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離婚協議書で定めた毎週連日の面会交流を認めた高裁決定紹介

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令和 3年12月23日(木):初稿
○面会交流の頻度に関する裁判例を探しています。
相手方父が未成年者の親権者として監護をしているところ、抗告人母が、離婚協議書が作成された当時に当事者間でされていた,月曜日の保育園の降園時から金曜日の保育園の登園時までの間の未成年者との面会交流をしていたところ、相手方父が、東京家裁から、抗告人に対し,未成年者と原則月2回の宿泊を伴う面会を認めることなどを定める審判を得ていました。

○この東京家裁の未成年者と原則月2回の宿泊を伴う面会を認めることなどを定める審判に対し、抗告人の母が、離婚協議書で定めた未成年者は,基本的に月曜日から木曜日までは抗告人宅に宿泊し,保育園から戻った金曜日から日曜日までは相手方宅に宿泊する方法での従前通りの面会交流を求めて、東京高裁に抗告していました。

○平成31年2月1日東京高裁決定(ウエストロー・ジャパン)は、従前通りの面会交流をすることが,未成年者の福祉を害するものであるとは認められず,本件協議書において,当事者双方が想定していた抗告人と未成年者が月曜日の保育園の降園時から金曜日の保育園の登園時までの間,面会交流をするという面会交流の方法を変更すべき事情はないとして、従前通りの面会交流をすべきとしました。

○その理由としては、抗告人と未成年者が従前どおりの面会交流をすることが困難となった事情が生じた様子は窺えない上,当事者間の紛争性が高まったとしても,抗告人と未成年者との面会交流が問題なく実施されているとして、面会交流の実際実現状況を上げています。

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主   文
1 原審判を次のとおり変更する。
2 相手方は,抗告人に対し,抗告人と未成年者が別紙面会交流要領(抗告審)のとおり交流することを認めなければならない。
3 手続費用は,原審及び当審を通じて各自の負担とする。

理   由
第1 事案の概要

1 本件は,当事者間の子であるA(以下「未成年者」という。)の母である抗告人が,未成年者の父であり親権者父である相手方に対し,離婚時に定めた離婚協議書(以下「本件協議書」という。)に基づき,自由な面会交流を求め(原審平成30年(家)第3010号),他方,相手方は,抗告人に対し,本件協議書で定めた面会交流は事実上不可能であるとして,面会交流について相当な内容を定めることを求めている(同第3012号)事案である。なお,抗告人は,具体的には,相手方に対し,本件協議書が作成された当時に当事者間でされていた,月曜日の保育園の降園時から金曜日の保育園の登園時までの間の未成年者との面会交流を求めている。

2 東京家庭裁判所は,平成30年8月7日,本件協議書の定めと異なり,相手方は,抗告人に対し,未成年者と原則月2回の宿泊を伴う面会を認めることなどを定める審判をしたところ,これを不服とする抗告人が即時抗告した。

3 抗告人の抗告の趣旨及び理由は,別紙「抗告状」及び「抗告理由書」に記載のとおりである。

第2 当裁判所の判断
1 認定事実

 一件記録により,当裁判所が認定した事実は,次のとおり原審判を補正するほか,原審判の「理由」欄の「第2 当裁判所の判断」の1に記載のとおりであるから,これを引用する。
 (原審判の補正)
(1) 原審判2頁3行目の「婚姻生活を送っていたが,」を,「同居して婚姻生活を送っていた。抗告人は,平成27年8月ころから,相手方自宅から徒歩5分ほどの場所に現在の抗告人の自宅の建築を開始して,同年12月には抗告人の自宅に転居し,相手方と別居した。当事者双方は,」に改める。

(2) 原審判2頁7行目から8行目の「離婚に際し,離婚協議書と題する書面を作成することとし,その際,」までを,「離婚に当たっての合意事項を記載した本件協議書を作成することとし,平成28年10月31日,双方が署名押印して本件協議書(乙1)を作成した。当事者双方は,」に改める。

(3) 原審判3頁19行目の「過ごしていた。」の次に,「しかしながら,相手方は,同年12月6日ころ,保険会社の営業員であったB(以下「B」という。)に対し,Bは抗告人と不貞関係にあり,相手方は,そのために離婚を余儀なくされたため損害賠償を請求する旨の通知書(乙12)を送付すると共に,そのころから,抗告人に対し,未成年者との面会交流をすることを制限するようになった。」を加える。

