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九士会9月例会-解雇問題講義

平成18年 9月21日(木):初稿
○平成18年9月20日、九士会9月例会を開催しました。7月例会は私の都合で中止となったため5月例会以来3ヶ月ぶりの開催で、「労働契約の解除」をテーマとした格調の高い講義を受けました。

○私は労働法は大学の講義も聴かず、司法試験でも選択せず、ほとんど不勉強であったため大変勉強になりました。労働基準法では解雇についての定めはあるものの懲戒解雇と普通解雇を区別した定めが無く、解釈に委ねられています。

○労働者との雇用契約について使用者側からの解除申出が解雇、労働者側からの解除申出は退職と呼ばれていますが、何れも雇用契約終了の一原因です。

○労働契約の期間の上限は民法上5年のところ、労働基準法上は原則3年で、期間の定めがない場合、民法上は労使双方いつでも解除申出が出来て2週間の経過によって契約が終了するところ、労働基準法上は使用者側の解除申出は1ヶ月の予告期間か1ヶ月分の給料を支払っての即時解雇が出来ました。

○ところが、平成15年の労働基準法改正によって、第18条の2が追加され「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められました。これは判例で一般に認められていた解雇制限が条文化されたものです。

○解雇は一般に労働者にとって不利益と考えられていますが雇用保険法上は自己都合退職だと雇用保険から支給される基本手当(失業保険金)が3ヶ月据え置かれ且つ支給期間も短くなるため、労働者としては普通解雇を望む例が一般です。普通解雇だと失業保険受給の据置期間7日間のみで且つ支給期間も自己退職より長くなる(45歳以上60歳未満の例で150日が330日になります)からです。そのため労使の合意?で普通解雇扱いにする例が多いそうです。解雇でも懲戒解雇になると自己退職と同様の据置期間後受給期間制限が生じますので、労働者にとってはこの面でも懲戒解雇は厳しいものです。

○懲戒解雇と普通解雇の最大の違いは退職金の有無で懲戒解雇の場合原則として退職金は支給されません。しかしこの点は労使の合意があれば懲戒解雇扱いでも退職金は普通に出す場合もあります。使用者にとって懲戒解雇の実益は退職金を出す必要が無くなることと、失業対策としての助成金を受け取っていた場合、普通解雇であれば助成金受給資格が無くなるところ懲戒解雇の場合は無くならないとの点もあるそうです。
以上:1,001文字

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