旧TOP : ホーム > 事務所 > 大山滋郎弁護士ニュースレター2 > |
平成27年 7月 1日(水):初稿 |
○横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成27年7月1日発行第152号「弁護士の1万時間(1)」をお届けします。 ○「NAVERまとめ」と言うサイトの「"天才"に生まれ変わる「10000時間の法則」」と言うページに「10000時間の法則?」が詳しく解説されています。「マルコム・グラドウェル氏が提唱した法則で、偉大な成功を収めた起業家や世界的に有名なスポーツ選手など何かの分野で天才と呼ばれるようになる人達に共通しているのは、10,000時間というこれまでに打ち込んできた時間が関係しているというもの。」とのことです。 ○「一万時間より短い時間で、真に世界的なレベルに達した例を見つけた調査はない。まるで脳がそれだけの時間を必要としているかのようだ。」とのことですが、「一万時間」の長さのイメージが、「時間」ではなかなか掴めません。 ○昔、司法試験勉強を始めたとき、合格レベルに達するには一日12時間の勉強を最低3年間継続する必要があると言われました。しかし、凡人の私の経験では、一日12時間も勉強するのは無理で、平均的には一日8時間程度しか集中して勉強できませんでした。一日8時間費やして1万時間に達するには3年と5ヶ月かかります。合格するまで4年間程は勉強を継続しましたので1万時間以上は受験勉強をしたはずです。しかし、全くの凡人弁護士にしかなれず、到底、天才弁護士になんてなれませんでした(^^;)。受験科目は6科目もあり一科目では2000時間程度で,受験合格は各分野の入り口に達した程度ですから当然です。 ○毎日休まず10時間程度費やして3年間継続すれば1万時間に達しますが、特定の分野にことにこれだけ集中できるのは、普通の人間には先ず無理です。一日5時間費やし、週1回程度休みを入れると年間1500時間費やしたことになり7年間ほどで1万時間に達します。しかし、「1万時間」「真剣に」取り組む持続力も、普通の人にはなかなか持てないと思われます。こう考えると特定分野に「1万時間、継続して、且つ、集中して取り組む」ことが出来る人が天才になれるとの説明に納得できます。 ○大山先生は,次回,弁護士の場合の「1万時間の法則」を検討されるそうですが,どのような切り口で解説していただけるか,楽しみです。 ******************************************* 横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作 弁護士の1万時間(1) 「天才!成功する人々の法則」という、とても面白い本があります。様々な分野で「天才」といわれる人たちは、どのようにして生まれてくるのかについての本です。この本の中に、「1万時間の法則」というのがあります。どの分野においても、卓越した能力を示すようになる人には、共通点があるそうです。それが、「1万時間」そのことに真剣取り組んだということだそうです。個人の生まれながらの能力は、大して関係ない。ごく一般の才能(通常それほど高くないとのこと)さえあれば、あとはどれだけ真剣に、時間をかけて努力をしたかが大事なわけです。 例えば、音楽学校の生徒の、バイオリンの成績の話があります。トップクラスの生徒、ある程度うまい生徒、平凡な生徒について、それぞれの練習時間を比較すると、明確な相関関係が見つかるというのです。沢山練習しているのに平凡なバイオリニストはいない。十分な練習をしていないのに、トップクラスになる「天才」もいないということです。沢山の時間をかけて練習した人が、それに見合う成績を手に入れるのですね。 そして、こういう長時間の練習が可能となることは、「運」によるところが大きいということです。まず親が大変熱心で、子供が小さいころから英才教育をした場合に、「天才」は生まれやすくなります。音楽のモーツアルト、野球の星飛雄馬やイチロー、テニスのウイリアムズ姉妹、ゴルフのタイガーウッズその他、親がメチャクチャ熱心で、子供のころから英才教育を受けた「天才」が多数います。子供のころからの練習時間ですから、10代で1万時間の法則を満たし、其の後さらに研鑽を積んで「天才」となるわけです。 そういう親の元に生まれるのも「運」ですが、それ以外に、カナダのアイスホッケーの選手の話がありました。有名な選手は、ほとんど1-3月生まれだというんですね。カナダの場合、1月から学校が始まりますので、1月生まれの人は12月生まれの子供より、約1年間も成長しているので、身体も大きく、成熟しています。従って、ホッケーもよくできます。すると、その子は「才能」があるということで選抜され、沢山の練習ができる環境に置かれます。そこから、「1万時間の法則」により、本当に実力がついていきます。まさに、早生まれという「運」によって、名選手になれるかどうかが決まるわけです。こういう面白い話が沢山載っている本です。 考えてみますと、この法則によって多くのことが説明できるような気がしてきます。「家元制度」なんてありますよね。歌舞伎なんかもそうでしょう。世襲で一定の技能を継いでいきます。批判も多いですが、それなりにうまくいっているように思えます。これも、家元に生まれたということで、それなりの環境が与えられ、そこで1万時間の法則を適用して努力すれば、みんな一定の実力に達するからだと思います。 職人さんや板前さんの世界では、ヤル気さえあれば学歴・経歴など気にしないで採用しますよね。そういう世界では、入ってから死ぬ気で1万時間頑張頑張った人は、どこに出しても恥ずかしくない実力を身につけることができるわけです。その一方、板前の修行などしないでも、お客様の支持を得て大繁盛の居酒屋を作りあげる人もいますよね。1万時間使わなくても生まれながらの「才能」で成功する人もいそうです。 ということで、弁護士の場合、果たして「1万時間の法則」は適用されるのか、それとも「才能」さえあれば何とかなるのか、次回検討してみます。 ******************************************* ◇ 弁護士より一言 親が子供を小さいころから鍛えれば、「天才」を作ることが出来るんですね。これってすごいことだと感じ入りました。親の責任は重大です! そこで、少し遅いかもしれませんが、中学生の娘に将来何になりたいのか聞いてみたのです。 「うーん。1日テレビを見てのん気に過ごす人!」 あ、あほか!しかし、そういうことなら、親子で一緒に、1万時間テレビを見ますか。。。 どんな「天才」が生まれるのでしょうか? 以上:2,724文字
|