平成17年 1月27日(木):初稿 平成17年 5月15日(日):更新 |
○昨日は、本年第1回目目の判例時報勉強会でした。 「各種記録」の「判例勉強会」にも記載していますが、この勉強会で助かるのは、各自事件処理で悩んでいることをお互いに相談できることです。 1人の頭での思考は視野狭窄になり、思わぬ落とし穴に陥ることがあるからです。 ○昨日は、現在悩んでいる以下のような希有なケースについて相談しました。 ・生まれつき精神遅滞で知能レベルが小学校1年程度のある成人女性Xさんがある販売店従業員からY社のクレジットを利用して商品を大量に買わされました。 ・Yからの請求でその事実が判明し、家庭裁判所から保佐開始決定を受け、義母が保佐人に選任され、私を代理人としてA地裁にYを相手にクレジット債務不存在確認の訴えを提起しました。 ・ところがその後YがB地裁にXを相手にクレジット支払請求の訴えを提起し、Xが訴状を受け取るも、意味が解らず放置し、欠席判決が出され、判決はたまたま保佐人の義母が受け取り、驚いて私に相談し、直ちにC高裁に控訴しました。 ・A地裁の裁判官は、XのYに対するクレジット債務不存在確認訴訟とYのXに対するクレジット支払請求訴訟は、訴訟物が同一なのでA地裁とC高裁で同時に審理することは出来ないからいずれかを取り下げて欲しいと言います。 ・そこで私はY代理人に保佐人がついているXに対する訴えをB地裁に出すこと自体が間違っていたのでYの訴えを取り下げて欲しいと要請していましたが、最終的にY代理人は一旦B地裁判決が出たので取り下げると再訴禁止になるから取り下げられないと連絡してきました。 ・そこで私はC高裁にYの訴えが訴訟要件を欠く違法なもので却下されるべきとの主張をする予定でしたが、Xのような被保佐人でも応訴は可能という民訴法32条の規定を如何にクリアするかに悩んでいました。 ○法律家でない方にはちと難しい話で恐縮ですが、判例勉強会仲間の意見を聞いて、 ①Xは訴状の意味も解らず訴状受領能力がないので送達が無効であること ②Xは既にA地裁にY相手にクレジット債務不存在確認請求訴訟を提起しているのにも拘わらずYが訴訟物の同じXに対するクレジット支払請求訴訟をB地裁に別訴として提起するのは実質二重起訴禁止違反であること を理由にYの訴えは訴訟要件を欠くとしてC高裁には原判決取消、Yの訴え却下すべしとの主張をすることに方針が固まりました。 色々意見を頂いた判例勉強会仲間に感謝です。 以上:1,000文字
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