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2024年08月16日発行第371号”弁護士の「夜来る」”

令和 6年 8月17日(土):初稿
○横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和6年8月16日発行第371弁護士の「夜来る」をお届けします。

○SF映画はよく観ますが、SF小説は殆ど読まない私は、アイザック・アシモフという三大SF作家とされる有名なSF作家を知りませんでした。ウィキペディアによると、 代表的著作として、Fantastic Voyage (『ミクロの決死圏』)が挙げられています。しかし、映画「ミクロの決死圏」のウィキペディア解説では、原案オットー・クレメント、ジェローム・ビクスビーとされており、アイザック・アシモフの名前が出てきません。

○ウィキペディアを良く読むと、「後に、この映画の脚本を元にアイザック・アシモフが小説化している。映画では説明されなかった「縮小されていない空気分子をミクロ世界に取り込んでも役に立たない」「体内に残された潜航艇が復元すれば結局台無し」といった疑問点もアシモフらしく巧く処理されている。」とあり、勉強になりました。確かに体内の残された潜航艇は、どうして元に戻らないのだろうと不思議に思っていました。白血球に襲われ溶かされなくなってしまうのでしょうか。

○健康オタクを自認する私は、ガンになったらこれも運命を諦め、一切ガン治療はしないと宣言しています。しかし、実際ガン宣告されたら、大騒ぎをして、「余命宣告された高僧」と同じになるのではとの心配もあり、相当いい加減です。このような「夜」は来ないことを祈っています。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士の「夜来る」

パリのオリンピックで、日本の絶対王者の女性柔道選手が負けました。そのとき彼女は号泣したんです。これに対して、「死ぬ気で頑張ってきたのだから、やむを得ない」という意見もある中、「武道家たるもの恥ずかしい」なんていう人もいました。確かに褒められたことではないでしょう。しかし本人も、好き好んで泣いた訳では無いはずです。「負けても取り乱すようなことはしまい」と普段から思っていても、「そのとき」になったら、感情を抑えられなかったのだと思います。

「夜来る」は、SF界を代表する作家、アイザック・アシモフの短編です。数百年に一度文明が崩壊する世界の話です。このSFの社会には複数の太陽があり、いつも「昼」の状態です。これまでの歴史を見ると、数百年に一度、文明が崩壊して、また一からやり直してきたということを、現在の市民たちも理解しています。そのときには、複数の太陽全てが日食になり、「夜」が来るであろうことも、みんな理解しているのです。しかし「夜」が来ても、「暗くなるだけじゃないか、何が問題なんだ」と思っているんですね。

ところが、実際に「夜」が来ると、それまで複数の太陽で隠されていた多くの星たちがまたたきます。その星々の輝きに気を狂わせた人たちが、明かりを求めてすべてに火をつけて、自分達の文明を破壊するという話です。頭では分かっているつもりでも、現実に「夜」が来たとき、感情に与える影響が予測できないということだと思います。一方、「夜」が来たときに取り乱した人のことを、「夜」を経験していない人が批判するのは、控えた方が良いと思うのです。

こういった、「夜」を経験する話は、色々とありそうですよね。癌になり、余命告知をされた高僧の話なんか有名です。悟りを開いている高僧ということで、医師も安心して余命がわずかだと告知したんですね。ところが、それを聞いた高僧は、急に落胆して、かえって寿命を縮めてしまったという話です。「高僧」に対する悪意がある話だと思う一方、いかにもありそうです。だからと言って、「夜」を経験していない人が、この高僧を批判するのは、恥ずかしいことだと思うのです。

考えてみますと、国にとっての「夜」が来たときに備えた規定が「憲法」のはずです。平和憲法の下では、防衛も含めて、全ての戦争が否定されています。この憲法を支持し、諸外国にもこの思想を普及しようとする人たちは沢山います。それでも、ロシアのウクライナ侵略に対して、ほとんどの護憲者たちは、「ウクライナは平和ために降伏しろ」と言わずに、ダンマリを決め込みました。「夜」が来たら、それまでの主張などどうでもよくなるんでしょう。将来、国際紛争が起こり、日本の世論が戦争に傾いたときには、「平和論者」の9割以上が「国を守れ」ということに、私は全財産賭けちゃいます!

弁護士の業務の中でも、「夜」が来たときには、違う対応になるということは沢山あります。お客様の中には。非常に強気な方もいます。「これは負けるリスクが十分もあるのですから。今の段階で和解しましょう」なんて提言しても、全く聞いてもらえません。ところが、相手方が本当に訴訟を提起して、訴状の送達という「夜」がきたら、急に態度を変える方は相当数います。訴訟を想像していただけの状態と、現実に裁判所から訴状が来る状態とは、大きく違うようです。こういうこと、弁護士の業務でよくあります。例えば、「絶対に離婚しない」と宣言している配偶者への離婚手続きなど、現実に裁判といった「夜」が来ると、相手方の感情も違ってくるのです。

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◇ 弁護士より一言

「夜」が来たときの準備をしたいと思っています。娘が「これはやめた方が。。。」という結婚相手を連れてきたときの準備をしてみました。一度は反対するけど、「それでもどうしても!」と言われたときの対応ですね。「分かった。それなら応援するよ。もし何かあったら何時でも帰っておいで!」というのがカッコ良さそうです。ここまで準備しているのに、うちの娘二人とも、なんだか家に居座るつもりみたいです。ううう。。。
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