平成18年10月31日(火):初稿 |
○治療費・看護費・交通費の基本についての備忘録です。 □治療費 ・交通事故による傷害についての治療費は原則として実費全額が損害として認められます。但し、過剰濃厚診療による高額医療費請求が否認される場合もあります。 ・特別室料は、症状の重篤性や、空きベッドがない等の事情によっては認められます。 ・針灸、マッサージ費用、治療器具、薬品代等は原則として医師の指示がある場合に認められます。医師の指示がなくてもそれが有効且つ相当な場合は、認められますが、有効且つ相当性の立証が必要です。 ・症状固定後の治療費は原則として認められません。しかし症状固定後も症状の内容、程度、治療の内容により、症状の悪化を防ぐなどの必要があれば認められます。 □付添看護費 ・職業付添人の場合は実費全額が認められ、近親者付添人の場合、入院一日につき5500~7000円 通院付添1日につき3000~4000円認められます。 ・付添看護費が認められるのは、付添の具体的必要性がある場合に限られます。医師の指示があれば問題ありません。現在は完全看護が原則であるため医師の指示が出ない場合が多く、その場合付添当時の具体的症状等からその必要性について被害者側で主張・立証が必要です。 ・入院一日5500~7000円、通院一日3000~4000円は一応の基準で付添必要性が部分的な場合は減額されることもあります。 ・また収入日額例えば1万5000円の近親者が、休業して付添に当たった場合、被害者の年齢、症状からその近親者の付添必要性がある場合、-被害者が幼児で母親が付き添った場合-、付添者の収入日額が付添費用と認められる場合もあります。 ・被害者の年齢、症状等によって必要性があれば退院後自宅付添が認められる場合もあります。 ・重度後遺障害により付添が必要な場合、原則として平均余命まで一日6500~8500円の付添費が認められますが、常時介護を必要としない場合、程度によって減額されます。 □通院交通費・宿泊費 ・被害者本人交通費は原則として実費が認められますが、公共交通機関料金かガソリン代が基準で、タクシー利用料金は傷害の程度、交通の便等で相当性がある場合にのみ認められます。 ・看護のための近親者の交通費も被害者本人の損害として認められます。 ・見舞いのための交通費は、被害者の症状と被害者との関係(親子兄弟姉妹等)によって被害者本人の損害として認められます。症状が重篤な場合、海外滞在中の家族の見舞いのための帰国費用や、病院近くのホテル代等が認められる場合もあります。 ○看護費・交通費共請求額が多額で争いになる可能性が高い場合は、その具体的必要性についての細かな主張立証が必要になり、依頼者の方には詳細な陳述書等を準備していただく必要が生じます。 以上:1,142文字
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