仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 法律その他 > なんでも参考判例 >    

新規パチンコ店出店阻止目的寄付行為が違法とされた札幌地裁判決全文紹介1

法律その他無料相談ご希望の方は、「法律その他相談フォーム」に記入してお申込み下さい。
平成28年 4月14日(木):初稿
○「新規パチンコ店出店阻止目的寄付行為が違法とされた最高裁判決全文紹介」の続きで、この最高裁判決事案の第一審平成14年12月19日札幌地裁判決(判タ1140号178頁)全文を2回に分けて紹介します。

○風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)では、パチンコ店等等の風俗営業(同法2条1項7号)については、営業所ごとに都道府県公安委員会の許可を受けなければならないとし(同法3条1項)、公安委員会は、「営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき」は、当該許可をしてはならないとしています(同法2条2項)。

○北海道では、児童遊園(児童福祉法40条)等の児童福祉施設(同法7条)から50メートル内の地域が、風営法2条2項の地域と定められており、その結果、児童福祉施設が設置されている場合には、当該児童福祉施設から50メートル内の地域においては、新規にパチンコ店を開業することができなくなります。

○この規制を利用して地元パチンコ業者が、新規出店予定パチンコ業者の出店を阻むために出店予定地に近接する土地等を児童遊園として社会福祉法人に寄付し、その結果新規出店予定パチンコ業者にパチンコ営業許可が下りなくなりました。そこで新規出店予定パチンコ業者が、地元業者らに対し約10億円の損害賠償請求訴訟を提起して、その請求を全面的に認めたのが平成14年12月19日札幌地裁判決(判タ1140号178頁)です。


***************************************

主  文
1 被告A株式会社、同有限会社B、同株式会社C、同D株式会社、同E株式会社及び被告兼亡被告f訴訟承継人i並びに被告社会福祉法人Kは、原告に対し、連帯して10億0414万1150円及びこれに対する平成11年8月7日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし2億5103万5287円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で亡被告f訴訟承継人g、同h及び同jと連帯して)を支払え。
2 亡被告f訴訟承継人g、同h及び同jは、原告に対し、被告A株式会社、同有限会社B、同株式会社C、同D株式会社、同E株式会社及び被告兼亡被告f訴訟承継人i並びに被告社会福祉法人Kと連帯して2億5103万5287円及びこれに対する平成11年8月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は、被告ら及び亡被告f訴訟承継人らの連帯負担とする。
4 この判決は、仮に執行することができる。 

事実及び理由
第1 請求

 主文1項及び2項と同旨

第2 事案の概要
 本件は、パチンコ遊技場の出店を計画していた原告が、被告ら及び亡被告fがこれを阻止する目的で出店予定地に近接する場所に児童福祉法40条の児童遊園を設置したことから、同パチンコ遊技場について風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風俗営業法」という。)3条1項の営業の許可を受けられず、出店を阻止されるという営業活動上の不利益を被ったとして、被告らに対し、共同不法行為による損害賠償の支払を請求するとともに、亡被告fの訴訟承継人らに対し、亡被告fから相続した損害賠償債務の履行を請求する事案である。

第3 争いのない事実等
1 原告は、北海道内に16店の遊技場を経営する事業者である〔争いがない。〕。

2 被告A株式会社、被告有限会社B、被告株式会社C、被告D株式会社、被告E株式会社、亡被告f及び被告i(以下、これら七名を「被告事業者ら」という。)は、いずれも稚内市内において遊技場を経営する事業者であり、被告社会福祉法人K(以下「被告K」という。)は、稚内市内において福祉事業を営む者である〔争いがない。〕。

3 原告は、平成11年4月1日、株式会社とうもくから稚内市はまなす〈番地略〉ほか11筆合計1万4649.47平方メートルの各土地(以下「本件土地」という。)を買い受け〔甲24〕、同年6月1日、株式会社Lとの間でパチンコ遊技場用の建物の建築工事請負契約を締結し〔甲63〕、株式会社Lは、同月8日ころ、同建築工事に着手した〔浅野目証人46頁〕。

4 被告事業者らは、平成11年4月30日、稚内市はまなす〈番地略〉及び同所同番〈番地略〉の各土地(以下「本件山側公園土地」という。)並びに稚内市はまなす〈番地略〉の土地(以下「本件海側公園土地」という。)にそれぞれ公園の施設を建築(以下「本件建築」という。)するとともに、同年5月14日、被告Kに対し、これらの土地についてそれぞれ寄付(以下「本件寄付」という。)をし、また、各公園の施設のうち建物については、同月27日、それぞれ被告Kを所有者とする所有権保存登記がされた〔争いがない。甲1の三丁、甲118ないし122〕

5 被告Kは、平成11年5月28日、北海道知事に対し、定款の事業目的に「はまなす児童遊園」及び「はまなす東児童遊園」(以下、これらを「本件各児童遊園」という。)の設置経営を追加する旨の定款変更(以下「本件定款変更」という。)の認可の申請をし、北海道知事は、同年6月1日、本件定款変更の認可をした〔争いがない。〕。

6 被告Kは、平成11年6月6日、本件各児童遊園の開園式を挙行するとともに、同月7日、北海道知事に対し、本件各児童遊園の設置の認可(以下「本件認可」という。)の申請をした〔争いがない。〕。

7 原告は、平成11年6月14日、北海道旭川方面公安委員会に対し、本件土地におけるパチンコ遊技場(以下「ひまわり稚内店」という。)の営業についての風俗営業法3条1項の許可(以下「本件許可」という。)の申請をした〔甲2〕。

8 原告は、平成11年7月6日、被告Kに対し、原告が本件許可を受けるより前に本件認可がされた場合には、原告は本件許可を受けることができなくなり、多大な損害を被ることになることから、本件認可を取得するのは、原告が本件許可を受けた後にしてほしい旨の申入れをしたが、被告Kは、この申入れを拒否した〔浅野目証人55頁以下、己木証人23頁以下、36頁以下〕。

9 北海道知事は、平成11年7月14日、本件認可をした〔争いがない。〕。

10 北海道旭川方面公安委員会は、平成11年8月6日、本件許可の申請について、本件認可がされたことを理由に、不許可とした〔甲2〕。

11 亡被告fは、平成14年1月29日、死亡した。亡被告f訴訟承継人g、同h、同i及び同jは、いずれも亡被告fの子である〔弁論の全趣旨〕。

第4 争点
1 被告事業者らと被告Kとの関連共同性

 被告事業者らによる本件建築及び本件寄付と、被告Kによる本件認可の取得との間に、関連共同性が認められるか否か。

2 被告事業者らの故意
 本件建築及び本件寄付が、本件許可を阻止する旨の故意に基づくものか否か。

3 被告事業者らの違法性
 本件建築及び本件寄付に、違法性が認められるか否か。

4 被告Kの故意
 本件認可の取得が、本件許可を阻止する旨の故意に基づくものか否か。

5 原告が被った損害額


以上:2,935文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック

(注)このフォームはホームページ感想用です。
法律その他無料相談ご希望の方は、「法律その他相談フォーム」に記入してお申込み下さい。


 


旧TOPホーム > 法律その他 > なんでも参考判例 > 新規パチンコ店出店阻止目的寄付行為が違法とされた札幌地裁判決全文紹介1