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併合4級後遺障害に職業介護費用日額7000円を認めた地裁判決紹介

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令和 8年 3月23日(月):初稿
○信号機による交通整理の行われていない交差点内において、被告が所有し、運転する普通乗用自動車が、同人の過失により、原告Z1(症状固定時9歳)が運転する自転車に衝突した交通事故により、原告Z1が後遺障害を負ったとして、原告らが、被告に対し、自動車損害賠償保障法3条又は民法709条に基づき、損害の賠償及びその遅延損害金の支払いを求めました。

○原告Z1の認知障害の内容、程度に関する事情を総合すると、原告Z1は、単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労ができない又は極めて困難であると評価することはできず、頭部外傷後の神経系統の機能又は精神の障害について、後遺障害等級5級相当の後遺障害が残存したものと認めるのが相当であるなどとして、母親が67歳になるまでの36年間につき日額3000円、その後平均余命まで職業介護を前提に日額7000円の介護費用を認めた平成25年3月12日名古屋地裁判決(自保ジャーナル1895号30頁)関連部分を紹介します。

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主   文
1 被告は、原告Z1に対し、8,736万2,015円及びこれに対する平成17年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告Z1のその余の請求を棄却する。
3 原告Z2及び原告Z3の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は、これを3分し、その1を原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。
5 この判決は、第1項につき、仮に執行することができる。

事実及び理由
第一 請求の趣旨

1 被告は、原告Z1(以下「原告Z1」という。)に対し、1億4,201万0,936円及びこれに対する平成17年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は、原告Z2(以下「原告Z2」という。)に対し、550万円及びこれに対する平成17年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告は、原告Z3(以下「原告Z3」という。)に対し、550万円及びこれに対する平成17年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
5 仮執行宣言

第二 事案の概要
 本件は、信号機による交通整理の行われていない交差点内において、被告が所有し、運転する普通乗用自動車(以下「被告車」という。)が、同人の過失により、原告Z1が運転する自転車(以下「原告自転車」という。)に衝突した交通事故(以下「本件事故」という。)により、原告Z1が後遺障害を負ったとして、原告らが、被告に対し、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条又は民法709条に基づき、損害の賠償及びその遅延損害金の支払いをそれぞれ求めた事案である。

1 前提事実(証拠を摘示しない事実は当事者間に争いがない。)

     (中略)

(5)症状固定及び事前認定
ア 症状固定
 原告Z1は、平成19年4月5日、Z5病院において、本件事故による聴力等の後遺障害として、聴力レベルは6分平均右19.2dB、左9.2dB、最高明瞭度は右60dB・80%、左30dB・95%であり、右耳に8,000Hzの耳鳴りを残存したとして、症状固定の診断を受けた。
 また、原告Z1は、平成19年7月4日、同病院において、脳挫傷、右側頭蓋骨骨折による頭部外傷後後遺症について、同日、症状固定した旨の診断を受けた。同診断の後遺障害診断書には、自覚症状として集中力低下、他覚症状として平成17年10月3日脳波徐波の混入があるが減少傾向、障害内容の増悪、緩解の見通しとして、てんかん発作を起こす可能性があり、精神科での脳波の検査を定期的に行う必要がある旨記載されていた。
 なお、原告Z1は、いずれの症状固定時も9歳であった。

イ 事前認定
 原告Z1は、損害保険料率算出機構により、右耳鳴りにつき難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あるものとして自賠責後遺障害別等級表別表第二備考6により第12級相当の及び神経系統の機能につき同別表第二第5級2号の各後遺障害に該当し、併合4級の事前認定を受けたところ、併合2級に該当するとの異議を申し立てたが認められなかった。

     (中略)

第三 争点に対する判断
1 争点(1)(事故態様及び過失相殺)について



     (中略)

