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平成18年11月 9日(木):初稿 |
○私は、「損害賠償は加害者本人より保険会社に絞って請求すべき」等で繰り返し、SAP約款第6条第2項2号によって「損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対し書面で約束した場合」は判決の確定や書面による示談成立を待つまでもなく、任意保険会社に直接請求が出来るはずであり、「損害賠償請求を保険会社に絞って行う理由等」でその理由を詳しく述べています。 ○今般、この考えを実現すべく訴訟提起準備中で、交通事故被害者の保険会社への直接請求権についての判例、論文等を集めて勉強中ですが、この「加害者への損害賠償請求不行使の書面による承諾」の意味について、詳しい解説した文献は現時点では見あたりません。そこでこれについての私の考えを整理します。 ○「加害者への損害賠償請求不行使の書面による承諾」はあくまで保険会社から適正損害賠償金の支払があるまでは加害者に対する請求権は行使しないと言う意味に過ぎません。加害者に対する損害賠償請求権を放棄するという意味ではなく、加害者と保険会社との示談代行付き保険契約締結によって加害者が保険会社に請求している間は加害者には請求しないことを書面で明確にするだけです。 ○保険会社の被害者に対する損害賠償債務は加害者本人の損害賠償債務を責任保険契約に含まれる第3者(被害者)のための契約合意に基づき併存的に債務引受したものですが、保険会社は、保険契約者或いは被保険者の故意によって発生した事故等の理由で保険金支払義務を免れる場合は保険会社は被保険者に対し支払(てん補)を負わないことになり、被害者の保険会社に対する直接請求権も発生しないことになります。 ○この他滅多に無いとは思いますが、保険会社と保険契約者の保険契約そのものが意思の欠缺(詐欺、錯誤等)によって契約が無効となり、保険会社が被保険者に対し保険金支払義務を負わず、被害者の保険会社に対する直接請求権も発生しない場合も可能性はあります。 ○何らかの理由によって保険会社が加害者に対し損害賠償債務を負わない場合は、被害者の加害者に対する損害賠償請求権を行使しないとの書面による承諾も効力を失い、被害者は加害者に対し損害賠償請求が可能になります。 ○以上のように考えて「加害者への損害賠償請求不行使の書面による承諾」を行い、保険会社への直接請求の訴えを提起する準備中ですが、保険会社がどのように主張してくるか、或いは裁判所がどのように反応するか、興味深いところです。 以上:1,027文字
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