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月2~3回の面会交流申立に対し月1回の面会交流とした家裁審判紹介

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令和 3年12月21日(火):初稿
○「月2回の面会交流申立に対し月1回の面会交流とした家裁審判紹介」の続きで、月2~3回の面会交流の主張に対し、月1回の面会交流を認めた平成25年9月30日水戸家裁龍ケ崎支部審判関連部分を紹介します。

○申立人父は、相手方母の立会を排除しての宿泊を伴う面会交流回数を月に2~3回設けるなど詳細な面会交流条件を主張していますが、相手方母は、子らは短時間であっても監護親である相手方と離れることを嫌がり,相手方と離れると精神的に不安定な態度を取る傾向が強いとして、申立人父の要求を拒否しています。

○審判は、母の立会付での、月1回の面会を認めただけで、申立人父にとっては大変厳しい内容でした。

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主   文
 相手方は申立人に対し,申立人と未成年者らとの下記のとおりの面会交流を許さなければならない。
   記
(1) 相手方は申立人に対し,平成25年10月以降の毎月第3日曜日の午後1時に,JR常磐線a駅改札口において,未成年者らを引き渡す。
(2) 申立人は相手方に対し,前同日の午後4時に,前同所において,未成年者らを引き渡す。
(3) 前記(1)及び(2)における申立人と未成年者らとの面会交流の場所は,子の福祉を考慮し,当事者双方の合意により定める。
(4) 相手方は,前記(1)及び(2)における申立人と未成年者らとの面会交流に立ち会うことができる。
(5) 当事者双方は,前記(1)及び(2)における申立人と未成年者らとの面会交流に,当事者双方が合意する者を立ち会わせることができる。
(6) 相手方は申立人に対し,平成25年10月以降の毎月第1,第2及び第4日曜日の午後1時から2時の間において,申立人から相手方の携帯電話に架電した電話に応答しこれを未成年者らに取り次ぐ。
(7) 申立人は前記(6)の各取り次がれた電話において,各10分間未成年者らと会話をすることができる。
(8) 前記(1)ないし(7)の面会交流の日時場所等は,子の福祉を考慮の上当事者双方の合意により変更することができる。
 
理   由
1 申立ての趣旨及び実情

 申立人と未成年者らが面会交流する時期,方法等につき審判を求める。
 申立人と相手方とは婚姻中の夫婦であるが,申立人と相手方並びに申立人と相手方との間に出生した未成年者らとは平成24年7月31日以降別居している。相手方は申立人と未成年者らとの面会交流を正当な理由の説明もなく長期間拒絶され,面会交流の協議等に応じない。

2 当裁判所の判断

         (中略)

(2) 面会交流についての当事者の意見の概要
ア 申立人

別紙1記載のとおりの面会交流が早急に行われるべきである。その理由は以下のとおりである。
宿泊を伴う面会交流条項を定めることは,父親である申立人と子らとが十分触れ合う時間を確保し,子らの健全な成長に資するものであり,合理的である。
面会交流回数を月に2~3回設けることが,申立人が子らの学習相談,支援の求めを理解すべく密接なコミュニケーションを取るため必要である。

面会交流の一貫として,毎日1回の電話によるコミュニケーションも認められるべきである。
面会交流場所は自由であるべきである。申立人の居宅は申立人と子らにとっては楽しい思い出が詰まった場所であり,安心して過ごせる場所であり,面会交流に適しており,除外する正当な理由はない。
申立人の親族から子らは可愛がられよく懐いていたのであり,子らの健全な成長という観点から申立人の親族との面会交流も認められるべきである。
相手方の監視は,子らの言動が制限され,相手方の虚偽の主張が作り上げられる可能性があり,否定されるべきである。

イ 相手方
別紙2記載のとおりの面会交流が行われるべきである。その理由は以下のとおりである。
長女は4歳,長男は1歳で卒乳していない状態と幼く,監護親と引き離されると一般的に分離不安を感じて精神的に不安定となる年齢であるが,加えて本件では,子らは短時間であっても監護親である相手方と離れることを嫌がり,相手方と離れると精神的に不安定な態度を取る傾向が強い。

申立人は相手方に対し,同居中である平成24年7月に子らの面前で複数回にわたり顔面平手打ち等の暴力を振るい,同居中から暴言・中傷を行い,別居後から現在に至るまで電子メールを介する攻撃的姿勢がやまないことからして,申立人が相手方に暴力を振るうことを抑止する必要がある。

申立人の傾向からすると,子らの連れ去りの可能性もある。
当事者間の心理的葛藤を低減する必要性もある。
電話等による面会交流は紛争を生じさせることになるので避けるべきである。

(3) 家庭裁判所調査官による子の状況についての調査報告の結果は次のとおりである。
 現在子らは相手方及び相手方の両親と共に相手方の父名義の一戸建て住宅において生活している。相手方は現在無職であり,申立人の支払う婚姻費用及び両親の援助により生活している。長女は幼稚園の年中組にほとんど欠席なく通園し,ピアノ教室及びスポーツ教室にも通っている。発育状況,健康状態,発達状況に問題はないが,こだわりが強く頑固な面がある。

以前あまり好まなかった集団行動にも適応してきたが,自宅では長男への対抗意識もあってか赤ちゃん返りのような言動も見られ,相手方と密着する様子を示している。長男も発育状況,健康状態は良いが,断乳しておらず,相手方とほとんど一緒に行動し,相手方の不在に対しては強い不安を示している。

 このような子らの状況によると,申立人との面会交流は,相手方が同行したことにより円滑に行われたものである。また現状では子らが一緒に平等に面会交流の機会を持つべきである。第三者の同行者が申立人と相手方との調整を必要とした場面はこれまでなかったが,親族が関与することは当事者間の紛争を再燃させる端緒となる可能性があり,当面親族が同行することは相当ではない。