2 判断
(1) 前記のとおり,当事者双方は,本件協議書に定めた条件で協議離婚することに合意したのであるから,本件協議書において,未成年者の面会交流について合意した事項は尊重されるべきであり,本件協議書の合意をするに当たって基礎とした事情に変更等があり,未成年者の福祉に照らして本件協議書の合意を変更することがやむを得ないような場合を除いて,本件協議書の合意に沿った面会交流の方法等によるべきものとすることが相当である。

(2) この点について,抗告人は,本件協議書の面会交流の定めについて,当事者双方は,本件協議書作成当時にされていたように,抗告人と未成年者が月曜日の保育園の降園時から金曜日の保育園の登園時までの間,面会交流をすることを想定して合意したものであると主張し,そのような面会交流の方法等を定めることを求めている。

 これに対し,相手方は,未成年者と抗告人の面会交流は月1回~2回が相当であると主張するが,本件協議書において相手方が想定していた面会交流の方法が,抗告人の主張する方法と異なるものであるとの具体的な反論はしておらず,現に,抗告人が,平成27年12月に現在の自宅に転居した後,未成年者は,基本的に月曜日から木曜日までは抗告人宅に宿泊し,保育園から戻った金曜日から日曜日までは相手方宅に宿泊しており,平成28年11月4日に離婚をしてからも,同年12月7日までは同様の方法による面会交流がされていたことからすれば,当事者双方は,原則として,本件協議書作成時にされていた方法による面会交流を継続することを想定して,本件協議書を作成したものと認められる。

(3) そこで,本件協議書において想定されていた前記(2)記載の面会交流の方法を変更しなければならない事情があるか否かについて検討する。
 抗告人と相手方との間には,現在,複数の調停事件や訴訟事件が係属し,本件協議書作成時に比べて抗告人と相手方との間の紛争性が高まっており,面会交流の日程調整も,双方の手続代理人を介してされているなど,当事者双方の信頼関係に基づいて直接協議することが困難であるとの事情が認められるから,円滑な面会交流実施のためには,本件協議書に記載されたように,全て当事者間の協議に委ね,随時,面会交流を認めるような抽象的な方法ではなく,一定程度,具体的に決めておくことが必要である。

 他方,未成年者は,当事者が別居を開始した後の平成27年12月から離婚した後の平成28年12月7日までは,基本的に月曜日から木曜日までは抗告人宅に宿泊し,保育園から戻った金曜日から日曜日までは相手方宅に宿泊しており,同月以降も,抗告人と未成年者は,現在まで,宿泊を伴う面会交流を含めて概ね月2回の頻度で面会交流を継続して実施しているところ,面会交流中に,抗告人と未成年者との間で特段の問題が生じたなどの事情は窺えない。

そして,前記認定事実のとおり,相手方は,同年12月6日ころ,抗告人とBが不貞関係にあったなどと主張して,Bに対して通知書を送付したことが認められるが,仮に,Bと抗告人との間に不貞関係があったとしても,通知書によれば,相手方は,そのような事情を認識した上で,本件協議書を作成したことになるし,そもそも,抗告人とBの過去の関係が,現在の抗告人と未成年者の面会交流に対して影響を与えるものではないから,そのことが,従前の面会交流の方法等を変更しなければならない事情に当たるとは認められない。

そのほか,一件記録によっても,同月7日以降,抗告人と未成年者が従前どおりの面会交流をすることが困難となった事情が生じた様子は窺えない上,当事者間の紛争性が高まったとしても,抗告人と未成年者との面会交流が問題なく実施されている以上,そのことが,面会交流の頻度を減ずるべき直接的かつ合理的な理由となるとは考えられない。

 そうすると,従前通りの面会交流をすることが,未成年者の福祉を害するものであるとは認められず,本件協議書において,当事者双方が想定していた抗告人と未成年者が月曜日の保育園の降園時から金曜日の保育園の登園時までの間,面会交流をするという面会交流の方法を変更すべき事情があるとは認められない。

(4) 以上によれば,面会交流の実施方法等については,概ね当事者が合意していた本件協議書の内容に沿って定めることが相当であるから,別紙面会交流実施要領(抗告審)のとおり定めることとした。
 なお,未成年者の小学校入学等の事情変更によって,面会交流の方法等が実情に沿わなくなった場合には,別途,当事者間で協議することが必要である。


3 よって,上記と異なる原審判を変更することとし,主文のとおり決定する。
 東京高等裁判所第23民事部 (裁判長裁判官 白石哲 裁判官 内堀宏達 裁判官 小川理津子)
 
 
 〈以下省略〉
以上:3,799文字

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