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2017年04月16日発行第195号”パンドラ弁護士の希望”

平成29年 4月17日(月):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成29年4月16日発行第195号「パンドラ弁護士の希望」をお届けします。

○今回は、ギリシャ神話の話しですが、「弁護士より一言」の寝物語に奥様にギリシャ神話の話しをするとの記述に驚きました。大山弁護士ご夫妻は、高校生の娘さんが居ますので、結婚して20年程度にはなると思われますが、その仲の睦まじさはホントに素晴らしく羨ましい限りです(^^)。

○無教養の私は、ギリシャ神話もろくに読んでおらず、「パンドラの箱」がギリシャ神話から出ていることも知りませんでした(^^;)。「1話5分で読めるギリシャ神話」「パンドラの壷」によると、最後の記述は「エピメテウスは、恐る恐るフタを開けました。〈希望〉の女神が現れ、空へゆっくりと舞い上がっていきます。パンドラとエピメテウスは、ほのかに明るい光に包まれました。」となっております。

○確かに「パンドラが地上で好奇心から箱を開くと、あらゆる災禍が外へ飛び出したが、彼女があわてて蓋をしたので『希望』だけが底に残った。」との一般的解説では、蓋をしたことで希望も出てこず、希望によって救われるとは論理矛盾ではとの指摘ももっともです。そのためパンドラの「箱」ではなく、「パンドラの壷」では、最後を訂正したのかも知れません。

○「先を見通す力」に関してですが、私が事件として引き受けるかどうかは、頂いた報酬分だけお客様に役に立てるかどうかを判断基準としています。お客様の役に立てないのに報酬を貰うわけには行かないからです。実は、この「お客様の役に立てるかどうか」は、お客様自身が判断される部分もあり、大変、難しいところがあります。結果として役に立たなくても、弁護士が代理人として活動するだけでよいとお客様が考えているときは、受任すべきかどうか、実に悩ましい判断を迫られます。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

パンドラ弁護士の希望


「パンドラの箱」は、ギリシャ神話の中の有名な話です。人間がどんどんと力をつけてきたのを見て、ギリシャの神様は不安に思います。このままでは自分たちの存在が脅かされると感じたわけです。

そこで神様は、パンドラという名の女性に、あらゆる厄災が詰まった箱を持たせて、人間界に行かせます。そのときに、「この箱は絶対に開けてはいけない。」なんて、わざわざパンドラに言うわけです。こんなことを言われたら、誰だって気になりますよね。

人間界に行ったパンドラは、箱を開けてしまいます。すると箱の中からは、病気、戦争、裏切りといった、あらゆる厄災が出てきてしまいました。このままでは人間は滅びてしまうんですね。そこで、慌ててパンドラが箱を閉めると、箱の底に「希望」だけが残されていたという話です。残された「希望」によって、人間は滅びずに済んだという神話です。

以上が一般的な「パンドラの箱」の話なんですが、この話はおかしいだろうという、有力な批判があります。そもそも、厄災を詰めた箱の中に、「希望」だなんて前向きなものが入っていたこと自体がおかしい。さらに、希望があるなら、それこそ箱から出すべきなのに、箱に封印したままにしておいて、それで人類が救われたというのは理屈に合わないというわけです。

ギリシャ語の「希望」という単語には、「先を見通す力」みたいな意味があるそうです。パンドラの箱の中に残り、人類に広まらなかったのは、この能力ではないかというのが、有力な反対説です。

私には、こちらの説の方が、もっともに思えるのですね。変に先を見通す力があると、悲観的なことばかり見えてくるのが人間です。そもそも、何十年後かには必ず死ぬんだなんて本当に理解してしまえば、ほとんどの人は怖くて、満足に生きられないそうです。私をはじめ多くの人は、先を見通す力が与えられなかったおかげで、なんとなくそういう深刻なことは忘れて、毎日前向きに、楽しく生きているんですね。ギリシャの神様が放った多くの厄災も、気が付かず、気に病みさえしなければ、大して怖くないのでしょう。

先を見通す力は、弁護士の仕事においても非常に重要です。この力が劣っている弁護士だと、無駄な仕事をバタバタするだけで、お客様にも相手方にも迷惑をかけてしまいます。その一方、人一倍先を見通せる弁護士が良いかというと、そうとも言えないのです。

先が読めすぎる弁護士は、得てして悲観的になる傾向が強いと思います。戦う前から、これはもうダメだと諦めてしまうし、依頼者にもそんな風に悲観的な話をしてしまいます。ある意味良心的と言えるのでしょうが、私はかなり問題だと思うのです。そもそもお客様は、自分のために誠心誠意頑張って、戦ってくれる弁護士を探しているはずです。少なくとも私が依頼者なら、そういう人を探します。ベテラン弁護士に「これは難しいです」なんて言われた事件を引き受けた新人弁護士が、結果的にはダメだったにしろ、「本当によくやってくれて有難うございました!」と感謝されるような話は、弁護士業界にはよくあるのです。(もっとも、こういうことはどの業界にもありそうですね。)

そもそも、諦めずに真剣に活動すれば、最初に目指した目的地には着かなくても、思いもよらない良い結果を得ることだってあります。錬金術はダメでしたが、真剣にやったおかげで、化学が進歩したのです。

過剰に悲観的にならずに、全力で対応する!そこに「希望」が見えてくると思うのでした。

◇ 弁護士より一言

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◇ 弁護士より一言

妻がギリシャ神話の話を聞きたいというので、寝るときに何回も話してあげたのです。妻もギリシャ神話が好きなんだなと、信じて疑いませんでした。

ところが先日、夜眠れなかったと言ってきた高校生の娘に、妻がアドバイスしていました。「それなら、寝るときにパパにギリシャ神話の話をしてもらうといいよ。あれを聞くと、すぐに眠くなるから!」し、失礼な。しかしこんなことには挫けずに、いずれ孫にもギリシャ神話の話をしてやろうと誓ったのです!
以上:2,571文字

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