(4) 以上を踏まえて検討する。
ア 面会交流において,子らの状態が監護親と非監護親との対立やそれぞれの意向を反映することは一般的にみられるが,本件においても同様であり,かつ長女のやや神経質な性格やこだわりの強い指向に照らすと特にその影響を強く受けたと思われる。従前は双方の対立紛争状態を反映して長女が拒否的反応を示したこともあったが,現状では双方の努力により面会交流の試行が順調に行われていることもあって,長女の対応が肯定的積極的なものとなったと認められる。

 また,本件における特殊性として,長女が満4歳,長男が満1歳と未だ幼いことを考慮してもなお,通常以上に子らの相手方への密着状況が強く,いわゆる分離不安を示すことが認められる。なお,調査官調査の結果による子らの状況は,相手方の自宅において相手方及び相手方の母が同席する状況ではあるものの,2名の調査官により事前準備を経て専門的知見に基づき,当日もある程度の時間をかけ,調査官から子らへの働きかけを行う等しながら慎重に調査が行われ,幼稚園への聴取等他の調査結果等も加味したものであって,相手方らが作為を加えたものではなく,子らの現況を的確に表しているものと評価できる。

イ そうすると,特に申立人が強く求めている,相手方の同行を排除し,時間及び頻度を面会交流試行の状況よりも格段に長期化及び頻回化することは,幼少の子らにとって肉体的精神的に負担であり,子らの精神的不安さを強めることとなって,かえって円滑な面会交流に資さないものと認められる。さらに,ここで当事者間の紛争が再燃すると,子らに面会交流に対する消極的な反応が生じ,それがまた当事者間の対立の原因となる悪循環が生じる恐れも認められる。

 そこで,当面の間は,面会交流試行の状況に準じて,当事者間に紛争を生じさせることなく円滑に面会交流の実績を重ねることを優先し,子らがより安心,安定して面会交流を楽しみ,申立人との面会交流が子らの心身の成長に良い影響を与え,前記相手方との分離不安が次第に薄らぎ,子らがさらに面会交流に積極性を示し,申立人の求めるようなより長時間,頻回かつ範囲の広い面会交流が可能となることを待つことが得策であると考える。

ウ 具体的には,現状においては,相手方の立会の下に行うことはやむを得ないと考える。第三者の立会人を置くべき必要性は認められない。その他親族等の立会人は,双方が合意する者に限り認めることとする。頻度は,面会交流試行と同様,最低限1か月に1回とする。実施日は主文において一律に定めるが,当事者間の合意があれば変更することは可能である。

時間は前記のとおり面会交流の試行が順調に行われ子らも慣れてきたことに鑑み,最低限3時間とする。時間帯は,乳幼児に比較的負担が少ないと思われる午後1時から4時とするが,これらも合意があれば変更することは可能である。

場所は,申立人及び相手方の自宅及び実家を除く●●●市近郊の公共の場が相当であり,必ずしもファミリーレストラン等に限定する必要は認められないものの,安全性その他子らの福祉を考慮し双方が合意する場所にすべきである。

また,面会による交流に加え,1か月に3回,各10分の限度で,電話による交流を認める。方法は,申立人から相手方の携帯電話に架電し,相手方が子らに電話を取り次ぎ,申立人と会話をさせる方法による。架電する日時は,主文において一律に定めるが,合意があれば変更することは可能である。


(5) なお,前記の当面の間とは,およそ1年間と考えるものであるが,この間円滑な面会交流の実績を重ねた上で,子らの面会交流時及び日常生活時の状況を考慮し,可能な限り当事者間で子の福祉を最優先に面会交流の内容の見直しを検討することを当裁判所は期待するものである。

3 よって,主文のとおり審判する。
 (家事審判官 櫻井佐英)

主文(案)
【申立人主文案・第1希望】

1 相手方は、申立人に対し、次のとおり長女A及び長男B(以下あわせて「子ら」という。)を面接させるものとする。
(1) 月2回、下記のとおり面会交流を行う。
 毎月第1土曜日から第1日曜日(宿泊を伴う)
 毎月第3土曜日から第3日曜日(宿泊を伴う)
(2) 相手方は、(1)の土曜日午前9時00分に相手方宅前路上において子らを申立人に引き渡し、申立人は、翌日午後5時00分に相手方宅前路上において相手方に子らを引き渡す。
(3) 面接場所は、相手方宅以外で申立人が指定する場所とする。

         (中略)


別紙2(※相手方主張)
 面会交流要領

1 面会交流の日時・回数
 平成25年7月以降の毎月第3日曜日午後1時から3時まで。

2 引渡場所
(1) 相手方は、申立人に対し、面会交流開始時刻に、相手方が事前に指定した場所(ただし、相手方が申立人に対して面会交流実施日の1週間前までに連絡をしないときはJR常磐線a駅改札口)において、未成年者らを引き渡す。
(2) 申立人は、相手方に対し、面会交流終了時刻に、面会交流開始時の引渡場所において、未成年者らを引き渡す。

3 相手方の付添い
 相手方は、申立人と未成年者らとの面会交流に付き添うことができる。

4 当事者以外の付添い
 申立人と相手方とは、申立人と未成年者らとの面会交流に当事者以外の者を立ち会わせ、又は付き添わせる場合には、面会交流実施日の1週間前までに、他方当事者の了承を得る。了承の得られないときは当事者以外の者を立ち会わせ、又は付き添わせてはならない。

         (後略)
以上:4,727文字

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