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2019年11月16日発行第257号”弁護士のドント エクスプレ イ ン”

令和 1年11月16日(土):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和元年11月16日発行第257号「弁護士のドント エクスプレ イ ン」をお届けします。

○ビリー・ホリデーと言う名前はどこかで聞いたような気もしますが、アメリカの高名な黒人ジャズボーカリストなんですね。私は、ジャズは殆ど聴かないためよく知りませんでしたが、大山先生はジャズの大ファンで造詣も深いと思われます。流石、日本の演歌とスペインのフラメンコという狭い世界に閉じこもっている私とは大違いです(^^;)。

○ビリー・ホリデー、ウィキペディアの解説では、凄まじい人生を送り、44歳の若さで病没していますが、「生涯を通じて人種差別や性差別と闘い、乱れた生活にもかかわらず名声を勝ち得た彼女は、現在、20世紀で最も偉大な歌手の一人に数えられている。」と結ばれています。

○素人が理解できない「説明」ばかりするのは、何かあったときの責任逃れの「言い訳」を準備しているとのご指摘は、流石、大山先生、鋭いご指摘です。お客様から「小松先生の説明は、回りくどくて、何を言っているのか分からない。」と言われないように、真正面から答える努力をしていきます(^^;)

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士のドント エクスプレ イ ン


Don’t Explainは、ビリー・ホリデーの名曲です。直訳すると、「説明するな」ですが、一般には「言い訳はしないで」みたいに訳されています。シャツについていた口紅から、旦那さんの浮気を確信したときに作られた歌だそうです。「言い訳はしないでずっと一緒だよと言って帰って来てくれて嬉しいわ」なんて、泣かせるセリフから始まります。私が仮に浮気しても(し、しないですよ!)「こんな風に妻に言ってもらえたら嬉しいな」、なんて一瞬思ってしまいます。

しかし、歌はまだまだ続きます。「黙って!言い訳なんて必要ない口紅の話はもういいの」くらいなら良いんですが、「あなたの浮気は知っている良いも悪いも関係ない一緒に居てさえくれるなら」と、だんだん怖くなってきます。さらに、「あなたは私の喜びそして苦しみ私の命はあなたのもの」と続くに至り、「本当に反省しています。何でもしますから、命だけは。。。」と言いたくなりそうです。なんだかDon’t Explainの悪口みたいになりましたが、私は本当に、ビリー・ホリデーの大ファンなんです!

弁護士の仕事をしていますと、「説明」と「言い訳」は、本当に似ているなと思うのです。たとえば、刑事裁判の法廷で、被告人が検事さんから、「なぜこんな犯罪をしてしまったのか?」なんて聞かれることはよくあります。こういう質問に対して、被告人が説明しようとすると、「言い訳」に聞こえてしまうのです。「家庭内での妻子との軋轢、会社での上司の不当な叱責で、精神的に追い詰められていたのが原因だと考えます。」みたいな回答をしてしまうんですね。

でもこれって、普通に聞けば「俺が悪いんじゃない。環境のせいだ!」と聞こえてしまいます。第三者の意見ならともかく、本人がこんなことを言えば、「他人事のように考えており、全く反省していない。」と、検察官のお叱りが来るのは目に見えています。

もっと凄い事例もあります。裁判官から、「二度と犯罪はしないと約束できるんですよね?」と聞かれた被告人です。「絶対にやらないとは言えないと思います。」と述べてから、その理由を「説明」しました。「これまでも、もう二度としないと誓ってきましたが、時々の状況により、犯罪に手を染めました。そこから判断すると、二度としないとは言えないと考えます。」

や、止めてください!ある意味、正直な「説明」かもしれません。でも、法廷で話して欲しいの、「客観的説明」ではなく、「二度としないという覚悟」なんです。「弁護人は何をしているんだよ。」という、裁判官の視線が痛かったのです。ううう。。。

しかし考えてみますと、他人からは白い目で見られるような「説明」をしてしまうことは、専門家の場合、結構ありそうです。私も、医師から家族の治療について「説明」を受けると、「これって、言い訳では?何かあったときの責任逃れじゃないの。」と思うことがありました。

素人が欲しいのは専門的な説明ではなく、信頼できる医師からの安心なんですね。「先生のお母様やお子様が、同じ状況になったときに、先生ならどうするのかを教えてください。」ということなんです。こういった質問に、真正面から答えてくれるのが、良い医師なのだと思います。素人が理解できない「説明」ばかりするのは、何かあったときの責任逃れの「言い訳」を準備しているのではと、疑ってしまうのです。

弁護士の場合も、全く同じことがいえます。「弁護士先生の説明は、回りくどくて、何を言っているのか分からない。」なんて批判を、何度も聞いたことが有ります。「自分の家族にならこうします!」と、自信を持ってお客様に提案できる弁護士になりたいのです。

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◇ 弁護士より一言

先日、息子の中学が、インフルエンザで学級閉鎖になったんです。めちゃくちゃ喜んでいる息子に、大学生のお姉ちゃんが、「何でそこまで嬉しいの?」と、説明を求めたんですね。「だって学級閉鎖なんだよ!

あ~生きててよかった!学校に行かないで済む日が来るなんて!」と説明した弟に、姉は冷たく一言。「バカみたい(笑)死んでたらそもそも学校行かないでいいから。」息子にはいま一度、「余計なことは、ドントエクスプレイン!」と教えます。。。
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