仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 事務所 > 大山滋郎弁護士ニュースレター1 >    

2012年10月1日発行第86号”弁護士の福翁自伝”

平成24年10月 1日(月):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成24年10月1日発行第86号「弁護士の福翁自伝」をお届けします。

○福沢諭吉先生は、小学校の社会の教科書にも出てくる有名人ですが、ウィキペディアでの福沢諭吉解説で調べてみると、その業績の大きさに改めて明治時代は凄い人が居たものだと実感させられます。明治六大教育家の1人だそうですが、教養のない私は、他の5人は名前だけは覚えていますが、その詳しい業績など殆ど記憶にありません(^^;)。

○福沢諭吉といえば、何と言っても「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと云へり」という有名なくだりで始まる「学問のすゝめ」ですが、いまはその初編から十七編までネットで読める時代になりました。私は、最初の1行目位しか読んだことがなく、これを機会に一通り目を通そうかと思っております。

○弁護士としての「タイプ別交渉法」ですが、相手方の見分けも必要ですが、その前に自分のお客様の見分けが必要ですね。このお客様にはどのようなサービスが必要か、その性格を見分けながら、最終的に如何にご満足して頂けるかを考えて、アドバイスのさじ加減を調整しなければなりません。しかし、これは何年経っても難しくただただ人間勉強が必要です。その意味で大山先生のニュースレターは大いに役立つ参考書です。

***************************************
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士の福翁自伝

福沢諭吉が晩年に口述筆記した「福翁自伝」には、面白い話が沢山あります。諭吉先生は中津藩(今の大分県です)の出身なんですが、藩に対する帰属意識などあんまり強くなかったようです。あるとき諭吉は、藩主からの紋の入った羽織を頂いたんですね。普通の藩士なら、大変名誉なことと思い、拝領の紋服を家宝にします。ところが、諭吉先生は頂いた羽織を、その日のうちに売り払ってお金に変えてしまうんです。さすがに、1万円札の肖像になる人は違います!

そんな福沢先生ですから、藩や殿様に対する感覚も、普通の人とは違っています。通常の感覚ですと、ご奉公させていただいて、大変有り難いと感じることになっていますよね。少なくとも、口に出してはそういうのが「大人」というものです。ところが、諭吉先生の場合には、こういう理屈を述べるんです。

藩の方から、「何代にもわたりご奉公させてやっているから有り難く思え!」と言われたら、こっちにも言い分があるというわけです。「数代正直に仕えたのだから、恩に着せるな!」と言い返してやるというのが、諭吉先生の論法です。

これに対して、「数代も仕えてくれたおかげで藩も成り立った。」と、藩の方から下手に出てくれれば、自分の方も、「数代の間には、病気の者も、役に立たない者もいただろうに、それにもかかわらず家禄を頂き、大変有難うございました。」と、頭の一つも下げようというわけです。たとえ相手が藩でも、無礼な言い方は許さないという感じです。こういった、子供っぽいと言いましょうか、いつまでも書生然とした考え方など、私には福沢諭吉の魅力に思えてきます。

諭吉先生自身は、このような人なんですが、それとは正反対の人も世の中にはいます。これについて、「福翁自伝」に面白い話が載っています。

明治になって数年後に、諭吉先生が田舎道を歩いていたときのことです。退屈だったこともあり、面白い実験をしたんです。

道ですれ違うお百姓さんに、道を聞くんです。そのときに、かつての武士の様子で、威張って聞いてみたそうです。そうしますと、お百姓さんは小さくなって、「恐れながら申し上げます。」といった感じで答えます。次に来るお百姓さんに対しては、大阪商人の振りで、下手にでて道を尋ねます。そうすると聞かれた方は、とても横柄で、威張った様子で答えてくるということです。道ですれ違う人たちに、順番にこのようにやっていくと、いずれも同じ結果になったというのです。(こういう下らない「実験」をするところも、諭吉先生の偉大なところです!)

私も弁護士ということで、人と話しをすることが多いのですが、こういうことって確かにあると感じています。こちらが丁寧に、腰を低くして話していると、かえって横柄に居丈高に接して来る人がいるのです。こういう人に対しては、こちらが毅然とした態度で対応した方がうまく話が進むということはありそうです。

その一方、世の中には福沢諭吉タイプの人も当然います。こちらが礼を尽くして話せばすんなりと納得してくれますが、当方の言い方に問題があると、へそを曲げてしまうようなタイプの人です。

諭吉先生の教えを参考に、弁護士として「タイプ別交渉方法」みたいなものを考えた方がよいのかもしれないな、と思ったのでした。

**************************************

◇ 弁護士より一言

下の娘がまだ低学年のころ、予防注射を非常に怖がっていて、お医者さんを蹴っ飛ばすなど、大変な騒ぎだったのです。そこで、「これは誰でもみんなやらないといけないものなんだよ。」と説得しました。

すると娘は、「キセンジョウゲのサベツなく、みんなやるの?」と確認した後、納得してくれたのです。これって「学問のすすめ」の「貴賎上下の差別なく」なんですね。娘は、暗記が大好きなところは私に似ていて、学問のすすめも覚えていたようです。諭吉先生には、我が家の注射問題まで助けて頂きました!
以上:2,270文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック
※大変恐縮ながら具体的事件のメール相談は実施しておりません。

 


旧TOPホーム > 事務所 > 大山滋郎弁護士ニュースレター1 > 2012年10月1日発行第86号”弁護士の福翁自伝”