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令和 6年11月17日(日):初稿 |
○横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和6年11月16日発行第377号「弁護士のリア王」をお届けします。 ○シェイクスピアと言えば「ロミオとジュリエット」、「ハムレット」、「オセロー」、「リア王」、「マクベス」等有名作品です。教養深い大山先生は、いずれも丹念に読んで深く考察されていると思われますが、私は作品の名前を知っているだけで映画になったものを観た記憶はあっても、いずれも原作を読んだ記憶はありません(^^;)。 ○「リア王」と言うと黒澤明監督作品映画「乱」の原作になったことは知っていましたが、この原作の内容は知らず、今回のニュースレターで勉強になりました。リア王を原作とした映画「乱」は、DVDで鑑賞した記憶はありますが、余り印象に残っていません。4KUHD版は発売されておらず、黒澤作品のなかで余り評価されていないのではと思っていました。しかし4KUHD版を購入して鑑賞した私にとっては駄作の映画「影武者」よりズッと面白いとの評価もあり、「乱4KMasterBlu-rayBOX版」が発売されていましたので、購入して鑑賞します。 ******************************************* 横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作 弁護士のリア王 シェイクスピアの傑作悲劇として名高いリア王です。リアの長女と次女は、自国イギリスの公爵と結婚しています。王が一番可愛がっている三女には、公爵とフランス王が求婚に来ています。そんな中、年老いたリア王は引退して国を3つに分けて、娘たちに譲ろうとします。リア王が、国を譲って権力をなくすことから悲劇が始まるんです。そんなわけでリア王に関しては、「引退して国を譲る行為自体が間違っている」といった論評が多くあるようです。でもそんなこと言ったら、いつまでたっても老人が支配する世の中で、世代交代などできません。潔く引退しようというリア王の行為自体は、もっと評価されるべきだと思うのです。 しかし、普通に譲ればいいものを、3人の娘それぞれに、「自分をどれだけ愛しているのか?」を発表させ、それによって何を譲るのかを決めると言い出します。こういうくだらないことをするのが、まさに「老害」の特色ですね。姉二人は、「お父様を自分の目や耳より、何よりも愛します」なんて言って、リア王を喜ばせる。一方三女は、「言うことはありません。娘の義務として父を愛します」なんてことを言い出して、リア王を激怒させます。この出来事に関してリア王は、「姉二人の甘言に騙される一方、三女の真心が理解できない愚かな王様」と非難されています。でも、姉二人の言葉ですが、このくらいのおべんちゃら、誰でも言いますね。会社勤めのときなど、私も上司に似たようなこと言っていました。ううう。。。 自分がボスになった現在では、事務所の若手弁護士に「このニュースレターどうだった?」と、感想を求めたりします。「メチャクチャ面白くて勉強になりました!」と言われたら嬉しくなる一方、「何も言うことはありません。勤務弁護士の義務として読みました」なんて言われたら、「け、喧嘩売っているのか!」と腹が立ちそうです。三女の言葉に激怒したリア王は、国など一切譲らず、親子の縁を切るとまで言い出します。これを聞いて、二人の求婚者のうち公爵は去っていく一方、フランス王は三女の真心に感動して、持参金など無くても結婚すると言い出します。 この後、1週間ほどの間に一気に話が進みます。国を譲られた長女と次女は結託して、即座にリア王を嵐の荒野に追い出します。娘の裏切りにあったリア王は狂っていく。それに対して、三女と結婚したフランス王は、リア王を助けるために軍を率いてやってくる。しかし最終的に、リア王も3人の娘たちも全員死んでしまうという悲劇なんです。「リア王」はシェイクスピアの大傑作と言われてますが、なんかよく分からない話なんですね。謎が多すぎます。なんだって三女は、わざわざ父親を怒らせるようなことを言ったのか不思議です。追放されたリア王を助けたい気持ちは分かりますが、軍を率いてくる必要があったのかも疑問です。そもそも、軍隊なんてそんなにすぐに出せないから、予め準備していたとしか思えない。何か裏がありそうです。 「真実は常に一つ」ということで、果敢に推理しちゃいます! そもそもリア王は、三女の結婚相手として公爵を予定しており、フランス王は当て馬に過ぎなかったと思います。フランス王と結婚させたら、領土がフランスに統合されてしまう。さらに三女がフランスに行ってしまえば、自分の老後を面倒見てもらうという計画もダメになる。一方、自分が当て馬だと気が付いたフランス王は、三女と共謀して、わざとリア王を怒らせたんでしょう。これによって本命の公爵は身を引いた。三女と結婚したフランス王はかねてからの計画通り、「三女の権利確保」とか「老王保護」を名目に軍事行動を起こしたんです。と、こんな具合に妄想しちゃいますが、こういうこと弁護士の仕事でもよくあります。警察検察が作ったストーリーの矛盾を見つけ出して、被告人の為の新しい話を作り上げていきます。実際、法廷で「真犯人」を名指しした弁護士もいました。す、凄すぎる。。。 ******************************************* ◇ 弁護士より一言 私は、妻がいなくなると、ついつい煎餅を食べたりお酒を飲んだりしてしまいます。たまに、いないと思っていた妻に見つかり、呆れられます。「本当に油断ならない!」と妻が言ったら、娘が私をかばってくれました。「でも、そういうことするのパパだけじゃないよ。ワンちゃんだって、飼主がいなくなると好き勝手するんだって!」 い、犬と比べないでくれ。。。 以上:2,409文字
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