オ 後遺障害診断書と自賠責認定
 原告Z1は、聴力等について平成19年4月5日、頭部外傷後後遺症について同年7月4日に症状が固定した旨診断された。
 また、Z5病院脳神経外科医師は、同年11月13日、神経系統の障害に関する医学的意見として、運動機能は正常で、身の回り動作能力はいずれも自立しており、てんかん発作は生じていない旨、自発性が低下し、声かけが必要であるが、社会生活、日常生活に特に問題はなく、学校へもおおむね問題なく通っていることが認められた旨、家庭内で夜間急に立ち上がって歩き出すといったことがあるとの訴えが両親からあった旨報告した。
 そして、損害保険料率算出機構により、難聴に伴い著しい耳鳴りが常時ある12級相当の神経系統の機能につき5級2号の各後遺障害に該当し、併合4級の事前認定を受けた。

カ 以上認定した事実関係によれば、原告Z1は、本件事故直後、画像所見上、脳挫傷、頭蓋骨骨折が認められ、意識障害が生じていたもので、脳の器質的損傷による認知障害が残存したものと認められる。なお、身体性機能障害の残存は認められない。
 そして、原告Z1の認知障害の内容、程度に関する事情を総合すると、原告Z1は、単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労ができない又は極めて困難であると評価することはできず、頭部外傷後の神経系統の機能又は精神の障害について、後遺障害等級5級相当の後遺障害が残存したものと認めるのが相当である。
 また、原告Z1の聴力等の後遺障害は、後遺障害等級12級に相当すると評価するのが相当である。
 よって、原告Z1の後遺障害は、後遺障害等級併合4級であると評価するのが相当である。

(2)介護の必要性と相当性について
 原告Z1は、食事、入浴、更衣を中心とした日常生活動作は自立しているが、自発性が低い。また、原告Z1は、まだ中学2年生と幼いが、将来的に、火気の使用や料理、公共交通施設などを使用して外出する、必要なものを購入するなどの活動を単独で行うことを習得できないおそれも少なくなく、今後このような社会生活を送るにあたり、随時、声かけや見守りを受ける必要があるものと認めるのが相当である。
3 争点(3)(原告らの損害額)について


     (中略)

オ 将来付添費 2,526万2,124円
 前記2のとおり、原告Z1が、社会生活を送るためには、随時の声かけ及び見守りが必要であり、現在は、原告Z3を中心に家族が声かけ、見守りを行っている。
 そのため、原告Z1の症状固定時の平均余命70年間のうち、症状固定日から原告Z3(昭和50年△月生)が67歳になるまでの36年間は、近親者による声かけ、看護費用として日額3,000円、その後34年間は職業付添人による付添いとして日額7,000円を要する。
そして、中間利息を控除すると、上記金額が損害となる。
(計算式)3,000円×365日×16.5469+7,000円×365日×(19.3427-16.5469)=2,526万2,124円

カ 調査費用等 4万2,329円
 証拠(略)によれば、原告Z1の本件事故による損害として、調査費用等4万2,329円の損害が生じたものと認める。

キ 逸失利益 5,976万9,771円
 原告Z1の後遺障害等級は併合4級に相当し、その後遺障害の内容、程度に照らすと、労働能力喪失率は92%とするのが相当である。
 原告Z1が、症状固定当時9歳の男児であることに鑑みると、逸失利益の算定に当たっては、平成19年賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、男性労働者の全年齢平均賃金554万7,200円を基礎収入とするのが相当であり、18歳から67歳までの就労可能期間につきライプニッツ係数により中間利息を控除した後遺障害による逸失利益は、上記のとおりとなる。
(計算式)554万7,200円×0.92×11.7117=5,976万9,771円

     (中略)

ア 近親者慰謝料 0円
 原告Z2及び同Z3は、原告Z1の両親であり、息子の原告Z1が本件事故により負った傷害及び後遺障害の内容、前記認定のとおり将来の介護費用が認められていることに照らすと、介護の労を経ることになるが、本件において近親者固有の慰謝料を認めるには至らない。
イ したがって、その余の点につき、判断するまでもなく、原告Z2及び同Z3の請求は理由がない。

4 よって、原告Z1の請求は主文の限度で理由があり、原告Z2及び同Z3の請求は理由がない。
(口頭弁論終結日 平成24年12月4日)
名古屋地方裁判所民事第3部
裁判長裁判官 徳永幸藏 裁判官 光野哲治 裁判官 荻野文則
以上:3,696文字

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