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交通事故と心因性視力障害の因果関係を認めた地裁判決紹介3

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令和 1年 6月26日(水):初稿
○「交通事故と心因性視力障害の因果関係を認めた地裁判決紹介2」の続きで、本件事故による視力低下(右眼矯正視力0.6、左眼矯正視力0.5)、視野狭窄、調節力低下について、被告が視力障害については器質的損傷、他覚的所見もないことから前記後遺障害には該当しないと争った事案について、視力障害を後遺障害等級第9級とみとめた平成2年2月14日静岡地裁判決(交民23巻1号134頁)を紹介します。

○パチンコ店北側出入口から駐車場に進入し、時速約25キロメートルで進行していた被告運転の普通車の右側面前部と、同店南側出入口から進入し、出入口で一時停止後、時速約10キロメートルで駐輪場に向けて進行していた原告運転の原付自転車が衝突した事故につき、原告が損害賠償約3220万円の支払をを求めたところ、被告が後遺障害の程度及び過失相殺の可否を争いました。

○判決は、鑑定結果によれば、原告には本件事故による視力低下(右眼矯正視力0.6、左眼矯正視力0.5)、視野狭窄、調節力低下が認められ、これらは障害等級9級に該当するとした上で、認定事実によれば、双方の進行方向からはお互いの方向の見通しが悪かったのであるから、原告にも左右安全確認不十分の過失があるとして、双方の過失割合を原告3割、被告7割とする過失相殺を行い、請求を一部認容しました。

○事故により、左側肋骨骨折、左肺血気胸、全身打撲等の傷害を負い、障害等級14級の10の「局部に神経症状を残すもの」及び同9級該当の視力低下(右眼矯正視力0.6、左眼矯正視力0.5)、視野狭窄、調節力低下という後遺障害を負った男性(症状固定時38歳)の損害の算定において、入院雑費については、日額1000円、入院期間28日として2万8000円を認め、後遺障害逸失利益については、当事者間で争いのない基礎収入につき日額1万2363円を認め、就労可能年数を29年、労働能力喪失率を3割5分としてその額を算定し、慰謝料については、入通院慰謝料として160万円、後遺障害慰謝料として540万円を認めました。

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主   文
一 被告は原告に対し、金2033万1372円とこれに対する昭和63年6月13日から支払ずみまで年5分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は3分し、その1を原告の、その余を被告の各負担とする。
四 この判決第一項は仮に執行することができる。

事   実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨

1 被告は原告に対し金3219万7043円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から完済に至るまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 仮執行宣言

二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

第二 当事者の主張
一 請求原因
1 事故の発生
 左記交通事故(以下、「本件事故」という。)により原告は後記傷害を受けた。
 日時 昭和61年9月27日午前9時30分ころ
 場所 静岡市手越70番地の一 パチンコ銀座駐車場内
 加害車 被告所有の普通乗用自動車(静岡57ま3138)
 右運転者 被告
 事故の態様 パチンコ銀座北側出入口より同パチンコ店駐車場に進入し、時速約30キロメートルで進行中の被告車の右側面前部に、同パチンコ店南側出入口から進入し、出入口で一時停止した後、時速約10キロメートルで駐輪場へ向けて進行中の原告運転の原動機付自転車が衝突した。

2 傷害
 原告は、本件事故により、左側肋骨々折、左肺血気胸、全身打撲等の傷害を受け、事故当日から同年10月22日まで、26日間静岡県立総合病院に、同月23日から24日まで2日間高部外科医院にそれぞれ入院したが、県立総合病院に入院中の同年10月15日視力低下を訴えて同病院眼科も受診するようになり、退院後も昭和62年11月4日まで通院治療を受けた。同年11月4日症状固定と診断された。

3 損害
(一) 治療費 金26万4292円

(二) 入院雑費 金3万3600円
 ただし、1日当り金1200円として28日分

(三) 休業損害 金499万4652円
 ただし、1日当り金1万2363円として事故日から症状固定日までの404日分

(四) 入通院慰謝料 金160万円
 ただし、入院期間28日分、通院期間376日分として。

(五) 後遺障害
 原告の後遺障害は、高部外科医院の診断書によると、自覚症状としては「項部疼痛と重い感じがする。頭痛と頭重感がある。自動車を運転又は乗せてもらうと自動車の停止したり車の激しい動きで後頭部が痛む。」とあり、他覚症状および検査結果として「頭部の後屈に際し項部痛がある。下部腰椎の両側圧痛あり。」とある。これは、第14級の10(局部に神経症状を残すもの)に該当する。また、静岡県立総合病院(眼科)の診断書によると、視力(矯正視力)が右が0・5、左0・6となつている。原告の視力は本件事故前両眼とも1・2ないし1・5あつたからこの視力の低下は第9級の1(両眼の視力が0・6以下になつたもの)に該当する。したがつて、原告の後遺障害は9級である。
 原告は、昭和62年11月4日の症状固定時、満38歳であつた。

