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”大往生したけりゃ医療とかかわるな「自然死」のすすめ」”紹介1

令和 3年 6月13日(日):初稿
○1996年より、市民グループ「自分の死を考える集い」を主宰し、医師による延命治療の拒否を唱えている中村仁一医師著作ベストセラー「大往生したけりゃ医療とかかわるな「自然死」のすすめ」を読み始めています。同医師のブログによると、息子さんの記述で「いつかこのブログを立ち上げた時 最後はこのようなご報告を書くのが私の役目だと思ってはいましたが 
2021年6月5日(土)19:30に
ガンで死にたいと皆様に伝えていた通り 肺ガンで 自宅にて父が 永眠いたしました。81歳でした。
」とのことです。合掌。

○同医師のブログの中に、同著作のエッセンス部分を見つけましたので、紹介します。

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1.本人に治せないものが他人の医者に治せるはずがない

 日本人は病気やケガは医者やくすりが治してくれると思っています。だから「どこかに腕のいい先生はいませんか」「特効薬はありませんか」となるわけです。しかし、病気やケガを治す主役は、本人が自分で治す力(自然治癒力)なのです。医療者は、お助けマンであり、くすりはお助け物質、器械はお助けマシーンで、本人の治すのを手伝う脇役にすぎません。

たとえば、外科医は悪い所を切り取ったり、切れたものをつないだりしてくれますが、くっつけたり、後始末をして再び使えるようにしているのは当人であって、外科医ではありません。

くすりについても、肺炎にはよく効く抗生剤がありますが、年寄りの場合には、いくらいい抗生剤を使っても助からない場合があります。もし、くすりが主役なら死ぬことはないはずです。

器械についても同様です。今、新型コロナの重症者に 人工呼吸器やエクモが使われています。しかし、あの器械が治してくれるわけではありません。あなたに替わって時間稼ぎをしてやるから、その間に勝手に治しなさいというわけです。治せる人は助かるのですが、治せない人は、いのちを落とすのです。いずれにしても 本人の治す力(自然治癒力)が主役で医療者もくすりも器械も脇役にすぎないことを証明しているのです。

最近は超高齢社会を迎えて、「治す」医療から「支える」医療へ変わらないといけないなどといわれています。しかし、「治す」医療などといわれると医療者が主役のように聞こえます。正しくは「本人が治すのを手伝う医療」から「本人が治せないものを支え、死にゆく時に 無用な手出しをして苦しめない医療」になると思います。

2.発熱、咳、嘔吐、下痢、痛みなどの症状には意味がある。

現在、わたし達は、ふつう何か症状が出れば、すぐこれを抑えこもうとします。けれども、これは体内に異変が起きたので それを元の状態に戻そうとする身体の反応であることを忘れてはなりません。

わたしは、幸いなことに、生まれてからこの方、一度も入院するという不運に見舞われたことがありません。「同和園」での20年間も、一度も病気で欠勤したこともありません。もちろん、風邪をひいて、39度、40度の熱を出したことは何度もありました。しんどかったですが 3日ぐらいで治りました。

解熱剤や咳止めなど くすりは一切のみませんでした。ただ、いつもと少し違うと思った時には血液検査をして白血球が増えているかどうかだけを調べました。もし、白血球が増えていれば細菌感染ですから 抗生剤を服用する必要があるからです。わたしが抗生剤をのむのは化膿している場合と白血球が増えている場合だけで、熱が高いからという理由でのんだことはありません。

発熱についていえば、ウィルスや細菌は熱に弱いのです。ですから、身体は早く治そうとして、わざわざ体温を上昇させているのです。それをしんどいからといって、解熱剤でムリに下げるのは利敵行為となり治るのを遅らせる結果になるのです。たとえるなら、小高い丘に昇るのに、真っ直ぐ駆け上がるか、ジグザグに遠回りするかです。ジグザグの方が楽かもわかりませんが時間がかかります。

痛み止めも のんだことはありません。もっとも、わたしの場合には、頭痛、歯痛、腰痛や踵の剥離骨折ぐらいで、大きい骨を折ったとか胃腸に穴があいたり、胆石や腎石などの内臓痛は経験したことはありませんが。がんの痛みとか内臓痛は別ですが、腰痛などで動かすと痛いということは動かすなという身体の警告ですから、素直に従う事が第一で痛み止めをのんで軽くすると動かすことになりますので、治りが遅れることになるのです。犬、猫は痛ければ、じいっとうずくまっています。犬、猫に学びましょう。

