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平成26年 4月30日(水):初稿 |
○「加害者請求権消滅時効理由での保険会社への直接請求否認判例まとめ5」を続けます。 お客様の主治医から脳脊髄液減少症と診断された症状での苦しみを目の当たりにして何とかこの苦しみについて適正な損害賠償を認めて貰うべく膨大な時間と労力をかけて審理してきた訴訟は、脳脊髄液減少症発症が全く認められず、更に、保険会社への直接請求まで時効中断で否認されたもので私にとっては正に踏んだり蹴ったりの判決でした。 ○そこで当然仙台高裁へ控訴しました。控訴理由書は1万5000文字を超える長いものになりましたが、その骨子は次の通りです。 争点(本件各事故を原因とする低髄液圧症侯群の発症の有無)について 1 起立性頭痛について 国際頭痛分類の第3版ベータ版(ICHD-III)原文では、起立性頭痛について this cannot be relied on as a diagnostic criterion. とあり、直訳すると「これ(起立性頭痛)は診断基準としては頼ることができない」であり、脳脊髄液減少症の診断基準として起立性頭痛があることが前提とされていたものがこれを不要としたものであり,180度転換したというべき重大な変更がなされた 2 医療記録に起立性頭痛の記載がない点について 医療現場実態からは、起立性頭痛があれば医師によって医療記録に記載されることが通常であるという原審判決の判断は経験則に反する 3 頭部MRI査の結果について 原告の頭部MRI画像において「テント,大脳鎌と連続して硬膜造影を受けている」が明らかで、厚労省研究班の画像診断基準においては,硬膜に両側対称性にびまん性かつ連続性に造影効果と硬膜の肥厚の認めること,冠状断像で天幕および小脳テントが連続的に造影されることが判定基準とされ,びまん性の硬膜増強所見があれば,低髄液圧症の『強疑』所見とするとされる 4 RI脳槽脊髄腔撮影の結果について 原告のRIシンチ画像では,腰椎部において左右非対称の漏出像が見られることは明らかで、厚労省の画像診断基準に当てはめれば『疑』であるとされ,鈴木医師も髄液漏れは明らかであると言明し、頭部MRIの検査結果において大脳硬膜の連続した造影が見られるという別個の客観証拠と合わせれば脳脊髄液減少症を発症したことは明白 争点(任意保険の直接請求権を行使する期限が経過したか否か)について 1 約款第25条の解釈の誤り (2)「損害賠償請求権者の被保険者に対する損害賠償請求権が時効によって消滅した場合」とは、既に損害賠償請求権者の被保険者に対する消滅時効期間が経過して消滅した時点では、直接請求権も行使できなくなると解釈すべき 原判決解釈では難事件での直接請求が不可能になるから 2 直接請求は実質訴外A(加害者)に対する損害賠償請求権行使 約款第6条では、損害賠償請求権者の直接請求権として、「対人事故によって被保険者の負担する法律上の損害賠償責任が発生した場合は、損害賠償請求権者は、当会社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当会社に対して第3項に定める損害賠償額の支払を請求することができます。」とあくまで「損害賠償額の支払請求」と規定 3 保険会社債務と加害者債務は連帯債務 保険会社は、約款第6条で被保険者の負担する法律上の損害賠償債務について併存的債務引受をして連帯債務者となったもの 4 連帯債務者1人に対する請求絶対効による時効中断が明らか 民法第434条(連帯債務者の一人に対する履行の請求)「連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。」との規定からも保険会社に対する請求は他の連帯債務者である訴外Aに対する履行の請求と同視できる ○以上の見解は、任意保険会社へ約款第6条(3)号に基づいて直接請求が出来ることが前提であり、この点、原判決は、消滅時効完成により請求権が消滅しているので、三井住友M弁護士が、激しく争った約款第6条(3)号に基づいて直接請求が出来るかどうかについての判断はしませんでした。私は、出来ることが当然の前提として、消滅時効が中断されていない点を力説し、高裁は3人で審理するのだから、形式論理解釈ではない具体的に妥当な結論になるであろうと期待しました。ところが、高裁判決は私にとって更に驚愕の判決でした(^^;)。別コンテンツで紹介します。 以上:1,789文字
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