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不貞行為夫に対する婚姻破綻慰謝料180万円を認めた地裁判決紹介

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令和 4年10月 8日(土):初稿
○不貞行為損害賠償請求は、不貞行為第三者への請求の判例は多数出ていますが、不貞行為配偶者への判例は、第三者への判例と比較し、ズッと少ないと感じています。不貞行為配偶者夫に対する元妻からの500万円の婚姻破綻慰謝料請求に対し、180万円の慰謝料支払を認めた令和3年1月28日東京地裁判決(LEX/DB)を紹介します。

○被告夫は不貞行為第三者Cと不貞行為を行い、平成27年8月に不貞行為が発覚し、裏切ることはしないとの約束をしたが、その後も不貞行為を継続し、平成28年4月にその後の不貞行為が発覚し、同年10月に離婚に至りました。分離前の被告Cとの表現があり、当初は、被告夫と第三者Cの両名に慰謝料請求をしていました。Cが原告に対し慰謝料を支払ったかどうかは、判決文では不明ですが、。

○判決は、「被告が支払うべき離婚慰謝料の額を180万円であり,そのうち被告及びCの不貞行為自体に係る部分の額を150万円である」としており、C自身は原告に慰謝料は支払っていないのかも知れません。

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主   文
1 被告は,原告に対し,198万円及びこれに対する平成28年8月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを11分し,その7を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 請求

 被告は,原告に対し,550万円及びこれに対する平成28年8月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等
1 事案の概要

 本件は,被告の元妻であった原告が,被告及び分離前の被告C(以下「C」という。)の不貞行為により被告との婚姻関係が破綻し,離婚に至ったなどと主張して,被告に対し,不法行為に基づき,離婚慰謝料500万円及び弁護士費用相当額50万円の合計550万円並びにこれに対する離婚の日である平成28年8月10日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)原告(昭和53年○○月○○日生まれ)及び被告(昭和52年○月○○日生まれ)は,平成18年10月21日に婚姻した夫婦であり,その間に長男D(平成20年○月○○日生まれ)及び長女E(平成24年○月○日生まれ)をもうけた(以下,長男及び長女を併せて「子ら」という。)。(甲1)

(2)被告は,Cと不貞行為を行っていたところ,平成27年8月,このことを知った原告から確認を受けて,原告に対し,原告を裏切ることはしない旨を約束した。(甲2,甲4の1ないし4)

(3)被告が前記(2)の後も不貞行為を継続していたところ,原告は,平成28年4月19日,そのことを知った。(甲3,甲4の5,6)

(4)原告及び被告は,平成28年4月24日,各自の両親と共に,原告及び被告の婚姻関係に関する話合いをした(なお,後記3(2)のとおり,原告及び被告がその際に財産分与の合意(以下「本件合意」という。)をしたか否かが争われている。)。

(5)原告及び被告は,平成28年8月10日,離婚した(以下「本件離婚」という。)。(甲1)

3 争点及び争点についての当事者の主張
(1)本件離婚の原因
(原告の主張)
 被告及びCの不貞行為により,原告及び被告の婚姻関係が破綻したのであり,上記不貞行為が本件離婚の原因である。

(被告の主張)
 否認する。本件離婚の原因は,〔1〕原告との間の金銭感覚の違い,〔2〕原告が被告に対して何かにつけて同被告の親や兄弟に関する陰口や中傷を述べていたこと及び〔3〕原告が子らの前や職場で平然と被告の悪口を言っていたことである。

(2)本件合意の成否等
(被告の主張)
 原告及び被告は,平成28年4月24日,別紙「本件合意の内容」記載のとおりに財産を分与する旨の合意(本件合意)をした。
 総財産の2分の1である223万2545円が,原告が本来清算的財産分与として取得すべき金額であるところ,本件合意によると,原告は財産分与として353万5441円を取得したから,両者の差額である130万2896円が,被告が原告に対し慰謝料として支払った金額(慰謝料的財産分与)となり,これを弁済として控除すべきである。

(原告の主張)
 否認ないし争う。原告及び被告の間で平成28年4月24日に被告が責任をもって住居であるマンションの売却をすることが決まったが,原告及び被告の夫婦共有財産の範囲や分与方法等を協議した事実はない。

(3)本件離婚による慰謝料の額
(原告の主張)
ア 本件離婚による精神的損害を金銭に換算すると,500万円を下らない。
イ 本件離婚と相当因果関係のある弁護士費用は,50万円を下らない。

(被告の主張)
 いずれも争う。

第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(本件離婚の原因)について

(1)前記前提事実並びに証拠(甲1ないし3,甲4の1ないし6,甲14,乙9,丙1,原告及び被告各本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告がCと不貞行為を行っていたところ,平成27年8月にこのことを知った原告から確認を受け,原告に対して原告を裏切ることはしない旨の約束をしたこと,被告が上記約束の後もCとの不貞行為を継続したこと,原告が平成28年4月19日に上記不貞行為の継続を知ったこと,被告が同月24日に原告に対して上記不貞行為を謝罪したものの,原告との間で復縁の可能性がないことを確認したこと,その際には被告が原告の側に離婚の原因がある旨を述べていないこと,その際に被告の母親が原告に対して時間が経てばやり直せる旨を述べたこと,原告及び被告が同年8月10日に本件離婚をしたことが認められる。これらに加え,被告の陳述書(乙9)に「不倫が離婚を決定付けたことは相違ありません」との記載部分(2頁)があることをも総合すると,専ら被告及びCの不貞行為により原告及び被告の婚姻関係が破綻し,上記不貞行為が本件離婚の原因であると認められる。

