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イソ弁(勤務弁護士)に営業させる発想

平成17年 6月 1日(水):初稿
○繰り返しますが私はイソ弁に事件を集めさせる即ちイソ弁に営業的仕事を期待する発想は全くありませんでした。従って私自身の営業力がついて私自身の力で多くの顧客・事件を集める力がつかない限り、イソ弁は不要と考えていました。

○これに対しY弁護士の発想はイソ弁自身に顧客・事件を集めさせるという発想で、このような発想はこれまで全く持っていなかったのでその発想の斬新さに驚いたわけです。確かに一般の企業では従業員に営業をさせるのは当然のことであり、Y弁護士の発想は一般企業では全く驚くに値しません。

○弁護士の場合、弁護士資格を得れば小さくても一国一城の主であり、例え一時勤務弁護士になっても、勤務しながら自分の事件を持てるのが当然であり、自分自身の事件を持つと言うことは、その営業はあくまで自分のためであり、勤務事務所のためではありません。

○私も昭和55年4月に弁護士登録して仙台のN事務所のイソ弁となりましたが、自分の事件を自由に持つことが出来て、自分の事件収入は1割を事務所に納め、事務所の事務員や設備を使うことが出来ました。自分の事件収入の何割を勤務事務所に納めるから、事務所によって異なり、当時の最高は4割というのがありました。

○イソ弁の事件収入から4割も事務所に納めさせる事務所のボス弁は評判が悪く、そのような事務所に勤務したイソ弁は、早めに独立します。仙台でもごく希に自分の事件は認めずイソ弁が法律相談センター等で自ら受任した事件も事務所事件としなければならない事務所がありましたが、このような事務所に勤務した人は、ごく短期間で独立していました。

○イソ弁に自分の事件を認めないと言うことは、イソ弁が自分で集めた事件収入の10割を事務所に納めると言うことです。このような事務所には到底イソ弁が集まらない、集まっても直ぐ辞めると言うのが私の感覚でしたが、Y弁護士は、5人も雇い、且つ何れも長く勤務し、更に間もなく2人を追加して雇用するという話も聞きました。

○これは私にとっては驚異的なことであり、Y弁護士のイソ弁の気持ちを掴む人心掌握力の凄さに驚いた訳です。私自身はこのような形式でイソ弁を雇う自信は全くなく、仮に雇ったとしても1年も持たず逃げられるでしょう。

○かつて私の事務所で修習した司法修習生の何人かにイソ弁に雇って欲しいと要請されたことがありますが、私は稼ぎが悪いので給料は出せない、自分の事件は自由に持って良いので自分の食い扶持は自分で稼ぐこと、但し事務所の事件はガッチリやって貰うと言う条件を出したら誰も来ず、イソ弁をただでこき使うという目論見は外れましたから(^^;)。
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