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2012/ 3/16 第73号 弁護士の通信簿

平成24年 2月29日(水):初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 実家に行って、私の小学校6年間の通信簿を貰ってきました。眺めていると、色々思うところがあります。

 学級の係りの欄に、「ミルク係として、よく学級の為に責任をもってやりました。」なんて、書いてありました。ミルク係って、一体何をしていたんでしょう?勉強のところには、「読解力等すばらしく、読書量もかなり増してきている。」「作文も、わかりやすく文章を書くことができます。」なんてコメントがあります。作文の能力を生かして、今こうしてニュースレターを書いているのだなと、感無量です。

 性格としては、「気が良いので、誰からも好かれている。」なんてありました。やっぱり、私は昔から人柄が良かったんですね。(おいおい)もっとも、「朗らかにみんなとやってきたが、冗談が度を過ぎることもあった。言葉には注意して頑張っていこう。」「クラスを楽しい雰囲気にするのは良いが、時と場合をもう少し考えてからにしよう。」なんていうのもあったのです。軽率で一言多いのは、昔から変わらないようです。ううう。さらに、多くの欠点が指摘されています。「机の周りには、いつもゴミがちらばっていた。」「ノートの使い方が乱雑になり易いので、これを直しましょう。」などという欠点は、いまだに改善されていません。

 極めつけはこれですね。「あらゆる面で、することが早いのは良いが、深まりがないような気がする。」私は昔から何でも早くやらないと気が済まないタイプなのですが、その分うっかりミスが多いのです。(なんだか、顧問先が減りそうで心配です!)小学生のころ、通信簿を貰ったときには、「こんな評価は間違っている!」なんて思ったことを覚えています。でも、今から振り返ってみますと、驚くほど正確に、私のことを評価していたんだなと感じたわけです。(更に、長所も欠点も、今と同じだなと、変に感慨にふけってしまいました。)といったところで、仮に国民の皆さんが弁護士に、5段階評価で通信簿を付けるとしたら、どんなふうになるのかを考えてみました。私自身が弁護士になる前に感じたことや、弁護士以外の人と話した結果から推測してみたんですね。

 一般的に、法律についての専門職としてみたときには、それなりの評価が貰えるのではないかと感じています。例えば、「法的知識5」「交渉力4」なんて感じでしょうか。その一方、サービス業としての評価は、相当低いような気がします。「アクセスしやすさ2」「相談しやすさ2」「顧客満足1」といった感じではと思うのですが、どんなものでしょう?多くの弁護士は、このような評価を心外に感じるかもしれません。自分達が正しく理解されていないというわけです。しかし、他人のする評価は基本的に正しいのだということを知るべきですね。

 一方、このような評価を認める場合でも、そもそも「顧客満足」や「アクセスしやすさ」なんて科目!は、どうでもよいと思っている弁護士も多数いそうです。私も小学生のころ、音楽で悪い点数をとっても、全く気にしませんでした。それと同じかも知れません。しかし、これからの弁護士は、それではやっていけないでしょう。弁護士も、社会からの厳しい評価の通信簿を、真剣に受け止めるときが来ているのではと感じているのです。

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 弁護士より一言

小学校5年生と4年生の娘たちが、げらげら笑いながらやってきて、「ママとパパの5段階通信簿をつけたよ!」と言うのです。

 「おしゃれのセンスママ5パパ1」まあ、そんなもんですかね。

 「ユーモアママ2パパ5」なんで私が2なのと、妻は不満げです。

 「落ち着きママ2パパ5」この評価、ママはいつもパタパタお掃除やお料理をしてるけど、パパはパソコンしてるか、寝転がって本を読んでるからだそうです。これって、誉められたのかなぁ?このニュースレターも、お陰さまで3年間続けることができました。

 引き続きよろしくお願い致します。

 (2012年3月16日第73号)
以上:1,657文字

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