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自賠責保険査定金額は絶対ではない-覆されない

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平成18年 7月26日(水):初稿
○「自賠責保険査定金額は絶対ではない-覆されたか」で「平成13年自賠法改正で自賠法16条の3が追加されたことで、損害保険料率算出機構(旧自賠責保険料率算定会;自算会)が算出する自賠責保険金額は絶対で裁判でも変更できないとの考えを保険会社側では一時主張していました。」と説明しましたが、平成18年3月30日最高裁判例(判時1928号36頁、判タ1207号70頁、交民39巻2号285頁)は、この保険会社の主張を退けました。

○この裁判の事案は、A運転車両が道路横断中のBに衝突してBが死亡し、Bの相続人Xに対しY保険会社から1809万円の死亡保険金を受領しましたが、Xは、Y保険会社に対し自賠責死亡保険金限度額金3000万円に不足するとして差額分を請求したものです。

○死亡事故の場合、普通は死亡保険金限度額3000万円が支払われる例が多いのですが、死亡したBはおそらく高齢者で逸失利益が少ないため1809万円に留まったものと思われます。自賠責保険金の支払基準は、「高齢者死亡事故の自賠責支払基準による保険金額例」をご参考にして下さい。

○本件では第1審、2審共に、支払基準は裁判所を拘束しないとしてXの請求を一部認容すべきとしたためY保険会社は上告受理の申立をしていました。この問題は、被害者と保険会社の間だけでなく、損害保険料率算出機構から認定された自賠責保険金額を超える損害賠償金を支払った任意保険会社が自賠責保険金限度額までの支払を自賠責保険会社に求める保険会社同志での争いも多数発生し、その決着を期待されていたものでした。

○本件で最高裁は、自賠法16条の3第1項の規定内容はあくまで保険会社に支払基準に従って支払うことを義務づけたに過ぎず、支払基準が保険会社以外の者も拘束すると解することは出来ないものであり、同法16条1項に基づいて被害者が保険会社に損害賠償額の支払を請求する訴訟において、裁判所は同法16条の3第1項が規定する支払基準によることなく損害賠償額を算定して支払を命じることが出来ると明言し、前記争いに決着をつけました。

○保険会社が訴訟外で支払う保険金額と裁判所の命じる金額が異なることについては、訴訟外での支払は公平且つ迅速な保険金支払の確保という見地から保険会社に支払基準に従って支払うことを義務づけることは合理性があるが、訴訟においては当事者の主張・立証に基づく個別的な事案毎の結果が尊重されるべきであり、金額が違うことが不合理であるとは言えないと判示しています。

従って現時点でも自賠責保険査定金額は絶対ではありませんので諦める必要はありません。
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