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平成18年 8月24日(木):初稿 |
○平成18年7月1日から8月27日まで仙台市内の齋藤報恩館付属施設自然史博物館で「人体の不思議展」が開催されており終了時期も近づいた8月23日に見てきました。繰り返し述べてきましたが、交通事故分野では医学知識が必要な事案が多く、第一歩として解剖学の基礎知識が必要になります。 ○そこで実際の「人体標本を通じて『人間とは』『命とは」『からだとは』『健康とは』を来場者に理解、実感していただき、またその人体標本が『あなた自身である』ことの共感を得ること」を趣旨とすると言う「人体の不思議展」を一度は見ようと思っていました。 ○匂いもなく、また弾力性に富み、直に触れて観察でき、常温で半永久的に保存できる画期的な人体標本である「プラストミック標本」となった実際の人体を見ることが出来ることがこの「人体の不思議展」のセールスポイントでした。 ○ALLAboutの上野緑子氏の解説によると「プラトミック(プラスチックとアナトミックの複合語)は組織や器官、生物全体をできるだけ生きた状態に近い形で保存する方法です。色も実物の人体の色に近い状態で仕上がります。生物標本を真空下におき、シリコン・エポキシン・ポリエステル系統の樹脂をしみこませ、樹脂を重合させて固めます。」とのことです。この人体を見て30年近く前の死体解剖立会を思い出しました。 ○私は昭和53年7月から昭和54年12月まで1年数ヶ月司法修習生として仙台地方裁判所に配属されて仙台弁護士会、仙台地裁民事部、仙台地方検察庁、仙台地裁刑事部の順に実務修習を行ってきましたが、仙台地方検察庁配属時に犯罪死体もしくはその疑いのある死体の死因などを究明するための司法解剖に3回立ち会いました。司法解剖には原則として検察官の立会が必要であり検察修習の一環として司法解剖立会があったからです。 ○最初に見た遺体は、死後10数時間経って死後硬直状態となっていたもので、正に蝋人形のように見えて人間という感じがしなかった印象が今でも鮮烈に残っています。私は、この時、魂が抜け遺体となった人間の身体は正に単なる物体にしか見えないことに、逆に魂の存在を実感しました。 ○この時の遺体は、アイスピックで胸をひと突きされた殺人事件の被害者でしたが、外傷としては胸の乳首の脇に僅か直径5㎜程度の赤い斑点があるだけで、何故これだけの外傷で死亡したのか不思議に思いました。解剖は先ず胸部の上部から腹部に向かって大きなハサミで切り開くことから始まりました。 以上:1,023文字
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