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これは使える判例紹介-支店不明な銀行預金差押方法1

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平成24年 2月 6日(月):初稿
○「これは使えない判例紹介-銀行預金差押は支店不明では不可」では、三大メガバンク(三菱東京UFJ銀行,三井住友銀行,みずほ銀行)預貯金債権について「複数の店舗に預金債権があるときは,支店番号の若い順序による」との順位付方式(「全店一括順位付け方式」)預貯金差押申立をした事案について、差押債権特定を欠くとして却下した平成23年9月20日最高裁第三小法廷決定(判時2129号41頁等)を紹介しました。

○これに対し、この最高裁決定を前提として、同様にどの支店に預貯金があるか不明な事案について、以下の方法で銀行預金について差押申立をしました。事案は以下の通りです。
債権者Aが債務者Bに対し元金約133万円、確定利息約44万円、利息約62万円、執行費用等2万円の合計約241万円の債権を有している。
第三債務者、C、D、E、Fの各銀行ついて、Cにつき60万円、Dにつき61万円、Eにつき60万円、Fにつき60万円を割り付けて、その差押債権目録は以下の通り記載。

別紙差押債権目録
金60万円
 債務者Bが第三債務者C銀行に対して有する下記預金債権及び同預金に対する預入日から本命令送達時までに既に発生した利息債権のうち、下記に記載する順序に従い、頭書金額に満まで

 
一 複数の店舗に預金債権があるときは、預金債権額合計の最も大きな店舗の預金債権を対象とする。なお、預金債権額合計の最も大きな店舗が複数あるときは、その支店番号の最も若い店舗の預金債権を対象とする。
二 差押のない預金と差押のある預金があるときは、次の順序とする。
(1)先行の差押、仮差押のないもの
(2)先行の差押、仮差押のあるもの
三(中略)
四(中略)
五 同種の預金が数口あるときは、口座番号の若い順による。なお、口座番号が同一の預金が数口あるときは、預金に付せられた番号の若い順による。


○この預金債権特定方法は、「預金額最大店舗指定方式」と呼ばれていますが、「これは使えない判例紹介-銀行預金差押は支店不明では不可」で紹介した「全店一括順位付け方式」とどう違うのか、余り違わないのではないかと疑問に感じる方もおられると思います。実際、執行裁判所の平成23年8月26日東京地裁決定(判時2130号12頁)は、前記最高裁決定と同様に差押債権の特定を欠くとして却下しました。その理由骨子は次の通りです。
①銀行の顧客管理は取扱店舗毎にある程度独立して行われている実態があるところ、複数店舗が取り扱っている預金債権について預金債権額合計の最も大きな店舗の特定作業は、対象とされた各店舗相互間に密接な連絡と確認作業が必要で、銀行に過度の負担を負わせる。
②預金保険法の名寄せシステムは銀行破綻の際、保険機構が名寄せを行うためのデータ提供であり、これで差押債権を特定できるか判然としない。
③日常的に大量の行われる債権差押は、迅速かつ一般的・定型的処理がなされるべきで、債権差押で取扱店舗を特定する必要性は、請求債権額、銀行の規模・導入システムで左右されるべきでない。
   
以上:1,250文字

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