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恩師からの手紙-論文作成法について

平成20年 8月10日(日):初稿
○繰り返し記載してきましたが、私の合格に繋がる本格的司法試験受験勉強時代は、恩師Uさんに出会った昭和50年11月から始まりました。それから合格した昭和52年6月の論文式試験直前まで、2年7ヶ月の間に合計100通の論文問題を提出頂き、私の回答論文に添削指導を継続して頂きました。

○その間論文の添削だけに限らず多くの励ましの手紙を頂き有益なアドバイスを繰り返して頂きました。私が司法試験に合格し現在まで弁護士の仕事を何とか継続してこれた原点は、正に恩師Uさんのご指導にあります。その恩師Uさんが亡くなられてから、毎年1回恩師の眠る琵琶湖畔のお墓参りをして、この1年間無事に過ごせたことを感謝してくることが私の年中行事の一つになっています。

○恩師のお墓参りをして、この1年間の報告をして、またこれから1年間、私なりに頑張りますと、お伝えし、奥様やお子様とお互いに近況報告しあうことが、大きな楽しみの一つですが、その恩師Uさんからの論文作成についての貴重なアドバイスの手紙を紹介します。

○自分の知識が正確か、その論点について本当に理解できているかどうかは、声に出して話してみることで検証できます。単に独り言として話すことは知識となっているかを確認するだけですが、他人に話してわかりやすく説明できるかは、本当に理解できているかどうかの確認になり、これは実務についた現在でも全く同じです。

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拝啓

 お元気そうで何よりです。
 ことしの合格者も、すでに気分が落ち着いたことでしょう。

 刑訴法につき疑問が湧き出る、ということですが、それは大分、力がついてきたからです。どんどん疑問を持ち悩みながら前進してください。択一では明確な記憶が必要ですが、論文では悩みつつ、自説の確立に努めることが大切です。

 もし、どうしてもゼミ仲間がみつからないようでしたら、一人で二役をやって、口に出して相手の説を批判してみてください。そのときは決して本を見てそのまま批判してはいけません。自分の考えで言葉で批判してください。次は、それに反駁してください。自分の考えで、かつ言葉で。

 どこまで自分の表現で相手(自分の説)を批判でき、また自分の表現でどこまで自説を維持できるか、その練習をやってみてください。必ず声に出すこと。
 ああいえばこういう。こう言えばああいう、という工合です。

 答練とゼミは、やはり違います。
 あらゆる工夫をしてください。
①自分の説―結論および根拠、
②自説への批判、
③自説への批判に対する反論、
この三つを口に出して表現してみてください。

 全ての論点について。ノートをとるだけでは、意外と頭に残っていないことに気づかれるでしょう。

 じゃーまた。
 勘違いで七月の問題が遅れました。
 申し訳ない。
                                                                               敬具
        五一、一一、八、
                                                                            ○○ ○
小松 様
以上:1,344文字

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