平成16年12月23日(木):初稿 平成17年 5月15日(日):更新 |
○一昨日改正破産法の自由財産について述べましたが、今日は少し踏み込んで考えます。 改正破産法の目玉に自由財産が現金99万円まで拡張されたことがあります。破産申立に当たっても99万円までは自由財産として裁判所に提出不要であり、但し、あくまで現金での所持であり預貯金として持っていた場合は20万円を超えた場合、自由財産にはならず裁判所に提出しなければならないのは不合理であると言う問題意識です。 ○当事務所は比較的サラ金・クレジット等の多重債務者自己破産申立事件は多い方です。 私の経験では、多重債務自己破産相談で来所される方の殆どは手持ち金も殆ど無くなったという方ばかりで現金を99万円も持っている方で破産申立を弁護士に依頼する例は先ずありません。 ○当事務所の個人自己破産申立弁護士手数料は裁判所に対する実費支払分も含めて金31万5000円ですが、この金額を直ぐ準備できる方は10人中1人もなく、殆どのお客様は、頭金10万5000円とし残り21万円を4~8回の分割支払をされています。 ○従って預貯金を20万円以上持っている方も殆ど無く自由財産が現金99万円に拡張されたとしてもこの恩恵に与る方は殆ど居ないであろうと思っております。 ○破産制度はそれまでの自己の財産を全て裁判所に提出し、その範囲で債権者に返済し残った債務を免責して貰う制度であり、問題になるのは生命保険解約返戻金です。 本人が財産であるとの意識が無く、返戻金額も判らず、保険会社に照会すると100万円近くになっている場合がたまにあります。 ○生命保険解約返戻金も財産ですから破産申立する以上解約する必要があります。これまでは生命保険解約返戻金がある場合、これを直ちに解約し、例えば80万円あった場合、内31万5000円を弁護士費用に充て残り48万5000円を2ヶ月分の生活費に充当したと裁判所に報告して済ませてきました。 ○改正破産法を形式的に当てはめると生命保険解約返戻金は債権なので20万円以上は裁判所に提出しなければならないことになりますが、これは全く不合理です。 私はこれまで通り、相談を受け受任する場合は、預貯金、生命保険解約返戻金等は速やかに解約して現金化し、その経過を全て裁判所に報告し、20万円を超える預貯金・生命保険解約返戻金については、自由財産拡張申立をして、99万円までは現金と同様にお客様の手元の残せるよう努めたいと思っております。 ○更新情報です。 更新情報10月1日分から小見出しを付けました。例によって【多遊】さんにご指導頂き、桐HPBに小見出し項目データも表示する機能を付けて頂きました。 以上:1,074文字
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