平成24年10月24日(水):初稿 |
○「交通事故専門?弁護士急増中」の続きです。 私は平成9年から日弁連業務改革委員会に所属し、当初は広告解禁問題を扱うPTに所属し、平成12年の弁護士広告規制改革-解禁のための準備作業を担当し、広告解禁後は専門認定制度設立のためのPTに参加するも、調査するほどにそんなものは要らないとの考えに傾いて興味を失い、平成15年頃に、専門認定PTから、弁護士の新たな活動領域開拓を求める新分野PTに所属し、主に交通事故事件活性化方策検討を担当して活動してきました。 ○その間、平成13年頃から、日弁連報酬問題検討ワーキンググループにも所属して、報酬規制撤廃のための周辺規則作り等の準備作業を担当し、平成16年の報酬規制撤廃を見届け、同グループはお役ご免となりましたが、弁護士の三大特権の内競争排除を守る広告禁止、統一料金の撤廃によって、それまでは特別の業務であった弁護士業務が、普通の業務に近づくことが確実な情勢になりました。 ○さらに最大の弁護士特権であった少人数による法律業務独占体制も、昭和時代までの合格者500人時代が、平成5年700人、平成11年1000人、平成16年1500人と増えつづけ、更に法科大学院設立による合格者急増政策で、、平成19年2000人に増え、その後、平成24年まで合格者2000人定着しています。その結果、弁護士数が大増員となり、前記競争排除と相俟って、弁護士業務特に宣伝・広告に劇的変化をもたらしました。法科大学院設立構想では最終的には合格者3000人でしたが、2000人でも弁護士業務を普通の業務に引き下げるとの所期の目的を達し、おそらく今後は当分の間2000人時代が続くと思われます。 ○平成12年広告解禁当初から5,6年間程度は、広告解禁となっても弁護士広告はさほど増えませんでしたが、徐々に特にホームページによる広告が増え始め、おそらく平成20年前後だったと思われますが、MIRAIO、アディーレ、ITJという広告三大事務所による派手なTV広告の始まりにより、これにつられるようにホームページ広告や地下鉄広告等も急増し、今や弁護士も宣伝広告無しではやっていけない時代となりました。 ○私は、金沢市で開催された平成17年日弁連業務改革シンポで弁護士業務分野として「交通事故分野」開拓に力を入れるべきとの体験報告をしました。この当時は、交通事故分野について弁護士の関心が低く、交通事故事件への弁護士関与が余りに少なすぎると感じており、日弁連としても組織的に交通事故事件開拓に取り組むべきと確信していたからです。 ○そこで日弁連業務改革委員会の新分野PTで、交通事故事件開拓を担当し、アンケート調査や交通事故事件開拓のための方策として交通事故損害賠償示談契約への消費者法適用等の提言をしてきました。しかしここ2,3年の一般弁護士業務ドル箱であった債務整理・過払金返還請求事件の激減により、多くの弁護士が次のターゲットとして交通事故事件に着目し、その獲得に力を注ぐようになっています。 ○「交通事故 弁護士」でGoogle検索をかけると300数十万件の関連HPが出て来て、交通事故専門を謳う弁護士が全国的レベルで急増しており、交通事故事件について弁護士に依頼すると如何に有利かについて懇切・丁寧に解説しており、交通事故被害者にとってはHPを見れば欲しい情報が豊富に取得出来る時代となりました。ちなみに当事務所HPは、このキーワードでは、最初の10頁にも出て来ず、最近は、何頁目に出てくるか見当も付きません。 ○このような時代変化で弁護士における需要が、自然に交通事故取組活性化を促進しており、もはや日弁連として交通事故取組活性化など不要となりました。しかし、私の経験では、交通事故事件で真にお客様の役に立つ成果を上げることは、先人の努力で定型化され事務処理が簡単になり事務員任せにも出来た債務整理事件より遙かに困難な面があり、各弁護士の厳しい自覚と大いなる努力が期待されるところです。 以上:1,638文字
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