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2017年02月01日発行第190号”弁護士の随想録”

平成29年 2月 1日(水):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成29年2月1日発行第190号「弁護士の随想録」をお届けします。

○フランスのモンテーニュという名前は、中学校時代の歴史の教科書にも出てきたはずで、シッカリ覚えているのですが、では何をした人か言うと、確か哲学者と説明されていたような記憶がありますが、殆ど覚えていませんでした。随想録(エッセー)の作者と言われて、そういえば、そんな著作があったなと思い出す程度で、勿論、随想録(エセー)なんで読んだことはありません(^^;)。

○この有名な随想録(エッセー)、大山先生は、30年以上も前に読んで、且つ、今でも目を通しているとのことで、流石、教養人と恐れ入るのみです(^^)。これを機会にモンテーニュを復習すると、ウィキペディアでは、「16世紀ルネサンス期のフランスを代表する哲学者。モラリスト、懐疑論者、人文主義者。現実の人間を洞察し人間の生き方を探求して綴り続けた主著『エセー』は、フランスのみならず、各国に影響を与えた。」なんて解説されています。

「ミシェル・ド・モンテーニュの名言」なんてサイトがありました。私に好都合な名言だけを列挙します。

・いつかできることは、すべて今日でもできる。
・他人のために暮らすのはもうたくさんだ。 せめてこのわずかな余生をみずからのために生きようではないか。
・孤独の生活の目的とは、もっとゆうゆうと、 もっと気ままに暮らすというただ一つであると私は信ずる。
・私は私の意見を述べる。それがよい意見だからではなく、私自身の意見だからだ。
・この世には、勝利よりも勝ち誇るに値する敗北がある。
・純朴と純真な真実とは、いかなる時代においても時と場を得る。


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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士の随想録


随想録(エセー)といえば、もちろんモンテーニュ大先生のご本です。500年ほど前に書かれたものですが、今でも愛読者は沢山います。良く生き、そして良く死ぬためのヒントが詰まっている本ですね。私も、30年以上前に最初に読んだのですが、いまでも目を通します。面白い話がたくさんあるからです。

同じ行為をしても、それによる結果は正反対のことがあるなんて、モンテーニュは指摘しています。例えば戦争のときの話ですね。

ある人の場合は、勇気を持った行動をしたことにより、相手が感心して、命を助けられました。ところが、別の場面で別の人が、やはり勇気を持った行動をとったときには、かえって相手を怒らせて、残酷な殺され方をしたなんていう話です。

こういうことって、確かにあるんですね。自殺しようとして人を、思いとどまらせようとした人の話を読んだことがあります。「本気で死ぬというなら、すぐに死んでみろ!」と言ったところ、ある自殺志願者は、思いとどまったそうです。ところが違う人に対して、同じように言ったところ、本当にすぐに自殺してしまったということです。

こうなってきますと、モンテーニュならずとも、どうしていいかわからなくなりそうです。弁護士の仕事でも、相手方と交渉する場合、強く出た方がうまくいくのか、弱く丁寧に対応した方がうまくいくのか、本当のところはやってみないとわからないんですね。(も、もちろん、自信たっぷりに「これがベストの対応です!」と言うんですけど。。)

モンテーニュは、もともと裁判官をしていましたから、法律についてもいろいろと考察しています。たとえば、慣習の方が法律に優先するのだなんて議論をするんですが、そこで挙げられているエピソードがめちゃくちゃなんです。ある男が、自分の父親を虐待し、殴ったり、引きずりまわしたりしてました。それは法律違反だと問題視されたときに、男は言ったんです。「父親も、祖父を同じように殴ってきた。私の子供もいずれ私を同じように殴るだろう。これが慣習となっているのだ!」父親の方も、おとなしく殴られていたのですが、一定のところまで来ると「私も自分の父をこれ以上は殴らなかった。これでもうやめるんだ。」と威厳?をもって言ったそうです。

こういう話って、モンテーニュ大先生、どこまで真面目に書いているのか、ユーモアのつもりで書いているのか、どうにも分からなくなってきます。

モンテーニュは多くの格言を残しています。例えば、「法律が信用されているのは、それが公正であるからではなく、それが法だからである。」なんて、現在でもそのまま使えそうです。「医者に直ぐかかる人ほど、病気になり易く、治るのも遅い。」なんて言うものあります。お医者様には怒られそうですが、一面の真実がありそうです。「すぐに弁護士に相談する人ほど、かえって争いごとに巻き込まれることになる。」なんて言われそうな気もしちゃいます。ううう。。。

「肉の味を決めるのは値段である」なんて指摘には、思わず笑ってしまいます。私も、例えばワインについて、通ぶっていろいろ講釈しますけど、本当は値段を見て評価しているだけなのです。(おいおい。)

しかしこれって、弁護士についてもいえそうです。弁護士費用が高い人ほど、優秀な弁護士だと思ってもらえるのかもしれません。合理的な費用で、とても優秀と言って貰える弁護士を目指します!

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◇ 弁護士より一言

モンテーニュ先生を見習って、私も子供たちにユーモアをもって接しようと頑張ってきたんです。でも、中高生の娘たちには、ぼろくそに言われたんです。「パパの話って、面白くないのよね。」「東大出のお笑い芸人の話がすごくつまらなかったけど、パパのもそれと似ているよね!」こ、こいつら。でも、小学生の息子だけが、パパの話を面白いと言ってくれました。

「この間も、『子供用運賃』って言ってたよ。子供の『ウン』と『チン』が入ってるんだ。」そ、そこですか!もっとユーモア道?に研鑽いたします。
以上:2,487文字

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