また、悪いものを食べたり、のんだりすると、吐いたり、下したりします。少しでも早く外へ出してしまおうとする身体の反応で出しきれば止まります。これを むかつき止めや下痢止めで抑えにかかるのはよくないとおわかり頂けると思います。

3.「不確実性」と「限界」がある

医療は誰に対してもこうすれば100%こうなるということはいえません。どこまでも、やってみないと結果がどう出るかわからないという不確実性がついて回ります。たとえば、この治療を行えば95%よくなりますと医者がいったとします。しかし、それは、あなたは95%の方へ入るといっているわけではありません。あなたの場合はどうなるかわかりませんが、とにかく95%の方へ入ると思って賭けて下さいといっているのです。99%でも同様です。1%の方へ入るかもしれません。つまり、極論すれば、医療は いのちを担保にしたバクチだということです。

また、年とったものを若返えらすことはできませんし、死ぬのを少々先送りできても止めることもできませんから「限界」があるということです。

4.目標がなくてはいけない

 それは以下の2つです。これらがないにもかかわらず「死」をただ先送りするだけに医療を利用するのはお金のムダというものです。
①.回復の見込み

②.生活の中身(Q.O.L)の向上の可能性

5.エビデンス(科学的根拠)の正体

 医療現場では、科学的根拠とか医学的証拠という意味でエビデンスという言葉がよく使われます。たしかに統計学的に事実であることに疑いはありませんが、そのまま、目の前の患者に当てはめることはできません。

     血圧140未満 血圧120未満 絶対リスク減少 相対リスク減少
死亡率  4.5%   3.3%   1.2%    26.7%


上の表をみて下さい。血圧140未満の場合は死亡率が4.5%ですが、120未満にすると3.3%と1.2%減ります。これを絶対リスク減少といいます。しかし、4.5%のうち1.2%減ったので26.7%減ったともいえます。これを相対リスク減少といいます。どちらも嘘ではありません。

しかし、医療現場では絶対リスク減少は使わず、相対リスク減少を使います。それは1.2%減少では 誰も注目しませんが 3分の1近く減るといえばそんなに減るのかとなるからです。いってみれば、患者恫喝の手段として活用されているわけです。

6.主権在患(原則、患者の許可、承諾が必要)

 医療行為を行うためには、必ず患者の許可、承諾が必要ということです。しかし、実際には「先生お願いします。」で全権委任した形になっています。それでも、かなりの苦痛を伴う場合や危険がある場合は、その都度きちんと説明して承諾を取る必要があります。

本来、医療は切ったり、はつったりする「傷害行為」や撫でたり、もんだり、時には妙な所へ指を突っ込む「強制ワイセツ行為」を伴うため、患者にそういう理由なら、痛かったり、辛かったり、苦しかったり、時には恥ずかしい思いもしなければなりませんが仕方ありませんと理解、納得し、承諾してもらわなければならないからです。

7.セカンド・オピニオンの意義は薄れた。

 その医療処置を受けるに際し、複数の医師の意見を聞いて決断した方がいいとセカンド・オピニオンが推奨されています。しかし「診療ガイドライン」ができたため、誰に尋ねても、ガイドラインに添った同じ内容の話しか聞けなくなり、“金太郎飴”オピニオンになってしまいました。

別の医者のところへ行ったら、同じ内容だったが、説明が上手だったので、よく理解できたということはあるかもしれませんが。そして余病併発や後遺症を含めて、どのような結果になろうと それらはすべて患者が引き受けなければならないことは肝に命じておきましょう。“お任せ”でいい加減ではすまないのです。

8.患者の「最善」と医療者の「最善」は異なる。

 わが国は医療保険制度が充実しているため、あまり金銭的負担のことは考えなくてもいい環境になっています。しかし、本来、患者は自分の「懐具合」や「生き方」「生活背景」「年齢」などを考えた「最善」の範囲内で、医療者に対してプロとしての「最善」を尽くすことを求めるというのが筋だと思います。

◎生まれたものが年月も経て身体の諸機能が衰えて死を迎えるのは自然です。いかに医学、医療が発達しようと阻止できることではありません。死は医療の敗北などといわれることもありますが、所詮、医療は死に対して無力なのです。

病院は治療の場であって、死に場所にふさわしい所ではありません。それにもかかわらず、現在 病院死は7割強です。死にゆく人間に最後まで治すための治療を行うのが病院です。これは、本人を苦しめるだけでなく、大変な医療費のムダ使いです。現在の いい医療保険制度を 若い者に残してやるためにも わたし達年寄りは、医療に対する過度の期待を改めなくてはならないと思います。

以上:3,901文字

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