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パソコン事始め続編2の2

平成 6年 3月 1日(火):初稿
<会計処理-簡易複式簿記方式>
 事務所の会計処理も、数年前より「桐」で行っています。この分野もパソコン導入のメリットが大きいものでした。
 「桐」による会計処理方式は、年々改良を加えて、現在は、会計表及び科目表の桐ファイルにより、概略次のような方法で入力しています。
 会計表については
①年月日欄の次の「口座」欄には、「事務所」「個人」(但し個人は出金のみ)「預り金」の三語が自動的に表示され、カーソルで選択して入力します。

 次に「科目」欄には、「口座」が「事務所」の場合は、「着手金」「事件費」等の事務所科目、
「個人」の場合は「所長報酬」「保険料」等の個人支出科目(事務所経費にならない支出)、
「預り金」の場合は各「依頼者名」が各々自動的に表われ、必要なところにカーソルをあてて入力します。②右の様なことは、予め作成してある「科目表」と言う別ファイルのデータを必要に応じて利用する「表引き」という機能により実現します。③右「科目表」には、科目名とその説明と例示が記載されており、科目分類が難しいときは、これを開けて参考にすることが出来ます。

④「摘要」欄には詳しい入出金の説明を入れます。

⑤「金額」欄は科目上の入出金と具体的な金員管理口座(現金口座や預金口座等)の入出金の二組の欄をもうけ、「金額」は必ず二組の欄に併記して入力します。入力方法を間違うと別にもうけたチェック欄にミスが表記されます。
 以上の方法ですと、「借方」「貸方」「収益」「費用」などの面倒な「仕訳」概念を知らずとも、実質、「複式簿記」方式の入力が出来ます。
 「大番頭」という正式の会計ソフトを利用している小高弁護士に見て貰ったところ、完全な複式簿記であると評価されました。
 生意気に、小松流「簡易」複式簿記方式と名付けています。

⑥以上の方法で入力した金額データは、「桐」の「選択」「整列」「集計」等の機能の組合わせにより、毎月の入出金整理や依頼者別預り金整理が「キー一つ」で出来ます。
 例えば、その時点での申告所得金額の概算金額計算も「キー一つ」で出来るようになりました。

⑦ここで「キー一つ」について説明します。例えば申告所得金額の概算金額計算をさせるには本来はキーを一〇回以上押す必要があります。
 しかし「桐」には一〇回以上キーを押す手順を記憶させ、それを「キー一つ」で済ませるように登録設定が出来る機能があります。この機能は「履歴」と呼ばれており、これにより複雑な作業も「キー一つ」で出来るようになるのです。

 「桐」には「履歴」よりさらに高度な「一括処理」と言う機能があります。これは殆どプログラム言語の世界で、現時点の私には全く歯がたちません。エキスパートの小高弁護士は「一括処理」機能を使ってさらに高度な事務処理をされています。

<終わりに-パソコンの有効利用法>
 パソコンの世界では、今や「ウインドウズ」時代到来とのことで「ウインドウズ」ソフトがもてはやされ、私もいくつか購入しました。

 次にパソコンとはやはり「便利なものだ」と言うのも実感です。
 よくワープロ専用機とパソコンのワープロソフトでどちらがよいかを議論されます。
 私の事務所では、昭和五九年春から書類作成をワープロ専用機を使用して行っていたものを昨年一二月からパソコンのワープロに全て切り替えました。
 事務員も当初は戸惑っていましたが、一週間もしないうちにワープロ専用機と同様に使いこなせるようになり、簡単な設定作業もできるようになりました。ワープロ専用機は使用方法が固定的ですが、パソコンのワープロソフトは自由度が高く、使用方法が自分なりに変更できます。

 しかし、その反面各種設定作業が必要でその分めんどうに感じます。 パソコンワープロは設定がいまくできればむしろワープロ専用機以上に使用法が簡単になる可能性を持っています。
 法律事務所にとって、パソコンワープロの最大の利点は単なる文書作成の面ではなく、データとしての訴状や準備書面などの文章をデータベース化できることと電話回線を利用してデータそのものが直接送受信可能になることにあります。
 「ウインドウズ」タイプは、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)と言って文字だけでなく図形を使って画面の見やすさや操作性を向上させようとするソフトです。
 その元祖はアップル社のマッキントッシュパソコン(通称マック)です。私も昨年暮に「マック」を購入してゲーム等のホビー用として少しばかり使用しています。
 GUIタイプのソフトの使用を目指すのであれば、「ウィンドウズ」より「マック」の方がずっと合理的で使い易いと感じます。
 しかし、基本的には法律事務所の事務処理にはワープロ「松」、データベース「桐」、ファイル管理「HF」で十分と思います。

 特に「桐」は大変奥の深いソフトで、私のレベルでは、その全機能の一割も利用していないはず。それでも前述のとおり、法律事務処理には「十分」役立っています。
 パソコン歴三年数ヶ月の「初中級」者の感想として、パソコンの効果的な利用方法は、特定のソフトを使うと決めたら、
①常にそのソフトに対する感謝の気持を忘れず、
②徹底的にそのソフトを利用する
ことに尽きるのではないかと思います。
 不満点を見出しては、あれやこれやと他のソフトに「浮気」していたのでは、結局、みな中途半端に終るような気がします。

 私の場合は、「マック」や「ウィンドウズ」はあくまで「遊び」と割り切り、当分の間は前記三ソフト、特に、「桐」に最大限の貢献・奉仕(勉強)をして、「桐」を優しく、従順な、益々役に立つ、自分好みのソフトに変えて生きたいと考えているところです。

以上:2,336文字

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