平成18年 1月20日(金):初稿 |
○交通事故車両破損損害について私の備忘録として、全損、修理費、代車使用料と記述してきましたが、本日は、休車補償です。 ○タクシーや運送営業用車両が交通事故で破損し、車両の買換、修理等のために使用できなかった場合、使用できなかった期間操業していれば得られたであろう純益を休車補償として加害者に請求できます。勿論、代車が提供された場合や代車使用料が損害として認められる場合は、重複して休車補償を請求することは出来ません。 ○休車補償として請求できる金額は、原則は事故前3ヶ月の平均的売上を基準に算出しますが、休車期間中のその車両による売上全体ではなく、売上から人件費、燃料費、消耗品等の経費を差し引いた純益に相当する部分のみです。但し、事故車両の売上に季節変動がある場合は、事故前3ヶ月の平均に限らず1年間全体を通してその休車期間の売上を算出した上で純益を算出し、休車補償として請求できる場合もあります。 ○具体的にその純益部分をどのようにして算出するかは、その操業実態に基づくケースバイケースであり、一般的にこうだという決め手になる算出方法はありません。 ○問題になるのは事故車が修理等で操業できなくなってもそれに代わる予備車両が配備されており、事故車の運転者が予備車両によって操業を継続して売上低下がなかった場合ですが、この場合は原則として損害は発生しないので休車補償は請求できないことになりますが、事故車が休車することによって全体的配車率が低下し、全体的に売上の低下があった場合は、その部分について休車補償を請求できます。 ○タクシー、バス会社等多数の車両を保有している場合は、1台当たりの稼働率(実働率)から、他の車両によっても填補できない売上低下分を予測できるもので、この稼働率から事故車両による休車補償を計算する場合もあります。 ○白ナンバータクシー等行政取締法規違反操業の車両の休車補償は、問題のあるところですが、運送許可を得ないでタンクローリーを走行させていた被害者について、取締法規違反営業でも不法行為上の法的保護が与えられない理由はないとして休車補償を認めた例もあります(大阪地判H10.3.20自保ジャーナル1272号)が、違法営業売上について税務申告が適正になされていたかどうか不明ですが、適正になされていないのであれば保護を与える必要はないと思っております。 以上:977文字
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