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弁護士法73条-他人の権利買受禁止の趣旨

平成17年 8月27日(土):初稿
○昨日平成17年8月26日は午後4時から日弁連業務改革委員会72条問題PTと法的サービス推進本部法務PT合同の勉強会参加のため東京出張でした。
私は日弁連業務改革委員会、法的サービス推進本部何れにも委員として参加しています。

○昨日の勉強会のテーマは2で一つは弁護士法73条「何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によって、その権利を実行することを業とすることが出来ない。」についての重要判例研究です。
同条の趣旨は、弁護士でない者が他人から権利を譲り受け事実上他人に代わって訴訟活動等権利実現行動をすることを許すと、みだりに訴訟を誘発し、紛議を助長し、弁護士法72条によって法律事務を弁護士に独占させた趣旨潜脱(せんだつ)を防止することと解説されています。

○良くある例はヤクザ屋さんが債権取立を依頼されたときの決まり文句「債権譲渡を受けた」です。弁護士法73条はこれを違法行為として許されないとしたのです。違法行為を恒常的に行うヤクザ屋さんは、いくら禁止してもやっており、全てが摘発されないだけの話しです。

○平成14年1月22日最高裁判例(判例タイムズ1085号179頁)では、ゴルフ会員権仲介・販売業者が、業として預託金据え置き期間の経過したゴルフ会員権を買い取り、預託金返還請求を求めて訴えを提起した行為について、弁護士法73条に違反するかどうかが争いになりました。

○この争いについて最高裁は、
①弁護士法73条の趣旨であるみだりに争いを誘発・助長する恐れが無く、
②社会的経済的に正当な業務の範囲内にあると認められる場合
であれば弁護士法73条には違反しないとして、上記ゴルフ会員権仲介・販売業者の行為は、①、②に該当し許されるとしました。

○ゴルフ会員権仲介・販売業者ではなく、76歳の生業もなく生活保護を受けてアパートで一人暮らしをしていた76歳の老人が、ゴルフ会員権を買い受け、預託金返還請求を数件行った同様の事例については、平成14年9月19日大阪高裁判決(判例時報1815号99頁)では、他の金融業者等のダミーとして業務を行っており到底社会経済的に正当な業務の範囲内にあるとは言えないとして弁護士法73条違反で無効な行為と認定されました。

○最高裁の事例と大阪高裁の事例はたまたま行為者の状況がハッキリ異なっていたので適法と違法に分けられましたが具体的ケースではかなり微妙な問題があります。
弁護士法73条が問題になるのは現在当然の如くなされているファクタリングがあり、次回勉強会では私が担当してレポートすることになり、これから勉強が必要です。(この話題後日に続けます。)

以上:1,090文字

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