平成21年10月21日(水):初稿 |
○「10年ぶりの交通事故アンケートようやく実施」で「このアンケートは交通事故事件についての示談代行制度の実態と弁護士の被害者側への取組状況を調査・解明して、今後の弁護士の交通事故件積極的取組方法検討の資料とするものであり、多くの弁護士に回答して頂きたいと願っております。」と記載していましたが、法曹実務家・法学者ブログで、唯一、銀座のマチ弁さんの「[弁護士業務]日弁連からのアンケート」として取り上げて頂き、交通事故の事件では,弁護士は,損保会社の利益を守るよりも,被害者の被害回復のための仕事をすべきではないかと常々思い続けてきたところ,今回のアンケート,ようやく日弁連も,気付かれたようで,これで被害者いじめが減るかもしれないと,嬉しく思った次第です。と嬉しい感想を述べて頂きました。 ○マチ弁さんの交通事故事件についてのご感想は、 私が弁護士になって一番驚き,嘆かわしく感じたことは,交通事故の被害者が,加害者側の立場で,実際は損保会社の利益のために頑張る損保会社の担当者や時には顧問弁護士,提携弁護士に太刀打ちできないまま,被害者の味方をしてくれる弁護士を見つけることすら難しい状況の下で,不本意な額の示談で一件落着ということにさせられてしまっているようだという点に気付いたことでした。とありますが、被害者側の交通事故事件を取り扱っている弁護士であれば、おそらく同様の感想を持っておられる方も相当居るはずです。 ○マチ弁さんのご感想の最後に取り上げていた「なぜ、交通事故が軽く扱われるのか(3)原因?その8 弁護士」の、 交通事故はマニュアルどおりと思い、遺族の事故へのこだわりを徹底無視します。特に事故態様について、徹底してこだわる弁護士は少ない。自分はプロと思っているが、実はたちが悪い。まず事故現場に行かない。事故内容については、遺族や被害者の方がプロ級と思える例が多い。弁護士はマニュアルにあてはめようとするが、実は同じ例はひとつとしてない。この感覚のずれが大きすぎる。過失相殺の争い方などは、数字の争いだけと理解している始末です。との記事は全く同感です。 ○交通事故事件の損害賠償金額は、先人各位のご努力で基準が客観化・類型化されて、判決認容金額についての予想・判断がしやすくなっている面がありますが、交通事故態様、事故後の加害者或いは保険会社示談代行員の対応、被害者の事故時の事情等は千差万別で客観化・類型化では割り切れない面が多分にあります。 ○これをマニュアルで類型化した基準にそのまま当てはめて事件処理されることに被害者としては納得できない面が相当程度強くあります。「なぜ、交通事故が軽く扱われるのか(3)原因?その8 弁護士」で指摘されている 慰謝料や逸失利益の論点について、当たり前とし、被害者側に立って、問題提起すらしない。個別慰謝料の問題、中間利息の問題、制裁的慰謝料の問題などです。これらは、大きくは交通事故の被害者問題です。民事の慰謝料や逸失利益という争点について、なかなか被害者の声が伝わらないのは、被害者の代理人に加害者側の利益代弁者がなっていて、それがまた民事裁判での判例作り、枠作りとなっているという悪しき慣例があります。ある意味では損保弁護士が事故のプロとされてる風潮があるからですが、被害者だけの弁護士が出てくればいいのです。との厳しい意見も噛み締め、被害者だけの弁護士としての強い自覚を持って交通事故事件処理に当たっていきたいと思っております。 以上:1,436文字
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