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損益相殺の基本-控除の対象にならないもの概観

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平成18年 8月 7日(月):初稿
○損益相殺とは交通事故の被害者または死亡事故の場合の相続人がこの事故を原因として何らかの利益を得た場合、その利益相当額を損害賠償額から控除することですが、この控除にならない例を以下に概観します。
・加害者が被害者に支払った見舞金
数万円程度であれば控除の対象になりませんが、数十万円となると控除される場合もあります。

・加害者が遺族に支払った香典
香典とは、死者の霊に供する香に代える金銭(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)とされています。普通の葬儀では、付き合いの程度によりますが3000円~10万円程度と思われます。しかし死亡事故の場合、加害者が数十万円から100万円も香典として支払う場合があり、100万円までは控除の対象にならないとした判例があります(東京地判平成7.7.26)。

・生命保険契約に基づく保険金
被害者が加入していた生命保険契約に基づく各種保険金は全く控除の対象にはなりません。死亡事故で遺族が数千万円の死亡保険金を受け取っても損害賠償請求権には影響がありません。搭乗者傷害保険金のように慰謝料に影響があると判例も見あたりません。生命保険金は被害者がかけていたもので加害者には何の関係もないからです。

・税金
損害賠償金の内訳として休業損害・逸失利益は業務での収入を填補するものであり、業務収入は課税が原則ですが、課税分が控除されることはありません。又受領した損害賠償金は非課税であり、税金を心配する必要はありません。

○その他判例で問題になった例で控除の対象とされなかったものは以下の通りです。
・生活保護法による給付金
・自動車事故対策センター法による介護料
・雇用保険法による給付金
・事故で死亡した被害幼児・児童の養育費・教育費
・国家公務員等共済組合法による弔慰金
・介護の公的扶助分
・身体障害者福祉法に基づく将来の給付
・児童福祉法による育成医療給付
・公的ヘルパーの派遣や介護保険等公的福祉の活用を前提とした将来の介護費用
以上:810文字

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