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平成21年12月27日(日):初稿 |
○交通事故による傷害についても、当然に健康保険を使える根拠となる健康保険法、国民健康保険法の各条文は、以下の通りです。 健康保険法第1条(目的) この法律は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。 ※労働者の業務上の事由による疾病等についての保険給付は、労働者災害補償保険法(労災保険)でなされます。 国民健康保険第2条 国民健康保険は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行うものとする。 健康保険法第57条と国民健康保険法第64条の 「保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(略)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(略)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。」 との規定の中の「給付事由が第三者の行為によって生じた場合」との規定は、保険の給付事由即ち疾病、負傷等医師の治療が必要となる原因が、第三者の行為によって生じた場合、例えば第三者からの暴力等加害行為によって生じたとしても保険給付がなされることが当然の前提となっています。 そして、「保険給付を行ったときは、その給付の価額(略)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(略)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。」と規定して、保険給付を行った場合、その給付金額の限度で、保険給付を受けた者が加害行為者である第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得することを明らかにしています。 ○健康保険財政が慢性的赤字で極めて厳しい状況にあることは公知の事実であり、その代位取得した損害賠償請求権を実現するための手段の一つが、健康保険法第58条(不正利得の徴収等)の「偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。(以下省略)」との規定です。 ○自動車損害賠償保障法で、自動車の運行は自賠責保険契約締結が強制され、交通事故の場合、被害者に生じた医療費等の人身損害は、傷害部分については金120万円まで自賠責保険金支給されることが規定され、また任意保険に加入し、保険会社が治療費を負担することが一般化されています。 ○そのため交通事故傷害治療の実務は、健康保険を適用しないでの自費支払が原則で、被害者本人、加害者、自賠責保険金、任意保険会社の一括支払のいずれかが原則で、任意保険会社がついている場合は、任意保険会社の支払が一般的になっています。交通事故による傷害治療に健康保険を適用する場合は、「第三者行為手続き」と呼ばれる手続が必要になります。そのために交通事故傷害治療では、健康保険は使えないとの誤解が生じています。この「第三者行為手続き」は別コンテンツで説明します。 以上:1,225文字
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