平成17年 1月14日(金):初稿 平成17年 5月15日(日):更新 |
○昨日は、司法試験論文答案は法律知識を羅列ではなく、問題点についての自分の考えを、自分の考えと思わせる表現方法で記述するものであると述べました。 勿論、この自分の考えは、現行法体系と整合するものであることが大前提で、法と明らかに矛盾した考えでは不合格答案となります。 ○憲法、民法、刑法、商法、民事・刑事訴訟法等の受験科目毎に論点と呼ばれる典型的な問題点について自分の考えを確立していく必要があります。そこで多くの受験生は自分なりの論点ノートを作って自説の確立に努めました。 ○その際、重要なことは結論よりも理由付けでした。その結論に至る理由付けが如何に説得力があるかが勝負になります。 その論点についてに多数の学説、判例等がありそれぞれ結論が異なる場合、自分はどの結論を取るか、そしてどのように理由づけるか、更に自分と違う結論についてどのように批判するかを整理して行きます。 ○更に論文答案として最も重要なことは、読みやすいことでした。読み手にすんなりと自分の考えが説得力を持って伝わるかどうかが勝負で、それには論旨明快で簡潔明瞭な文章が一番です。この論旨明快で簡潔明瞭な文章は、問いに対する答えに絞って書く事に尽きますが、実際は、問いに答えたつもりで関係ないことを書く例が大変多いのです。 ○問いとは関係のない余計なことを書く割合が多くなりがちの長い文章の答案は、評価が低くなります。多数の答案を読む採点者は、だらだらと余計な事が書いてある答案は読むのが苦痛で、大きく減点されます。問いに外れたことを書くことは問いの趣旨を理解していないことを示しているからです。 ○以上の論文答案作成術を確立するため教科書、参考書、関係判例等を読みながら自分なりの論点ノート作りに励むのが私の時代の受験勉強でした。この「自分なりの」と言う点が重要でした。ところが今は予備校で整理した論点ノートを配布し、これを読むのが受験勉強になっているようです。 ○他人様の書いた文章を、ああでもない、こうでもないと考えながら自分の考えにまとめていく苦労が重要なところ、当初から他人様が整理した論点ノートでは、一時の試験に合格できたとしても、ホントに自分の力になるのだろうかと疑問に感じているところです。 以上:923文字
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