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公図の誤りと具体的訂正方法に関する弁護士会照会と法務省回答紹介

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平成27年 8月23日(日):初稿
○公図上の地番が誤っている場合の公図訂正方法について、弁護士会からの照会とそれに対する法務省回答が、藤原勇喜氏著公図の研究五訂版394頁に照会されています。大変重要な遣り取りですので、そのまま引用紹介します。

弁護士会照会
一 法務局備付の旧台帳付属地図(公図)に誤りがある場合、たとえば、別紙図面(二)でなければならないのに、別紙図面(一)の如く表示されているような場合の訂正は具体的にどのようなほうほうによってなされるのか御教示願いたい。
(イ)このような場合利害関係人全員の同意(実印による同意書面と印鑑証明の添付)がある場合には問題なく訂正が認められると思われるのであるが、そのような同意がいろいろの思惑によってどうしても得られない場合には公図訂正は絶対に認められないのか。

(ロ)このような場合でも訂正が認められる場合があるというのであれば、どのような証拠によってどの程度誤りであることを証明すれば良いのか。

(ハ)このような公図訂正の問題は登記官の職権調査事項であるのであれば、登記官は調査のために現地に赴き実際に見分し、あるいは関係者の事情を聴取するなどのことをすることもあるのか否か。

(ニ)もしありとすれば、どのような申立をすれば、あるいはどのような要件がそろえば、そのような職権調査に乗り出してくれるのか。


○これに対する、昭和52年12月7日付民三第5936号法務省民事局第三課長回答は以下の通りです。

照会のあった標記の件については、下記の通りと考えます。
           記
一(イ)、(ロ)について
 旧土地台帳付属地図に記載された土地の境界の標示に誤りがあるときは、所有者その他の利害関係人は、その誤りを証するに足りる資料を添えてその訂正の申出をすることができる。
 なお、この場合における利害関係人の同意書は、誤りであることを確認するための最も信頼度の高い資料となり得るものであるが、関係資料、他の利害関係人の証言、物証などから当該境界の表示が明らかに誤りであることを登記官において確認できる場合には、必ずしも利害関係人全員の同意書の添付を要しない。

(ハ)について
 前項の訂正の申出があった場合には、その内容が真正であるかどうかを確認するために、登記官が現地調査を行い、あるいは関係人から事情を聴取することがある。

(ニ)について
 (ハ)により了承されたい


○上記遣り取りによれば、公図訂正のためには、所有者その他利害関係人全員の同意書自体が最重要資料であり、実務上はこれが全員分そろわないと、おそらく公図訂正は難しいと思われます。全員の同意書がない場合に「どのような証拠によってどの程度誤りであることを証明すれば良いのか。」との質問には、「関係資料、他の利害関係人の証言、物証などから当該境界の表示が明らかに誤りであることを登記官において確認できる場合」と回答されていますが、「登記官において確認できる」程度の証明は、ケースバイケースで具体的な判断は相当難しそうだからです。

○公図訂正までは困難と思われる場合は、その公図による境界(筆界)を前提として、同意しない所有者その他利害関係人に対して、時効取得等の理由で所有権範囲を確認し、必要な分筆による所有権移転登記手続を求めるしかないと思われます。
以上:1,351文字

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