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就労可能期間終期についての判例変遷紹介2

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令和 6年 2月16日(金):初稿
○「就労可能期間終期についての判例変遷紹介1」の続きで、交通事故で死亡した10歳女子の逸失利益請求における就労可能期間終期を63歳と認定した昭和49年3月14日福岡地裁行橋支部判決(最高裁判所民事判例集32巻7号1509頁)の請求原因・答弁・判決理由部分を紹介します。

○判決は、厚生省第12回生命表によると、事故にあわなければ、智子は64年余の余命があつたと考えられ、右各事実によると、智子は高校卒業の満18才から満63才に至るまで45年間は就労可能であつたと認定しています。余命期間の殆どを就労可能期間と認定しています。

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(原告請求原因)
(一)、智子の生年月日は前記のとおりであり、昭和44年の簡易生命表によると、あと66.02年の余命があり、原告らの家庭状況、高校教育の現状に照し、智子は生存していれば、高校教育を受けることは間違いなく、18才から63才まで45年間就労可能である。

そして高卒女子全産業年令帯別賃金によれば、最低別表のとおりの賃金収入を得た筈であるから、同表(三)欄記載の期間中総計額につき、各年令帯の最後に賃金を得るものとして、ホフマン方式によりその現在高を算出すると、同表(四)欄記載の金額となり、これより生活費として賃金の2分の1を控除した440万2260円が智子の逸失利益となる。

(被告答弁)
智子は、その能力、家庭環境から考えれば、通常25才までには結婚して家庭の主婦になつた筈であるから、25才から63才までの勤労婦人としての逸失利益を損害とすることは妥当でない。なお原告両名は智子の扶養義務者であり、同人の死亡により同人の将来の養育料、教育費(一カ月1万円)の支出を免れたことに帰するから原告らが相続した智子の逸失利益の賠償請求額からこれを控除すべきである。

(判決理由)
原告らは、智子の逸失利益など財産上の損害も含ませて原告らの慰藉料を請求しているが、右は要するに、本件事故により原告らに生じた財産上、精神上の一切の損害を求めるというに帰するので、以下右損害を順次検討する。

(一)、智子の逸失利益
前掲甲第11号証、原告ら各本人尋問の結果によると、智子は昭和36年5月10日生れの健康な女子で、事故当時満10才であつたこと(智子の生年月日は、被告会社および被告井無田の認めるところである。)、原告らの家庭状況からも智子が生存していたら高校教育は受けたであろうこと、以上が認められ、厚生省第12回生命表によると、事故にあわなければ、智子は64年余の余命があつたと考えられ、右各事実によると、智子は高校卒業の満18才から満63才に至るまで45年間は就労可能であつたと認めるのが相当である。

そして労働省労働統計調査部発行の賃金構造基本統計調査昭和四六年第一巻第一表によると、同年度高卒の女子全産業(企業規模計)労働者の平均賃金収入は、毎月きまつて支給される給与が4万2900円、年間賞与その他特別支給額が12万3000円であり、従つて智子も生存していれば前記就労可能期間中、右平均賃金収入を下らない収入があつたと認めるのが相当である(なお、女児につき結婚を考慮すべきでないと解する)。

すると、智子が前記就労可能期間中毎年得べかりし収入は、次のとおり63万7800円となり、4万2900円×12(月)+12万3000円=63万7800円
生活費として右年収の2分の1を控除した純年収3万8900円を満18才で高卒後、前記期間毎年年度末に受取るものとして、その合計額をライプニツツ式計算法によつて年5分の割合による中間利息を控除して事故時の現価にひき直すと、次のとおりその額は、345万7960円となり、
31万8900×(18.5651(事故時より就労最終年度末までの期間の系数)-7.7217(事故時より就労開始年度末までの期間の系数))=345万7960(円未満切捨)
右345万7960円が智子の逸失利益となる。
以上:1,658文字

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