仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 交通事故 > 交通事故判例-その他後遺障害関係 >    

右足関節機能障害について後遺障害等級10級を認めた地裁判決紹介

   交通事故無料相談ご希望の方は、「交通事故相談フォーム」に記入してお申込み下さい。
令和 5年 8月18日(金):初稿
○後遺障害等級第10級11号「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」の自賠責認定に対し、他覚所見に乏しいので14級に過ぎないと争われている事件を扱い、関連判例を探しています。関節機能障害については、その機能障害の原因について他覚所見が必要とされているところ、骨折及び半月板損傷縫合術後の治癒が完全かどうかが争いになり、保険会社側は、完全治癒し、機能障害の原因とはならないと主張しています。

○平成30年4月12日神戸地裁判決(自保ジャーナル・第2028号)の事案は、後遺障害等級10級11号の主張に対し、著しい可動域制限の原因となる器質的損傷は認められないから、左足関節痛について、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として、後遺障害等級12級13号相当の後遺障害が認められるにすぎないと主張しました。判決は、原告は、症状固定時、骨癒合が得られていたものの、左足関節の変形性関節症が存在していたと認めるのが相当であり、同症により左足関節可動域制限が発生・増悪したと考えるのが自然かつ合理的であり、原告に器質的損傷の発生を認めるのが相当として10級認定を維持しました。その関連部分を紹介します。

********************************************

主    文
1 被告は、原告に対し、3130万9880円及びこれに対する平成24年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを4分し、その1を原告の、その余を被告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第一 請求

 被告は、原告に対し、4172万6409円及びこれに対する平成24年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要

         (中略)

3 争点2(原告の後遺障害)
(1) 原告の主張

 原告は、平成26年3月20日、症状固定し、後遺障害等級併合11級と認定されているところ、左足関節機能障害(可動域制限)は、症状固定前後で一進一退を繰り返しており、原告の主治医であるB病院の丙川三郎医師(以下「丙川医師」という。)による後遺障害診断時の計測値(他動)である患側の底屈30度、背屈0度を採用するのが相当であり、これは外傷性変形性足関節症によるものであり、可動域角度が健側の底屈60度、背屈10度の2分の1以下に制限されているから、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」として、後遺障害等級10級11号に相当し、左下腿の開放創及び手術瘢痕の醜状障害と併せて、原告に後遺障害等級併合9級相当の後遺障害が認められるところ、左下腿の開放創及び手術瘢痕も、ほぼ全周に存在し、調理や接客の体勢によっては開放創や手術瘢痕が見えるため、接客対応を交替してもらうことがあり、労働能力に影響が発生している。

そして、原告は、本件事故前、飲食店における調理及び接客を業務内容としており、調理、配膳、接客、皿洗い、ゴミ出し等の業務全般に従事し、厨房内やフロアでの速やかな移動やしゃがみ込み動作等が必要不可避であったが、本件事故後、左足の動きが制限され、重い物を運ぶ際に手助けがなければ運ぶことができないなど業務に大きな支障が発生し、店舗を異動後、平成29年7月31日、勤務先を退職せざるを得ず、その後、アルバイトで勤務しており、減収が発生しているから、労働能力喪失率は35%、労働能力喪失期間は67歳までの36年が相当である。

(2) 被告の主張
 否認ないし争う。原告は、Cクリニックにおいて、継続して関節可動域訓練が実施され、平成26年3月17日、B病院の後遺障害診断の3日前、Cクリニックで計測した左足関節可動域は底屈40度、背屈15度であるところ、これは適切なリハビリの実施により現実に左足関節可動域が広がったものであるから、同クリニックの上記計測値を採用すべきであり、参考可動域(底屈45度、背屈20度)に照らすと、左足関節機能障害は後遺障害等級非該当であり、また、原告に変形性足関節症が認められるとしても、骨棘形成や関節軟骨摩耗等は認められず、著しい可動域制限の原因となる器質的損傷は認められないから、左足関節痛について、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として、後遺障害等級12級13号相当の後遺障害が認められるにすぎない。また、左下腿の開放創及び手術瘢痕について、後遺障害等級12級相当の後遺障害が認められるが、調理師としての労働能力に影響はないというべきである。

