平成24年 3月23日(金):初稿 |
○当HPの交通事故に関する各コンテンツ上部に「交通事故専用ご相談フォーム(小松法律事務所専用)」を設置して,交通事故に関する無料相談を受け付けており、時々、無料相談メールを頂いております。この相談内容として、「○○の損害について、保険会社から支払って貰えますか?」との質問形式がよくあります。 ○この「保険会社から支払って貰えますか?」との質問は、裁判に至る事前の交渉において任意保険会社が任意に支払ってくれるでしょうかとの質問と思われますが、そうだとすると残念ながら、明確なお答えは出来ません。保険会社は、裁判に至る事前の損害内金支払に関しては、各保険会社は、支払基準マニュアルと作成して、そのマニュアルに従って支払っているものと思われます。 ○この保険会社の支払基準マニュアルは、従前は一部公表されていましたが、現在は公表されたものを見たことがありません。交通事故損害支払基準として参考になるのは、「自動車損害賠償責任保険の保険金等の支払は、自動車損害賠償保障法施行令(昭和30年政令第286号)第2条並びに別表第1及び別表第2に定める保険金額を限度としてこの基準によるものとする。」として定められている自賠責保険支払基準と各保険会社毎に定めている人身傷害保険支払基準ですが、後者は保険会社毎に基準は相当異なるようです。 ○この自賠責保険支払基準と各保険会社毎に定めている人身傷害保険支払基準は、あくまで自賠責保険会社及び各任意保険会社自身の支払基準であり、訴えを出した時に裁判所が認める支払基準とは大きく異なっており、一般的には、裁判所が認める支払基準の方が相当程度大きくなります。 ○自賠責保険金は、後遺障害等級毎に保険金支払限度額があり、死亡の場合、限度額3000万円ですが、70歳を過ぎたご老人の場合、2000万円程度しか認められないことがよくあります。それは70歳を過ぎたご老人の場合、就労可能年数が短く、逸失利益算定が基準通り計算すると大変少なくなるからです。しかし、裁判の場合、その具体的収入によっては大きく認められる場合もあり、また、慰謝料支払基準も自賠責基準よりは大きいため限度額3000万円を超えた損害が認めらることがよくあります。例えば裁判を出して全損害が4500万円と認められた場合、自賠責の事前の認定が2000万円だとしても、限度額3000万円との差額1000万円の支払義務が自賠責保険会社に生じ、支払ってきます。 ○「○○の損害について保険会社から支払って貰えますか?」との質問は、保険会社の支払基準で支払って貰えますかとの質問とすると、前述の通り、保険会社支払基準が不明なので、判りませんと答えざるを得ません。裁判基準だと○○の損害の金額はどの程度になりますかとの質問だとすれば、おおよその回答は可能です。おそらく質問される多くの方は、保険会社支払基準と裁判基準に違いがあることを知らず、保険会社は裁判基準で事前に支払ってくれることを期待しての質問と思われます。 ○しかし現実には保険会社は、裁判になって判決に至る前に裁判基準での支払をすることは,先ずあり得ませんので、「○○の損害について、保険会社から支払って貰えますか?」との質問は,基本的には不明ですが、先ず支払って貰えませんとの回答にならざるを得ないのが辛いところです。 勿論、ご質問には裁判基準だとこのように考えますとの回答はしますので、ご遠慮なく「交通事故専用ご相談フォーム(小松法律事務所専用)」をご利用いただければ幸いです。 以上:1,440文字
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