(1) 逸失利益 金2391万3290円
 (計算式)
 4,512,495円(年収)×35/100(労働能力喪失率)×15.141(労働能力喪失期間29年に対するライプニッツ係数)≒23,913,290円

(2) 慰謝料 金540万円
 原告の両眼の後遺障害、及び前記神経症状を総合考慮すると慰謝料として金540万円が相当である。
 以上金額の合計は金3620万5834円となるが、原告は既に保険会社より金650万8791円の支払を受けているので、これを差し引くと金2969万7043円となる。

(六) 弁護士費用 金250万円
 原告は、原告訴訟代理人に本件損害賠償手続を依頼し、その弁護士費用として、金250万円を支払う旨約した。
 したがつて、原告が本件訴訟で請求する損害額は合計で金3219万7043円となる。

4 よつて、原告は、運行供用者である被告に対し、自賠法3条に基づき損害賠償金として金3219万7043円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二 請求原因に対する認否
 請求原因1項の事実について、交通事故の発生の外形的事実は認める。
 同2項の事実を認める。
 同3項の事実のうち(一)、(三)及び内払金については認め、その余の事実については不知乃至争う。特に後遺障害の程度については争う。
 神経症状が同後遺障害14級10号に該当することは認めるものの、視力障害については器質的損傷、他覚的所見もないことから前記後遺障害には該当しないものと考えられる。

三 抗弁
 本件事故は、静岡市手越70番地の一所在のパチンコ銀座の駐車場内での事故である。同駐車場に、被告は北西出入口より進入し時速20~25キロメートルで走行し、また原告は西南出入口より進入し時速10~15キロメートルで走行して、衝突した。ところで、西南出入口付近には変電設備小屋が設置されており、被告の進行方向からは右方の見通しが、原告の進行方向からは左方の見通しが妨げられている。
 以上のような状況からすると、原・被告間に走行についての優先関係はなく、互いに前方不注意の過失があり原告にも5割の過失が考えられるのである。又、原告が原動機付自転車を運転していることを考慮しても、少なくとも4割の過失が相殺されるべきである。

四 抗弁に対する認否
 過失相殺の主張は争う。

第三 証  拠
 証拠関係は、本件記録中の書証目録証人等目録のとおりであるから、これを引用する。

理    由
 成立に争いのない乙第一号証の一ないし七によれば、請求原因1の事実が認められる(但し、被告車の速度は時速約25キロメートル)。
 この事実によれば、被告は駐車場内を進行するに際し、進路左右の安全確認を怠つた過失があり、自賠法三条により原告に生じた損害を賠償する責任がある。
 請求原因2の事実は当事者間に争いがない。

 そこで請求原因3の(五)の後遺障害について判断するに、鑑定結果によれば、原告には本件事故による視力低下(右眼矯正視力0・6、左眼矯正視力0・5)、視野狭窄、調節力低下が認められ、これは自賠法施行令2条の9級に該当するというべきである。
 損害について判断するに、請求原因3の(一)、(三)の各事実は当事者間に争いがない。

 入院雑費は1日当り金1000円が相当であり、総額金2万8000円となる。

 入、通院慰謝料としては金160万円が相当である。
 後遺障害の逸失利益としては、原告の1日の収入が金1万2363円であることは被告の明らかに争わないところで、症状固定時満38歳であることから就労可能年数29年、労働能力喪失率35パーセントとして算定すると、総額は金2391万3290円となる(円未満切り捨て)。
 451万2495円(年収)×35/100×15.141(ライプニッツ係数)=2391万3290円

 後遺障害慰謝料としては金540万円が相当である。
 以上合計損害額は金3620万0234円となるが、前認定の事故状況によれば、原告にも左右安全確認不充分の過失があり、その過失割合は、原告3割、被告7割とするのが相当である。
 よつて前記損害額から過失相殺として30パーセントを控除すると残額は金2534万0163円となる(円未満切り捨て)。

 原告が既払金として金650万8791円を受領していることは当事者間に争いがないので、これを控除すると残額は金1883万1372円となる(円未満切り捨て)。
 弁論の全趣旨によれば、原告が原告訴訟代理人に本訴提起と追行を委任したことが認められ、認容額等諸般の事情を考慮すると、弁護士費用としては金150万円が相当である。

 以上原告の本訴請求は、被告に対し金2033万1372円とこれに対する訴状送達の翌日である昭和63年6月13日から支払いずみまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから認容し、その余の請求を棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法89条、92条、仮執行宣言につき196条を適用して主文のとおり判決する。
 (裁判官 小林登美子)
以上:4,282文字

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