以上のとおり、原告に後遺障害等級併合11級相当の後遺障害の残存が認められるが、原告は、復職後、重量物の持ち運び等の一定の業務に支障を来したものの、調理、配膳、接客、皿洗いが可能であり、出勤日数や労働時間も以前と同程度であり、待遇の不利益も収入の変化もなく、店舗運営全般の業務に従事し、料理長兼店長として店舗を異動後、金銭管理を任されており、退職申出も本人の意思によるものであり、原告が退職しなければ、本件事故前の収入を維持できた蓋然性が高いから、本人の努力を認めるとしても、労働能力喪失率は14%、労働能力喪失期間は5年ないし10年が相当である。

         (中略)

第三 争点に対する判断
 1 認定した事実


         (中略)

3 争点2について
(1) 上記1認定の事実に照らすと、B病院の丙川医師は、原告の症状固定日を平成26年3月20日と診断したことが認められるところ、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、同年2月20日のB病院の診察から同年3月20日の同病院の診察までの間、Cクリニックに9日通院し、リハビリ等を受けたことが認められ、原告は、同年2月20日以降も、治療を受けていたと認めるのが相当であるから、経過観察の点も考慮し、原告の症状固定日が約1ヶ月を空けた同年3月20日であることは自然かつ合理的であるというべきであり、丙川医師の診断のとおり、原告の症状固定日は同日であると認めるのが相当である。

(2) ところで、上記1認定の事実に照らすと、原告の左足関節可動域は、Cクリニックの診察時に背屈10度ないし15度、底屈40度ないし45度で推移し、平成26年2月27日及び同年3月17日のCクリニックの診察時に背屈10度ないし15度、底屈40度であったのに対し、同年3月20日のB病院の後遺障害診断時に背屈0度、底屈30度(他動)であったことが認められるところ、B病院及びCクリニック作成の調査嘱託回答書のほか、原告本人の供述及び陳述書によれば、平成26年3月20日、B病院において、丙川医師がリハビリ前に両足関節可動域を計測したこと、同年2月27日及び同年3月17日、Cクリニックにおいて、理学療法士がリハビリ後に左足関節可動域のみを計測したことが認められ、計測者や計測のタイミング等の点でB病院の丙川医師による計測の信頼性がより高いというべきであり、原告の左足関節可動域はB病院における後遺障害診断時の計測値(背屈0度、底屈30度)を採用するのが相当である。したがって、原告の左足関節可動域(背屈、底屈の他動)は、健側(右足。背屈10度、底屈60度)の2分の1以下に制限されていると認めるのが相当である。

(3) また、上記1認定の事実に照らすと、原告は、本件事故により左脛骨腓骨遠位端開放骨折という重傷であったこと、原告は、本件事故から間もなく、2回の観血的整復内固定術を受けたこと、原告は、症状固定の約9ヶ月半後、B病院を受診し、足関節の変形性関節症変化が進行している旨指摘されたことが認められるところ、以上の事実に加えて、丙川医師作成の照会事項兼回答書及び丁山四郎医師作成の意見書によれば、原告は、症状固定時、骨癒合が得られていたものの、左足関節の変形性関節症が存在していたと認めるのが相当であり、同症により左足関節可動域制限が発生・増悪したと考えるのが自然かつ合理的であり、原告に器質的損傷の発生を認めるのが相当である。したがって、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」として、原告に後遺障害等級10級11号相当の左足関節機能障害の後遺障害を認めるのが相当である。


以上:3,419文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック

(注)このフォームはホームページ感想用です。
交通事故無料相談ご希望の方は、「交通事故相談フォーム」に記入してお申込み下さい。


 


旧TOPホーム > 交通事故 > 交通事故判例-その他後遺障害関係 > 右足関節機能障害について後遺障害等級10級を認めた地裁判決紹介