平成19年 5月11日(金):初稿 |
○最近、物品販売業の方の任意債務整理の依頼があり、結局、弁護士介入を断念せざるを得ない事案が数件ありました。利息制限法を超える利率で借り入れた商工ローン或いはクレジット債務を抱えて、支払が困難になり、弁護士に依頼して、利息制限法所定利率で元本充当計算した残額を長期分割支払したいとの希望でした。 ○しかし合わせて物品販売業を継続しないと収入の道が絶たれるので、業務はこれまで通り継続したい、継続するためには、顧客の多くは代金支払をクレジット支払にするのでクレジット加盟店契約はこれまで通り維持したいと希望されます。 ○「弁護士への債務整理依頼とブラックリスト」に記載したとおり、弁護士介入による債務整理は、初期の約束に従った支払をしないことになりますので、サラ金或いはクレジットの信用情報機関に事故として届けられます。弁護士介入により利息制限法所定利率での元本充当計算した残額を支払うのは、法に従った支払であり、これを事故扱いするの筋違いであるとは思いますが、現実には事故扱いになります。 ○それでは、加盟店の方が任意整理をして事故扱いになっても、クレジット契約をする方の事故ではないので、加盟店契約に影響はないのではとも考えられますが、クレジット会社に問い合わせてみると、事故扱いになった加盟店は、判明次第、加盟店契約を解除するとのことでした。 ○クレジットカード加盟店契約に関する情報は、ネット検索してもあまり見あたりませんが、私が調べた限りでは、クレジットカードハンドブックがよくまとまっているようです。ここでは、「クレジットカード加盟店とはクレジットカード会社から、クレジットカードのシステムを利用して販売する許可を得た法人、または個人事業主」と定義し、「クレジットカードの入会審査と加盟店審査は基本的にほぼ同じです。」と記載しています。 ○このサイトで紹介しているセゾンカードのクレジットカード加盟店規約解除条項は以下の通りです。 「加盟店(甲)が下記各号のひとつにでも該当した場合にはクレジットカード会社(乙)は本契約を直ちに解除できます。なお、これにより乙に損害が生じた場合には解除後といえども甲は賠償の責を負います (中略) 10.破産、民事再生、会社更生、会社整理、特別清算、その他債務整理に関して裁判所の管理する手続きの申立てを受けた時、これら又は特定調停の申立てを自らしたとき 11.前3号の他甲の信用状態に重大な変化が生じたと乙が判断したとき」 ○会社経営の場合、会社自体は勿論ですが、会社代表者個人が弁護士に依頼して債務整理を行うと会社自体の事故扱いとなり、会社のクレジット加盟店契約も維持できなくなります。ですから、サラ金・商工ローン或いはクレジット債務の債務整理を弁護士に依頼し、且つ、クレジット加盟店契約を維持したい場合は、会社代表者の場合、会社代表者を辞任し、他の代表者を立て、或いは個人営業の場合は、個人営業権を息子等に譲渡して新たな加盟店契約を締結することを覚悟して行う必要があります。 以上:1,247文字
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