそらく地盤のガッチリした弁護士の売上はそれほど減りませんから、新人弁護士の売上が相当厳しいものになることが予想され、8000億円市場を如何に拡大するかが重要で、この方策検討が必要です。 8000億円市場との数字は私の思いつきの概算で全く当てになりませんが。 以上:1,394文字
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