(2)
ア これに対し,被告は,本件離婚の原因が〔1〕原告との間の金銭感覚の違い,〔2〕原告が被告に対して何かにつけて被告の親や兄弟に関する陰口や中傷を述べていたこと,〔3〕原告が子らの前や職場で平然と被告の悪口を言っていたことである旨を主張し,被告の本人尋問の結果及び陳述書(乙9)には,それに沿うかのような記載部分がある。

イ しかしながら,前記(1)の事実及び証拠に照らすと,前記(2)ア〔1〕ないし〔3〕の事実が認められる余地があると仮定した上で前記(2)アの証拠によっても,被告及びCの不貞行為による原告及び被告の婚姻関係に与える影響と比較すれば,前記(2)ア〔1〕ないし〔3〕の事実による上記影響は些細なものであると認められ,前記(1)の認定判断を左右するに足りず,他にこれを覆すに足りる証拠はない。
 前記(2)アの被告の主張は,採用することができない。

(3)したがって,被告は,原告に対し,不法行為に基づき,離婚慰謝料の賠償義務を負うと認められる。

2 争点(2)(本件合意の成否等)について
(1)被告は,原告及び被告が平成28年4月24日に本件合意をしたことを前提として,原告が実際に取得した金額と原告が本来清算的財産分与として取得すべき金額との差額が,被告が原告に対して慰謝料として支払った金額であり,これを弁済として控除すべきである旨を主張し,被告の本人尋問の結果及び陳述書(乙9)には,それに沿う部分がある。

(2)
ア しかしながら,原告は,本人尋問において,本件合意をしたことを否定する供述をしており,その陳述書(甲14)にはそれに沿う記載部分がある。被告が本件合意の内容を明示的に主張する前の令和元年10月15日の弁論準備手続期日において,具体的な財産分与の合意はない旨の陳述をしており,上記陳述は,上記の原告の本人尋問の結果に沿うものである。

イ 前記前提事実並びに証拠(甲14,乙9,原告及び被告各本人)及び弁論の全趣旨によれば,平成28年4月24日の時点では被告及びCの不貞行為が原告に発覚し,被告の離婚の意思が固かったことが認められ,原告及び被告の関係が上記時点において通常の夫婦と同程度に良好なものではなかったことがうかがわれる。そうすると,仮に原告及び被告が本件合意に至ったのであれば,間もなく離婚することを前提としていたのであって,原告及び被告が上記の時点で法律上夫婦であったことを考慮しても,合意書その他の書面を作成するのが自然である。しかるに,原告及び被告が本件合意に関して合意書その他の書面を作成したことをうかがうことができない。

ウ 被告の主張する本件合意の内容によれば,被告名義の預金,生命保険解約金及び学資保険解約金が被告に帰属するとされているところ,被告の陳述書(乙9)には,本件合意に関し「私の預金を含めた全金融財産及び物的財産の放棄を大前提」との記載部分(7頁)があり,上記記載部分は,本件合意の上記内容と合致せず,本件合意をした旨の事実に沿うものではない。

エ 平成28年4月24日の時点で被告の母親が原告に対して時間が経てばやり直せる旨を述べたことは,前記1(1)のとおりである。これに加え,証拠(原告本人)及び弁論の全趣旨をも総合すると,原告が同日の時点では被告との離婚を決断しておらず,その後も被告の離婚の意思が固いこと等を踏まえて,同年7月頃に被告と離婚をしようと決断したことが認められる。そうすると,原告が同年4月24日の時点で被告との離婚を前提とする本件合意をしたというのは,いささか不自然である。

オ 以上に照らすと,前記(1)の証拠によっても,原告及び被告が平成28年4月24日に本件合意をしたとは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
 前記(1)の被告の主張は、前提を欠き,採用することができない。

3 争点(3)(本件離婚による慰謝料の額)について
(1)被告及びCの不貞行為の態様,原告及び被告の婚姻期間等本件に顕れた一切の事情を考慮すると,本件離婚において被告が支払うべき離婚慰謝料の額を180万円であり,そのうち被告及びCの不貞行為自体に係る部分の額を150万円であると認めるのが相当である。 

(2)本件の難易,前記(1)の認容額等に照らすと,被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は,上記認容額の1割である18万円と認められる。

4 遅延損害金の利率等について
 被告は,原告の離婚慰謝料請求権について,平成29年法律第44号の施行日である令和2年4月1日の前である平成28年8月10日に遅滞の責任を負ったから,上記離婚慰謝料請求権の遅延損害金に係る法定利率については,同法律附則17条3項により,改正前民法が適用される。

第4 結論
 以上によれば,原告の請求のうち198万円及びこれに対する本件離婚の日である平成28年8月10日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は理由があるから認容し,その余の部分はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第16部 裁判官 田中寛明

別紙 本件合意の内容
以上:4,692文字

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