平成21年 1月10日(土):初稿 |
○「マンション管理適正化法の基礎-目的等」の話を続けます。 マンション管理適正化法の目的は「マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与する」ことですが、その実現のため様々な規制・施策を用意しましたがそのポイントは以下の3つです。 ①管理組合に対する支援態勢の整備 ②管理業者に対する規制 ③分譲業者の義務 ○管理組合に対する支援態勢の整備 管理組合に対する支援制度として以下の2つです。 ①マンション管理士 ②マンション管理適正化推進センター ・マンション管理士制度 管理組合や住民が相談したり、アドバイスを求める専門家として「マンション管理士」の国家資格制度を創設しました。マンション管理士の役割は、例えば建物の長期修繕計画の作成や管理業者の選定、管理規約変更に関する助言などです。大規模修繕計画等を修理を行う建設業者等に相談しても業者に都合の良い助言しか得られない可能性がありますが、マンション管理士が中立的な第三者の立場で適切な指導と助言を行うのた建前です。 ・マンション管理適正化推進センター設置 管理組合や住民に対して情報を提供したり、苦情・クレームを処理する「マンション管理適正化推進センター」を設置して、マンション管理に伴う騒音、ペット飼育、管理費未払いなど様々な問題についての専門相談窓口となり、どう対処すべきか、他の管理組合ではどういう対策を講じているかといった情報を入手できるようになります。財団法人マンション管理センターが全国で1ヵ所この指定を受けています。 ○管理業者に対する規制 管理業者を規制する制度は、業者を行政の監視下に置き、適切に業務を遂行しているかどうかチェックすることで悪質業者を排除する狙いで、主に以下の3つがあります。 ・国土交通省への業者登録の義務化 登録しないと営業できなくなり、すべての管理業者が新法の監視下に置かれ、何か問題の起きる恐れのある行為に対しては国土交通大臣名で改善指示が出されます。法律に違反した場合には、業務停止命令や業者登録取り消しといった措置も取られ、登録業者であっても、適正な業務を行わない業者は事実上営業できなくなります。 ・管理業務主任者設置の義務化 管理業者は、「管理業務主任者」という国家資格の所持者を事務所に置くことを義務付けられました。不動産業者の「宅地建物取引主任者」に該当し、管理主任者は委託契約を交わす前に管理組合に対して重要事項を説明したり、管理が円滑に行われるよう日常業務をチェックするのが主な役割です。 ・組合理事長名による口座管理の義務化 修繕積立金の口座を管理組合の理事長名で管理することも義務付け、積立金が管理業者によって不正使用されたり倒産で戻らなくなる被害を防止します。 ○分譲業者の義務 マンション管理には直接関与しない分譲業者は、建物の設計図類を管理組合に引き渡すことを義務付けられました。これらの書類がないと大規模修繕計画を作成等に支障を来すからです。 以上:1,241文字
|