平成26年 5月29日(木):初稿 |
○「後遺障害等級標準労働能力喪失率と異なる認定の札幌地裁認判決全文紹介1」を続けます。 ******************************************* イ 後遺障害(7級)による損害 2326万8391円 原告は、平成14年6月28日の症状固定時満52歳(昭和24年12月25日生)から満67歳になるまでの15年間は後遺症が継続すると考えるべきであり、労働能力喪失率56%(7級)として、症状固定時から既に経過している3年間分(平成14年ないし16年)は、各年の賃金センサスの金額どおりで中間利息控除を行わず、その後12年間につき、平成16年の賃金センサスを基準にすべきであり、対応する年5%のライプニッツ係数8.863を用いると、後遺障害による逸失利益は、2326万8391円である。 (計算式) (3,518,200+3,490,300+3,502,200)×0.56+3,502,200×0.56×8.863=23,268,391 ウ 慰謝料 (ア) 入通院慰謝料 1,000万円 原告は、延べ138日の入院治療を強いられ、1588日間にも及ぶ通院治療を余儀なくされたところ、本件症状が特に重いこと及び原告が受けた精神的苦痛が極めて甚大なことを考慮すると、入通院に対する慰謝料は1,000万円を下回ることはな い。 (イ) 後遺障害(7級)による慰謝料 1239万4351円 原告の後遺障害等級は7級に相当するところ、原告の被っている日常生活の多大なる制約、将来の不安・症状固定後の通院治療が不可避なことを併せ鑑みると、原告の後遺障害に対する慰謝料は、1239万4351円が相当である。 エ 損害の填補 747万1728円 原告は、本件事故による損害賠償の一部弁済として、747万1,728円の保険給付を受けた。 オ 以上損害金額合計 5202万3566円 カ 弁護士費用 520万円 原告は、本件訴訟の追行を原告代理人弁護士に委任しており、弁護士費用として、請求金額の約10%に当たる520万円が相当である。 (5) 予備的損害 ア 請求原因(4)アと同じ イ 後遺障害(9級)による損害 1454万2745円 仮に、原告の後遺障害等級が9級相当であるとしても、原告は、平成14年6月28日の症状固定時満52歳(昭和24年12月25日生)から満67歳になるまでの15年間は後遺症が継続すると考えるべきであり、労働能力喪失率35%(9級)として、症状固定時から既に経過している3年間分(平成14年ないし16年)は、各年の賃金センサスの金額どおりで中間利息控除を行わず、その後12年間につき、平成16年の賃金センサスを基準にすべきであり、対応する年5%のライプニッツ係数8.863を用いると、後遺障害による逸失利益は、1454万2745円である。 (計算式) (3,518,200+3,490,300+3,502,200)×0.35+3,502,200×0.35×8.863=14,542,745 ウ (ア) 請求原因(4)ウ(ア)と同じ (イ) 後遺障害慰謝料(9級) 2111万9997円 仮に、原告の後遺障害等級が9級であるとしても、原告が被っている日常生活の多大なる制約、将来への不安、症状固定後の通院治療も不可避であることを併せ鑑みると、原告の後遺障害慰謝料は、2111万9997円が相当である。 エ 請求原因(4)エないしカと同じ。 (6) よって、原告は、被告らに対し、自賠法3条又は民法709条に基づく損害賠償として、5722万3566円及びこれに対する本件事故日である平成8年7月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うことを求める。 2 請求原因に対する認否 (1) 請求原因(1)、(2)イ、(3)は認める。 (2) 同(2)アのうち、原告が本件事故により、反射性交感神経性萎縮、反射性交感神経性ジストロフィーの傷害を負ったことは否認し、その余は認める。 (3) 同(2)ウ(ア)は不知。 (4) 同(2)ウ(イ)のうち、右膝内側部痛及び右膝内側異常知覚が残続していることは認め、その余の事実は不知。 (5) 同(2)エは争う。原告の後遺障害等級はいずれの後遺障害も14級相当であり、併合14級である。仮にそうでないとしても、せいぜい12級程度である。 原告の症状固定時期は平成9年11月である。仮にそうでないとしても、遅くとも平成10年3月4日には固定している。平成9年11月以降に発生した原告の主訴は、専ら原告の心因的要素に基づくものである。 (6) 同(4)、(5)のうち、損害の填補については認め、弁護士費用については不知、その余は否認ないし争う。休業損害及び後遺障害による逸失利益の基礎収入は現実収入によるべきである。原告の労働能力の喪失期間は3年とみるべきであり、仮にそうでないとしても、10年とみるべきである。 3 抗弁 仮に、原告が反射性交感神経性萎縮症(RSD)に罹患しているとしても、その発症には原告の心因的な要素が大きく影響していると考えざるを得ないから、原告に発生した損害の5割については素因による減額をすべきである。 4 抗弁に対する認否 抗弁は否認ないし争う。原告の後遺症は、本件交通事故の外傷たる外因によって発生したものであり、素因減額すべきではない。 以上:2,208文字
|