平成25年 1月23日(水):初稿 |
○「日本の領土・領海・領空とその範囲等についての覚書1」を続けます。 今をときめく池上彰氏の週刊文春平成25年1月3/10日号66頁以下「今こそ知りたい日本の領土」との表題で解説記事の備忘録です。 ○接続水域 「基線(干潮時の海岸線)」から24海里(約44.4㎞)までの内、領海を除いた部分(12海里以上24海里以内)を沿岸国は「接続水域」と指定でき、この水域に入ってきた外国船舶に対し、出入国管理権限により出て行くよう求めることが出来る。なお、1海里は1852mであり、1929年にモナコで開かれた国際臨時水路会議 (International Extraordinary Hydrographic Conference):国際水路機関の会議)で採用された。 ○排他的経済水域 基線から沖合200海里(約370㎞)のうち領海を除く部分(12海里以上200海里以内)で、よその国は勝手にこの水域で経済行動が出来ない。海での経済行動とは、漁をしたり、海底を掘削して石油や天然ガスを採掘したりすること。経済行動に該当しない通航は自由で、他国の潜水艦が潜航したまま通航することも自由。 他の国との距離が200海里より短い場合は、双方の国の中間線までが排他的経済水域になるのが一般。 その一方、沿岸から200海里を超えても、そこがその国の大陸棚であることが科学的に証明できれば排他的経済水域と認められる例外規定あり。 大陸棚とは、大陸の周辺にあって大陸から大陸につながって緩やかに傾斜している海底の地形であり、大陸棚としての認定は、国際海洋法条約で国連に設置された専門家21名で構成される「大陸棚限界委員会」に科学的根拠を示して申請して行う。日本では小笠原海台海域や南硫黄島海域などが日本の大陸棚と認められた。 ○海の呼び方をめぐる争い 1992年、突然、韓国政府は、「日本海」との呼称は日本が朝鮮半島を支配していた時代に定着したもので日本植民地主義の遺物だから韓国側の呼称である「東海」と呼ぶか、両方併記すべきとと主張しだす。しかし、「日本海(Sea of Japan)」は19世紀までにヨーロッパでこう呼ぶようになった歴史的経緯があり、日本の朝鮮半島支配とは無関係。 東シナ海について中国は「東海」と、ベトナムは「南シナ海」と呼び、またイランが「ペルシャ湾」と呼ぶ海域をアラブ諸国は「アラビア湾」と呼んでいる。 ○海上保安庁と海上自衛隊 海上保安庁は、海の警察であり海の消防。密漁や密入国などの取締は警察権の行使、海上火災消火は消防の役割であり、日本の領海や接続水域に無断浸入した船舶の対応も海上保安庁があたる。 不測の事態が発生し銃撃戦などに発展した場合、自衛権の発動として海上自衛隊や航空自衛隊が出動する。領空侵犯も自衛隊が出動。 ○日本は海洋大国 日本の陸地面積は、37万7930km2で、世界約200カ国中62位。 しかし日本には、海岸線が100m以上の島が6852島もあり、排他的経済水域の面積は約447万km2では世界6位。 日本最南端の沖ノ鳥島は東京から1740㎞も離れた熱帯に位置する絶海の孤島で東京都小笠原村に所属し、高潮のときには北小島が海面に16㎝、東小島が6㎝顔を出すだけだが、岩ではなく島であるため周辺200海里が排他的経済水域になる。 国連海洋法条約の定義では、「島」とは、「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面にあるものをいう」。環礁の上に所在する島は、領海測定のための基線は、環礁の海側干潮時となり、環礁全体が島となり、沖ノ鳥島は環礁部分では周囲11㎞の立派な島に該当。 この島が波に削られて消失すると排他的経済水域の広大な面積が消失するため、日本政府は1989年までに総工費285億円をかけて鉄製の波消しブロックとコンクリート製護岸を建設して島を守っている。日本の排他的経済水域は、豊富な海底資源を含む「宝の海」であり、これを確保するためには285億円は安いもの。 以上:1,634文字
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