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平成19年 3月16日(金):初稿 |
○民法724条は、「(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」と規定しています。 ○交通事故の場合の、「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」の内「損害を知る」については、必ずしも損害の程度又は金額等を知る必要はなく、損害が発生した事実を知れば足りるとされており、事故で受傷した事実を知ればその時点で通常予見しうる範囲の損害を知ったことになります。従って受傷当時医学的に通常予想し得ない治療費は知ったことにはなりません。 ○実務で問題になる後遺障害に基づく損害については原則はこれ以上治療してもよくならず症状が残存する場合即ち症状固定時と解されています。但し、事故後3年経過後症状固定となり、後遺障害を含めて請求した事案について、本件事故によって受けた障害の部位・程度からすれば後遺障害を予想できなかったものではなかったと考えられるとして事故発生日直後から消滅時効を起算した例もあり注意が必要です(東京高判昭和56年2月22日判時998号68頁)。 ○「加害者を知る」については、「加害者」とは賠償義務者で、不法行為者本人の他使用者、運行供用者等が含まれ、「知った」とは加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度にこれを知ったときとされています(最判昭和48年11月16日民集27巻10号1374頁)。 ○三重衝突事故の死亡事故で業務上過失致死事故で被告人として起訴され一審で有罪となった被害者が事故から5年後控訴審で無罪判決を受け、これが確定した後に相手方に損害賠償請求したケースで、この刑事事件の無罪判決が確定した時が「加害者を知ったとき」とする例があります(昭和58年11月11日判タ515号124頁)。 ○民法724条後段の20年について消滅時効か除斥期間かが問題になりますが、判例は除斥期間として、当事者が期間の経過による請求権の消滅を主張しなくても、除斥期間の経過により請求権が消滅したものと当然判断すべきであり、またこの期間の経過やこれによる請求権消滅の主張を加害者がしても信義則違反や権利濫用には当たらないとするものがあります(最判平成元年12月21日民集43巻12号2209頁)。 以上:1,001文字
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