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自動車保険示談代行制度が設立された経緯

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平成18年 6月16日(金):初稿
○終戦後自動車の急速な普及によって交通事故の発生も昭和33年頃から急増して昭和45年における交通事故死傷者数は99万7861人に達し、交通安全対策と事故後の損害賠償問題が当時の大きな社会問題になっていました。

○当時も自賠責保険と任意保険は存在していましたが、当事者である加害者、被害者とも損害賠償についての法的知識が乏しく賠償交渉が難渋し、保険会社も当事者が決めた賠償額を法律に適合しない等の理由で支払を拒否する場合も出て、保険金を支払う立場にある保険会社が賠償交渉に関与できないことが極めて不便と思われてきました。

○そこで損保協会は、昭和47年10月、示談交渉サービス付き家庭用自動車保険を新商品として開発することを決定して、大蔵省(現財務省)、学者、弁護士グループと折衝を開始しました。これに対し日弁連は、昭和48年2月、保険会社による示談代行制度は弁護士でない者が法律問題を扱うもので、弁護士法に違反する疑いがあり、被害者保護にも欠けるおそれがあるとの趣旨の意見を発表しました。

○弁護士法72条は弁護士以外の者が他人の法律事務を業として取り扱うことを禁じたものです。そこで損保協会は、被害者が保険会社に対し直接損害賠償を請求できる旨の条項を保険約款に取り入れることにして、保険会社自身の被害者に対する賠償義務を履行するため他人ではなく自己の法律事務として示談代行員に示談代行をさせる仕組みを作りました。

○これは日弁連の被害者に保険会社に対する直接請求権を認めるべきとの主張と合致し、日弁連としては弁護士法違反の主張の根拠を崩されたことになり、やむを得ず示談代行付き保険を認めながら、第2の問題として被害者保護の特別措置を要求しました。被害者は一般的に法的に無知であり、保険会社側の訓練された示談代行員に太刀打ち出来ないからです。

○そこで損保協会は、概要として
①被害者の保険会社への直接請求権を約款に明記
②裁判所基準に準ずる任意保険支払基準を定め賠償金支払適正化を図る
③被害者との折衝は保険会社正規常勤職員に限定しその資質の向上を図る
④中立の裁定委員会(仮称)を設置し、委員会の斡旋案を尊重する
⑤損害賠償金の内払制度を確立し被害者の経済的負担を軽減する

との措置を取ることを日弁連側に提案し、昭和48年9月1日、損保協会と日弁連側で以上の内容を要旨とする確認メモ及び覚書が交わされました。

○そして昭和49年3月1日から示談代行付き保険が発売されることになり、その後は、交通事故賠償問題について示談代行制度が確立し、事実上、加害者側保険会社の示談代行員に牛耳られる時代となりました。その結果、被害者の加害者との損害賠償交渉について弁護士への相談や依頼が激減しました。

○そして昭和40年代までは交通事故事件が弁護士の重要業務で相当の割合を占めていたものが、昭和50年代になると交通事故訴訟事件も激減し、弁護士の業務の中で交通事故事件はその割合を著しく低下させ、結論として、弁護士が多くの交通事故事件から閉め出され、被害者の損害賠償請求権の行使は、却って大きな制約を受ける時代が到来したのです。
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