平成28年10月14日(金):初稿 |
○多額の国税債権について消滅時効の主張ができないか検討している事案があり、国税の時効中断事由を調べています。 国の収入,支出,契約などに関する規定を定めた会計法に以下の規定がありました。 会計法 第5章 時 効 第30条 金銭の給付を目的とする国の権利で、時効に関し他の法律に規定がないものは、5年間これを行わないときは、時効に因り消滅する。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。 第31条 金銭の給付を目的とする国の権利の時効による消滅については、別段の規定がないときは、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。 2 金銭の給付を目的とする国の権利について、消滅時効の中断、停止その他の事項(前項に規定する事項を除く。)に関し、適用すべき他の法律の規定がないときは、民法の規定を準用する。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。 第32条 法令の規定により、国がなす納入の告知は、民法第153条(前条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。 ○第32条が重要です。「法令の規定により、国がなす納入の告知は、民法第153条(前条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する」とは、「国がなす納入の告知」は「6箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分」をしなくても時効中断の効力を生じるようです。 ○請求書を、何回送っても6ヶ月以内に裁判手続を取らないとその請求は、その請求は時効中断との関係では無効になって、結局、時効中断がなされないことになるとの説明は、「国がなす納入の告知」には当てはまらず、これは「告知」しただけで完全に時効中断の効力を有することになります。だとすると国税の消滅時効の主張は相当厳しそうです。「国がなす納入の告知」がなされていることを証明されれば、それでオシマイだからです。 ○債務整理事案で、国税債権について減額要請をしても、その対応は大変厳しく、利子税・延滞税まで一切減額に応じてくれないのが原則です。「泣く子と地頭には勝てない」ならぬ「泣く子と国税には勝てない」と覚えておいた方が良さそうです(^^;)。 以上:1,037文字
|