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平成22年 2月 8日(月):初稿 |
○「網膜電位(ERG)検査結果判定の基礎知識1」の続きです。 (4)網膜電位(ERG)検査におけるa波、b波、律動様小波(OP波)概要 フラッシュERG検査において発生する電位(ERG)の波は、発現順に早期視細胞電位(ERP)、a波、律動様小波(op波)、b波、c波、off電位(d波)等があるが、ERP、c波、d波は臨床で普遍的に利用されておらず、臨床で利用される電位は以下の3種で、その概要は以下の通りであり、主に甲59図説臨床眼科講座5神経眼科の68頁以下の要約である。 ①a波 光刺激に対応してERPに引き続いて起きる大きな陰性波で、視細胞が光を受けることによって、主としてNa+に対する細胞の膜抵抗が増大する結果、視細胞が過分極を起こすことによる電位である。a波の起源は視細胞と説明されている。 ②b波 a波に続く陽性波で、双極細胞とミュラー細胞とがその発生に関与する。ミュラー細胞の周囲に接する神経細胞の活動によって細胞外液のK+濃度の増加が起こり、これにミュラー細胞が対応する際に、K+に対する不均一な透過性のために細胞内外を結ぶ回路に生じる脱分極性電位変動である。b波の起源は、ミュラー細胞、アマクリン細胞と説明されている。 ③律動様小波(OP波) b波の上行脚に重畳してあらわれる小波群がOP波で、この発生は内顆粒層にあるアマクリン細胞の活動によると考えられており、網膜中心動脈の循環状態に大きく依存していると説明されている。またOP波の起源は、双極細胞との説明もある(丙2の97頁表11・1ERG各成分の起源)。 4 網膜電位図(ERG)の正常と異常 (1)正常の網膜電位図(ERG) ERGは、検査設備の刺激光源の種類・輝度、被験者の瞳孔直径、順応状態等で波形が変化するため波形、振幅、頂点潜時の正常値を画一的に決めるのは困難な面があるが、現在の臨床では、暗順応下で、白色閃光刺激による記録が一般的であり、その正常波形等は、別紙甲59図説臨床眼科講座73頁抜粋[1]正常眼のERG及び甲○どうとる?どう読む?ERG53頁抜粋【図18】、【図19】記載の通りであり、a波は4~5段階の明瞭な波を経てb波が現れるものである。 正常ではa波、b波、律動小波(OP)波が観察され、b波の振幅はa波のそれよりもおおきくなる。 (2)網膜電位図(ERG)の異常 上記の通り、正常ではa波、b波、律動小波(OP)波が観察され、b波の振幅はa波のそれよりもおおきくなるが、異常型としては、 ①全てのERG成分が消失したノンレコーダブルERG ②全てのERG成分が減弱したサブノーマルERG ③b波の振幅がa波の振幅より低いネガティブERG ④全てのERG成分が正常値より増大しているスーパーノーマルERG 等がある(丙2の97、98頁)。 なお、b波の振幅がa波の振幅よりネガティブERGでは、b波が由来する双極細胞の傷害される場合に認めら、疾患としては網膜中心動脈閉塞症等がある。 以上:1,231文字
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