平成20年 8月 9日(土):初稿 |
○にわか勉強で「自治体施行土地区画整理事業の仮換地処分概略」を記載してきましたが、某行政法専門家の指導を得て、大幅に書き換え、法律その他の「細分類」として行政法関係を設けました。 仮換地指定処分に対する不服申立 仮換地指定処分については市町村施行の場合都道府県知事、県施行の場合国土交通大臣に対する審査請求が出来ます。 不審法(処分についての審査請求)第5条「行政庁の処分についての審査請求は、次の場合にすることができる。1.処分庁に上級行政庁があるとき。」 処分があつたことを知つた日の翌日から起算して60日以内に行います(不審法14条)。 しかしこの審査請求をしても,その対象となる行政処分の効力は停止しないのが原則であり,これを執行不停止原則といいます(不審査法34条1項)。 尚、行政不服審査手続はもともと内容が行政寄りなのと,一部の分野を除いて使い勝手が悪くほとんど活用されていないことから近々大幅な法改正が予定されているとのことです。 執行不停止が原則とされるのは行政訴訟を提起した場合も同じです(行政事件訴訟法25条1項,なお44条参照)。 行政事件において仮の救済(保全)をするためには執行停止の申立て(行政事件訴訟法25条2項以下)か,仮の義務づけ・仮の差止め(同37条の5)の申立てをすることになります。いずれも民事の保全に比べると要件が格段に厳しいようです。 審査請求に対する裁決 不審法(裁決)第40条「審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。 2 審査請求が理由がないときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。 3 処分(事実行為を除く。)についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、裁決で、当該処分の全部又は一部を取り消す。」 審査請求却下また棄却の場合の行政訴訟 抗告訴訟(行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟)としての仮換地指定処分に対する取消訴訟を提起できます。土地区画整理をめぐる訴訟の多くは仮換地指定処分取消訴訟として争われているようです。実体面では「照応の原則」違反があるかどうかが主な争点となりますが、照応の原則違反の主張が認められることは極めて少ないようです。 仮換地指定処分については審査請求をすることなくいきなり取消訴訟を提起することもできます(自由選択主義,行政事件訴訟法8条1項本文)。 なお、税法関係や生活保護給付関係などの特定の法分野では審査請求を前置することが訴訟要件とされています(審査請求前置主義,同法8条1項但書)。 参考判例 昭和45年6月12日東京地裁決定 要旨 ◆仮換地につき仮に権利の目的となるべき宅地の指定をした処分の無効確認の訴えを本案として、右処分に基づく建物移転の通知および照会の効力停止を求めることが許されるか ◆仮換地につき仮に権利の目的となるべき宅地の指定をした処分とこれに基づく建物移転の通知および照会とは別個独立の処分であるから、前者の処分の無効確認の訴えを本案として、後者の処分の効力の停止を求めることは許されない。 以上:1,280文字
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